第42話 クリスマスパーティ
朝になるが遂に祐樹からの返事はなかった。
「雪菜ちゃんは来てくれるって」
カレンがつーさんに伝えるとまーさんを叩き起こす。
「起きろ、雪菜ちゃん来てくれるみたいだぞ!? 嬉しいだろ? おっと、今はユウナ一筋か……このヤロー!!」
「あ? あぁ、パーティの話か……どうせなら盛大にやりたいな。 高校最後でさ」
「お!! それいいな!! じゃあ誘いまくってくる!! 行くぞ、ハニー!!」
「任せてダーリン!!」
2人はどこから持ってきたのかサンタの格好に着替えると外に飛び出して行った。
「若いな……」
まーさんはコーヒーを淹れながら呟いた。
つーさんはホテルのロビーでみんなが来るのを待っていた。
カレンは裏口で雪菜を待っている。
今まで仲良くしていた人を呼んだが何人が来てくれるのかワクワクしていた。
まず初めに現れたのはやっぱり莉子さんだった。
「久しぶりです!! どうぞどうぞ!! 彼氏さんっすか!? カッコいいっすね」
「久しぶり。 そう、でもまーさんの方がカッコいいよね……」
最後だけ小声になる。
「じゃあ最上階に行ってください。 あ、こっちのエレベーターでお願いします!!」
「うん。 で、結果は?」
「後でわかりますよ」
彼氏さんはわかっていないようだが莉子さんは楽しみにしているようだった。
次に現れたのは北さんだった。
「よく誘ってくれた!! 俺は嬉しいぞ!!」
「静かにして下さい!! マジで迷惑だから」
「すまん、すまん!! いやぁ、パーチィなんて久しぶりだからな!! どうだ!? 変じゃないか!?」
「えぇ、筋肉モリモリサンタなかなかいいですよ」
「そうか!! なら良かった!! どこに行けばいいんだ!?」
かなり浮いているので早目にエレベーターに詰め込んだ。
つーさんはその後も待っていたがなかなか次の人が来なかった。
しはらく待ってやってきたのは祐樹の友達である和也だった。
「あの、祐樹の家に行ってみたんですが……会ってくれませんでした……」
少し落ち込んでいる様だった。
つーさんは肩を叩くとエレベーターに案内する。
「祐樹……お前が主役だぞ」
つーさんは呟きながら祐樹が来るのを待ち続けた。
夜パーティ会場ではつーさんが戻ってくるのを待ちながらそれぞれに過ごしていたが料理が運ばれてくるとみんな食事を始める。
「発表があるのよね!?」
莉子さんが言うと雪菜ちゃんが反応する。
「えぇ、ちゃんとお話しするわよ……ね?」
「あぁ、うん」
まーさんは嫌そうに答える。
「文句あるのかしら?」
「いや、無いよ」
まーさんはそう答えるとその場を離れようとするがユウナは睨みつけるがまーさんは何か用があるかのように出て行った。
茜ちゃんとカレンちゃんが近寄ってくる。
「こんばんは」
「あら、こんばんは。 茜ちゃん昨日はごめんね……」
「いえ、嬉しかったです」
茜ちゃんはかなり幸せそうな顔をしている。
「それなら良かったわ」
「何があったの!?」
莉子さんも興味津々なようだ。
「昨日間違えてお酒飲んじゃって……酔っ払ってあまり覚えてないの……でも茜ちゃんを抱きしめたまま寝ちゃったみたい」
「かわいい!! いいなぁ、私も抱きたい」
「茜ちゃん可愛いもんね」
雪菜さんも加わる。
女子が盛り上がっていいるときまーさんはロビーに降りていく。
つーさんは見当たらないようだがまーさんは気にせずに荷物を受け取ると戻っていく。
つーさんは祐樹の家まで走って行くと玄関の扉を蹴り破り中に入り祐樹の部屋に入る。
祐樹の部屋は真っ暗でつーさんは驚きながらも部屋の電気をつける。
