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第七話



「魔術域、拡大……対象物を発見」

「おお、本当にあった!」

「魔術域、収縮……アンタ、なんでこの学院に入ったの?」


 どうやら日直らしく、ゴミ出しをやらされていたクリスに助け出してもらい、更に捜索魔術で弾丸の回収まで手伝ってもらった。やはり、根は優しい奴だ。

 肩を回しながら、弾丸を渡してくれた。確かに、あの弾丸で間違いない。

 その後、良い感じに飯が食えるベンチにまで連れて行ってもらった。


「……もしかして今日の昼ごはん、このマズいプリンだけ?」

「げ、これマズいのかよ……なんとなく予想はできてたけど」


 (くるぶし)の顔が書かれている蓋を開けて、一口食べてみるがマズい。なんというか、パッサパサなのだ。

 これ以上食べようとは思えないな。


「それで、その弾丸って……」

「あぁ、さっきの試合で飛んできた奴だ。クリス、何か知ってるか?」

「私は一切関わってないわ、それは断言しとくわ。それに、あの試合だって……」


 ツインテールにハリがなくなっている。試合結果を気にしているんだろう。


「別に俺は気にしてない、もとはと言えば俺が原因の試合だしな」

「私がよくないのよ!あの魔弾だって、私の秘策だとか、まだ本気じゃないとか言われてるのよ!」


 どうやら、プライドの問題らしい。負けたものを、外部要因によって勝ったものとされるのは自分の実力を否定されるのも同義だと考えるのだろう。


「ほら、この記事を見なさい!」


 そう差し出された新聞には、大きく『クリスvs転入生!!』と書かれている。週刊樫原発行だ。内容では、クリスと俺の戦いについて、魔弾は秘策だと語る自称WB研究会会長のインタビュー、そしてコンビ解消によるストレスが原因だと締めくくられている。


「最後は間違ってないな、うん」

「間違って!……ないけど、ネタにされてるのよ!」

「コンビの件は残念だったとしか言えないな」

「ぜったい、イリスは許さない……」

「そうだ、イリスに試合を挑めばいいじゃないか」

「受けてくれないのよ。あの子、そういう子だから」


 なるほど、厭戦的な人物なんていないんじゃないかとも思っていたが、それはいい。イリスみたいな人とコンビが組めれば、俺も平穏な学院生活が送れるだろう。


「で、どうするんだ?」

「イリスと戦うわ!」

「でも、試合は受けてくれないんだろ?」

「ここでチャンスがあるわ」


 クリスがデバイスを通して見せてきたのは何らかのポスターのようだ。大きく『大賢者決定魔術大会』と銘打たれていた。


「この大会に絶対イリスは出るわ」

「魔術戦闘はしないんじゃなかったのか?」

「色々あるのよ、この大会なら彼女も本気で挑んでくるはずよ」


 何があるのか知らないが、クリスにとっては絶好の機会だということだ。

 二か月後に開催する魔術大会で、トーナメント方式の2on2。クリスはぜひ参加したいだろう。


「で、パートナーのあてはあるのか?」


 質問すると、急に威勢がなくなり、斜め下を見ていた。


「色々考えたんだけど……」

「なんだ、だれも取り合ってくれないのか?」

「違うわよ! 私と組みたい人なんてこの学院に五万といるわ!」

「じゃあ、すぐに決まりそうなのか。良かったな」

「このアンポンタン! 私は絶対に私が認めた相手じゃないと嫌なのよ」

「お前、学内序列七位なんだろ?」


 つまり、こいつより強い奴は六人しかいない。その六人はだいたいペアを組んでいるだろうし、そのうちの一人は喧嘩別れしたばかりだ。


「無理に理想を高めない方がいいぞ」

「私が最高のパフォーマンスを出すには、最高の相棒が必要なの!」

「そうか、じゃあ頑張れよ」


 面倒くさくなって、その場を立ち去ろうとすると服が引っ張られる。


「ちょ、ちょっと待ちなさいよ」

「なに、弾丸のお礼はまたするよ」

「えっと、その……わ、私の……パ―トナーに――――」

「これは大スクープね!」


 クリスが何か言おうとしたとき、無遠慮にフラッシュを焚かれた。

 そこには、背の高いオタク感たっぷりの女性とカメラを持った七三分けの男子。首には『週刊樫原部長 未納(みおさめ)』と『週刊樫原カメラマン 加苅(かがり)』とかかれている。


「『転入生と二十一世紀の魔煌(まこう)クリスの熱愛!』とかどうかしらね」

「一体、何の用ですか?大方、見当はつきますけど」

「取材に行くって、メールは送ったわよ?」


 確認すると、確かにメールが届いている。だが、それはたった三分前の出来事だ。

 どうしたもんかと悩んでいると、なんだか肌がチリチリしてきた。


「貴方ね!最近しつこくメールを送ってくるのは!」


 その原因は、クリス。どうやら、クリスの機嫌と焔魔術は直結でもしているらしい。証拠に、既にツインテールの両端は燃えている。

 やはりメールをガンガン送ってきていた人物で間違いなさそうだ。これもジャーナリスト魂という奴だろうか。

 だが、クリスにはそのジャーナリズム精神が理解できないようだ。


「もう白黒つけてあげる!決闘しなさい!」

「ええ、いいわよ」


 なんと、あっけなく承諾してしまった。

 本気で、クリスと闘って勝てると思っているのか?


「でも、条件があるわ」


 カメラマンの加苅に試合の準備を進めるように指示しながら、交渉に移る。


「私たちが負けたら、貴方たちを追うのも、記事も一旦中止する。で、貴方たちが負けたら、自白魔術をかけてのインタヴューに答えてもらうわ」

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モチベがめっちゃあがります。

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