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一話 それってあなたの転生ですよね?

反省してます。

 神「HEROゆきさん、あなたは地球での命を終えました」


 HEROゆき「なんかそういうデータあるんですか?」


 神「……え?」


 HEROゆき「そもそもあなた誰なんすか?w 急にその……変なコスプレした人が現れて死にましたとか言われて、納得できる人いないと思うんすけどw」


 神「こ……っ、コスプレじゃありません! これは神にしか着用できない封印が施された神聖な服装で……」


 HEROゆき「w中二の方すか?w」


 神「違います! ……さっきから神に向かって随分と言ってくれますね。天罰を食らわせることもできるんですよ?(電撃バチバチ)」


 HEROゆき「あっガチのやつか……すみません」


 神「……話が逸れましたが、とにかく貴方は日本での命を終えました。そんな不幸な貴方に朗報。これから貴方には、2つの選択肢が……」


 HEROゆき「まず僕、今ここで貴方と喋ってるじゃないですか。死んだと言うなら死体の写真とか、分かりやすい証拠を出して貰えないと信用出来ないんですけど」


 神「では少々グロテスクなものになりますが、よろしいですね?」


 HEROゆき「はい(目パチパチ)」

 


 

 HEROゆき「あー……なるほど」


 神「話を進めますね。地球での人生を終えた貴方には、2つの選択肢があります。1つは記憶をなくし、前世と全く違う家庭に再び生を受けるか。もう1つは、剣と魔法の異世界に転生し、世界征服を企む魔王を倒す勇者となるか」


 HEROゆき「双方のメリット・デメリットが分からないことには決められないと思うんすけど、説明とかないんすか?」


 神「……地球に転生するのであれば、最低限の身の保証はします。具体的には、ちゃんと家庭を確立した親の元に生まれる権利ですね。デメリットは記憶を消されるくらいです」


 HEROゆき「知識って結構重要だと思うんすよ。少なくとも僕みたいなオッサンでも30年は生きてきてる訳で、その分の記憶が丸々消されるってでかいと思うんすけど」


 神「はい?(威圧)」


 HEROゆき「あっはいすみませんw」


 神「そして異世界に転生するなら、何か1つだけ反則級の能力を授けます。目立ったデメリットはありませんが、魔物がいる分こちらの方が危険ですね」


 HEROゆき「他にも転生してる人っていたりするんすか?」


 神「はい。皆さん好きな能力を持って、異世界での生活を満喫してらっしゃいますよ」


 HEROゆき「それってどうなんすかね?」


 HEROゆき「えーとお……僕の知り合いにハゲでデブで性格の悪い、死んだ魚の目をしてる人がいるんすけど、その人が反則級の力を得たら、多分、悪用するんすよ」


 HEROゆき「別にそれは変なことじゃなくて、反則級の力ってつまり、ほとんどの自治組織が歯が立たない訳じゃないですか。それなら当然悪事働いても捕まらないよね、だって誰かが襲ってきても倒せるし、逃げ切れるもん。って話なんすよ。えーと要するに、警察やら軍やらっていう抗いようのない抑制力があるから悪事を働かなかった人って一定数いて、そういう人たちに力を渡してしまったりしたらそれこそ、魔王……とやらよりも人に害を及ぼすことになると思うんすけど、そこのところどうなんすか?」


 神「……」


 HEROゆき「あと、下界の民を客観視すべき神様の立場から『魔王』っていう一個人を殺すことを依頼するのって、僕どうかと思うんすよ」


 HEROゆき「例えば魔王が、人間が住む一つの村を滅ぼしたとするじゃないですか。手下やら何やらに命令して、ね。そうしたら当然、人間側からしたら悪だよね、倒すべき敵だよね、ってなってくるのは当然ですよね」


 HEROゆき「でもそれって、魔王側からしたら苦肉の策だった可能性があるんすよ。どういうことかっていうと、例えば魔王の国の領土が災害に見舞われました。だから不作になって家畜も死んで、食べるものに困ってしまいましたとなった場合、魔王には国民を守るために、いかなる手段をもってしても食料を手に入れる義務があるんすよね」


 HEROゆき「人を殺すことは間違ってるっていう人の考えって、大体が『殺す必要がない場合』って無意識に仮定してるんすよ。でも僕が挙げたケースみたいに、『殺す必要がある場合』って、国を治めてる人からすれば頻繁にあって。当然人間だってそういうことあるじゃないですか。なので、貴女が何を根拠に魔王が世界にとっての悪だと決めつけているのかが僕わかんないんすよね」


 神「(書類グシャッ)」


 神「それではHEROゆきさん! 貴方が魔王を倒すことを祈っております!」


 HEROゆき「それってあなたの感想ですよね?」

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