祐樹の姿は見当たらないがベッドの布団が異様に膨らんでいる。
つーさんが布団をめくると祐樹が膝を抱えて泣きながら横になっていた。
「おい、お前いつまでウジウジしてるんだよ!?」
「いいんです……僕もういいんです……」
「何があったんだよ!?」
「昨日約束していた女の子と会えずに終わったんです……アプリも開けないですし……」
「待ち合わせは昨日なのか?」
「はい……そのはずですけど……」
「今から行くぞ!! 一日間違えてるかもしれないだろ!?」
そういうと祐樹を風呂場に投げ入れシャワーを浴び終えると2人は駅まで走る。
クリスマスなのでカップルで賑わっている。
「おい、どんな子なんだ!?」
「えっと、黒髪でロングヘアーで白いワンピースを着てくるって言ってました」
「この寒いのにワンピースかよ……おい、祐樹……そのこ上着持ってくるとか言ってたか?」
「えぇ、寒いので上着必要ですよって言ったら彼女黒い上着を羽織ると言っていました」
「歳は俺たちと同じくらいか?」
「はい……」
「あの子じゃないのか?」
つーさんが指差す方を見ると確かに祐樹の言った通りの人が立っている。
祐樹はその人に走り寄ると声を掛ける。
「ユキさんですか!?」
「えぇ……あなたが祐樹くん?」
「はい、遅くなってごめんなさい」
祐樹は深々と頭を下げる。
「え? 待ち合わせの時間ぴったりだよ?」
ユキちゃんは不思議そうに言っている。
「こんばんは、つーさんって呼んでください。 2人をパーティに誘いに来ました」
「ワォ!! 最高ですね!!」
「ユキさんはどこに住んでるんですか?」
「私は今ほとんどをアメリカで過ごしてます」
「はい!?」
祐樹は驚く。
「あー、私時間言い間違えてしまって……ゴメンね」
「いえ……大丈夫です」
「よかったよ。 アプリ開けなくなるし連絡先知らないし、会えて良かった」
つーさんはすぐにタクシーを捕まえると3人は乗り込みホテルまで走らせる。
後ろの席で祐樹とユキちゃんは楽しそうに話しているのでつーさんはホッとした。
タクシーがホテルに着くとユキちゃんは驚いていた。
「ここ!? 本当に!?」
「ここは先輩の経営してるホテルなんです。 どうぞ……」
祐樹は少し誇らしげに言うと辿々しくエスコートして中に入る。
エレベーターに乗ると最上階まで登る。
「凄い……こんなの初めて……」
最上階は一部屋しかないので扉を開け中に入るとすでにみんな楽しそうに食事をしていた。
「ダーリン!! お帰りなさい!!」
カレンが最初に気が付き駆け寄って飛びつく。
つーさんは受け止めると2人の世界に入り込む。
「祐樹やっと来たか、待ってたぞ」
まーさんが近付いてくるとユキちゃんに気付く。
「祐樹の彼女? よろしく、まーさんと呼んでくれ」
「よろしく……先輩?」
「そうです。 まーさんが経営してるホテルです」
「祐樹と来るならサービスするからな。 あと部屋用意してあるから良かったら泊まってくれ」
「ありがとうございます。 祐樹くんすごいね」
「いえ……僕は何も凄くないですけどね」
祐樹は照れながら答える。
北さんがどこからか用意したマイクを握りみんなの前に出る。
「えー、今回クリスマスなんですが、なんと!! カップルが複数誕生しましたのでそれを紹介したいと思います!!」
ここでみんなを見渡す。
「まずはつーさん、雅ちゃん……おっと、カレンちゃんのカップルです!! この2人は来年結婚します!!」
「どうもー!!」
つーさんは嬉しそうにカレンちゃんを抱きしめながら答える。
「次に大人の女、莉子ちゃんと剛さんです!!」
「ありがと!!」
「そして意外なカップル、祐樹君とユキちゃんです!!」
