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第十話

「未納加苅ぺア、加苅戦闘不能!」


 観客が盛り上がる。これでなんとか二対一に持ち込めた。

 クリスの方を見ると、体に少しの切り傷。まだ苦戦しているようだ。


「クリス!」

「カズスケ、やっと終わったのね!」

「状況は……良くなさそうだな」


 いまだ靄の正体を掴めていない。


「加苅はあれでも学内序列第18位なのだけど……負けてしまったのね」


 なるほど、確かにあれだけ強いなら納得だ。下手な魔術師は全く見抜けないだろう。

 だが、未納はまだ俺たちを倒し切れていない。そして、俺達は加苅を倒した。

 状況は悪くない。


「クリス、何か手はあるのか」

「無いわけ無いじゃない! 私を誰だと思ってるの!」

「って言っても、あれじゃあどの攻撃も通用しなさそうだぞ」

「あれがどんな魔術だろうと、このバトルエリア内に敵がいるなら勝てるわ」


 どうやら、クリスには打開策があるようだ。

 クリスがほぼ手を出さずに、俺を待ってたということは、二人じゃないと出来ない何かをするということだ。

 だから、俺はクリスに従うだけだ。


「……俺は何をしたらいい?」

「あと三分間、私を守りなさい!倒し切るわ!」

「任せとけっ!」


 すると、クリスが地面に何かを描き始める。燃える指でなぞった部分は黒く焼け焦げ、紋章が描かれていく。

 これは、大魔術行使の時に行うものだ。この儀式中、少しでも外部から邪魔をされると効力は失われる。

 描き終わるまで三分、なんとかしてでもクリスを守り切る!


「大魔術……させるものかっ」

「そう簡単に行かせるかよ!」


 懐から二本のマシンピストルを取り出し、靄に向かって撃ち続ける。

 あの(もや)も、魔術だ。つまり、魔術であることがまた弱点になる。

 この弾丸には、魔嫌石を含ませてある。毎秒15発ほどの速さで打てる。コストが馬鹿みたいに高く、未悠さんがあまり弾を出してくれないので使いたくはなかったが、負けるわけにもいかない。


「くっ、そんな玩具で!」


 迫ってくる白い靄に、弾幕を作る。

 当たっても通り抜けるだけだが、流石に何発も食らうとまずいのか、退避していった。

 だが、この調子じゃジリ貧だ。あとすこし、耐えきらなければ。


「ふん、もう弾が尽きるころでしょう!」

「そっちも魔力が尽きてきたところだろう!」


 マシンピストルはカチ、カチとしかならず、既に使い物にならなくなっている。だが、あの魔術は明らかに使用魔力量は多いはず。


「魔力が尽きたなら、また補充すればいいだけよ!」

「補充……まさかっ!」

「これで私の勝ちよ!」

「行かせるかっ!」


 クリスに迫る靄に向かって、決死の覚悟で突撃する。


「馬鹿ね、なら貴方から魔力を吸うだけっ!」


 靄自体に切れ味があるのか、身体が裂かれる。そして、靄が鼻や口や耳から体内にどんどんと入っていく。吐き出しそうな不快感を脳が連呼する。だが、直接ダメージはない。耐えきればいいだけだ!


「なにっ……どういうこと、魔力が吸えな――」


 靄が魔力を吸えないことに気付いて、俺から逃げ出し距離を取る。その一瞬の時間は、俺たちにとって十分な長さだった。


「よくやったわカズスケ! 褒めてあげる!」


 クリスが、そう叫びながら俺を魔方陣の中に引き入れる。

 その姿は、下から赤く照らされており、まるで魔王だった。

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モチベがめっちゃあがります。

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