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翌日の朝、朝練のため5時に起床したケイスはリルが隣で顔を覗き込んでいるのに気づき、声をかける。
「おはよう、リル」
「おはようなのじゃ、ご主人」
リルはうっとりとした顔をしながら唇を尖らせて目を閉じて待っている。
やっと結ばれる事ができて嬉しいのだろうなとクスっと笑ってからリルに軽くキスをするケイス。
「んん!ありがとうなのじゃ、ご主人様。んもう!童は幸せすぎていつ死んでもいいのじゃ~」
両頬に両手を当ててクネクネしているリル。
「いや、ダメだろう!始まったばかりじゃん!バカな事言ってないで朝練をしにいこう」
起きて朝練をしている広場に行くと既にルルとブリギットが模擬戦をしていた。
「おはようございますです!ケイスさん!」
「お、お、おはよう!ケ、ケ、ケイス様!」
「おはよう、二人とも。ルルは良く起きれたね」
「ブリギットちゃんの部屋にお泊りをしたので起こしてもらったですぅ!」
「そ、そうか」
ブリギットはどうやって起こしたのか気になる・・・と考えていたところでブリギットから声をかけられる。
「ケ、ケイス様!アタイと模擬戦をして欲しいんだ!」
「え?わかった。構わないよ」
「そ、それで一発でもケイス様に当てる事が出来たらアタイも一緒に連れて行って欲しいんだ!」
「え?でもエルフ族の勇者であるブリギットを連れて行っちゃったらエルフ族が困らない?」
確かにブリギットの弓の腕はいいし、精霊魔法による手数の多さはパーティの役に立つだろう。
しかもケイスパーティは前衛2後衛1のためブリギットとの相性は良い。
「そもそもアタイが抗戦派の代表だったんだ。全員を説得し終わったし、ケイス様のおかげで戦争自体も回避できる。親父にも許可は貰っている!むしろ恩返しして来いとまで言われた!頼むよ!ケイス様!」
「なるほど。それならば問題ないね。わかった。模擬戦をして決めようか」
そこでコロコロと笑いながらリルがブリギットに絶望的な一言を言う。
「コロコロコロ。ブリギットや、童でもご主人様に一発も当てられないのに、お主でどうやってご主人様に一発当てるのじゃ?」
「え?え?バ、ババァでも一発も当てられないのか?ケ、ケイス様はそんなにつええのか?か、かっけぇぇ」
言葉は絶望的なのに嬉しそうな顔をする良くわからないブリギット。
「そうじゃよ?全く、素直に連れてって欲しいと言えば良いものを相変わらず不器用な子じゃのぅ。ご主人様、ルルと組ませて二人を相手に模擬戦をして、ご主人様に魔法を使わせたら連れて行くというのはどうじゃ?」
「え?流石にそれは俺の分が悪すぎないか?俺は魔法使いだぞ」
「私もブリギットちゃんと一緒にいたいのでがんばっちゃいますぅ!後ろからブスゥっと一発入れるですぅ!」
ピョンと跳ねて剣を掲げるルル、ちょっと待て!変態兎さんは何をどこに入れる気だ。
「ル、ルルちゃん!ありがとう!よーしアタイも気合を入れてくぞ!ケイス様に絶対に認めてもらうんだ!」
気合を入れてガッツポーズを取り始めるブリギット。
「お、おい!そのルール確定なのかよ!流石に無理がありすぎるだろ」
「コロコロコロ。ブリギットの加入はパーティのためにもいいと思うのじゃ、ご主人様。男の甲斐性を見せておくれ」
「なんか出来レースみたいになってきたけどまぁいいか」
クスっと笑ったケイスは二人と距離を取り、模擬戦を開始した。
毎日模擬戦をしていた二人の連携はかなりのレベルになっており、流石のケイスも3分で魔法を使うことになった。
こうしてケイスパーティにブリギットの加入が決まったのだ。
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