「え!? いや、まだ付き合ったりしてませんよ!!」
「うふふ」
祐樹が顔を真っ赤にしながら答えるとユキちゃんは笑っていた。
「そしてそして、我が推しの雪菜さん!!」
「え? 私? 恋人いないよ?」
「手紙を預かってきました。 ソラ君からです。 雪菜さん、あなたは僕に勇気と希望をくれました。 心から感謝するとともにあなたに惚れてしまいました。 良かったらお付き合いしてください。 だそうです!!」
「……私に釣り合う男になったらね」
雪菜さんはにやけそうな顔を隠しながら答える。
「いやぁみなさん青春してますなぁ!! 最後にこれは予想外のカップルです!! まーさんとユウナさん!!」
「よっ、ご両人!!」
「プロポーズは!? まだしないの!?」
「私から奪ったんだから幸せになってよ!!」
「ありがと……でもまだ実感が無くて……いや、あるのよ!! でも人に言われると恥ずかしくて……」
するとまーさんはユウナさんの前で片膝をついた。
「ユウナ、プレゼントだ受け取ってくれ」
差し出された小さな箱を見てユウナは驚きのあまり涙を流す。
頷きながら箱を受け取るとゆっくりと開ける。
そこにはシンプルなリングと共に折りたたまれた紙が入っていた。
「え?」
ユウナは驚きながらゆっくりと紙を広げていくと婚姻届であり、既にまーさんの名前が書かれていた。
「え!? うそ!? ホント!?」
ユウナさんはパニックになり喜怒哀楽どの感情が出ているのかも分からなかったが自分で落ち着かせるとまーさんに向かって頷く。
「受け取る。 嬉しい……ありがとう」
「あぁ……」
まーさんは立ち上がると2人は抱き合う。
雪菜さんと莉子さんは涙を流して拍手していた。
「すごい、羨ましいなぁ」
ユキちゃんは祐樹に聞こえるくらいの声で言いながら拍手していた。
「ロマンティックですねぇ」
「そうですねぇ、私なんてライブ会場で言ったのに……こっちの方がいいわ。 期待してるわねダーリン」
カレンちゃんはつーさんに無茶振りをしている。
茜ちゃんも嬉しそうだった。
「最高のクリスマスだな!!」
つーさんが言うとみんな頷きそこからは成人の人たちは呑み始めた。
まーさんとユウナさんは静かにみんなを見守っている様に見えた。
「僕はダメ人間なんです。 でもこの先輩達のお陰でちょっと脱出できた気がします」
「あら? ダメ人間なんて存在しないわよ。 あるのは個性だけ。 普通なんて無いのよ」
ユキちゃんの言葉に祐樹はますます惹かれていった。
「良かったらまた会ってくれませんか?」
「えぇ、良いわよ。 じゃあプレゼントに私の連絡先教えるわね」
「あ!!」
そこで買ったプレゼントのことを思い出した。
「おい祐樹、コレだろ?」
つーさんが投げてきた袋は3つあった。
「全部くれるの!?」
「いえ、服にしたのですがサイズがわからなくて……あるサイズを全部買ったんです」
「祐樹君面白いね、全部貰うね。 お返しに連絡先はズルいね……そうだ、目を瞑って!!」
「え!?」
「早く、ね、お願い」
「は、はい……」
祐樹が目を瞑るとユキちゃんの息を近くで感じる。
「ふー」
耳元に息を吹きかけられた。
「うわぁぁぁぁ、ビックリしました!!」
「うふふふふ。 祐樹君可愛い」
ユキちゃんは満足そうな顔をして連絡先を交換する。
初めてのメールが届く。
『お返しは2月14日にするね。』
「え!?」
「楽しみにしててね」
祐樹はユキちゃんに心の全てを持っていかれた。
ジングルベル!? ベルでまーさんを殴りつけてやりたいぜ!!
やりすぎよ、せめてトナカイの角で刺すくらいにしなさい!! めっ!!




