第38話 クリスマスイブ 祐樹編
祐樹が登校し始めてしばらくたった。
茜ちゃんは口を聞いてくれないが別に気にならなくなった。
それよりも茜ちゃんを意識しなくなってからの方が他の女の子と話す機会が増えた気がする。
つーさんが言ったこととは本当だった。
僕にとっての普通はみんなにとっては普通ではない。
この考えを胸に新しく過ごそうと思った矢先明日から冬休みになる事が伝えられた。
そして帰り間際祐樹は職員室に呼び出された。
「上杉、最近休んでたけどいじめられたのか?」
「いえ……違います」
「それならいいが、結構休んでただろ? いじめならなまぁ特別補習をやってやろうかと思ってな、違うなら俺は知らんぞ」
「大丈夫です」
「そうか、ならいい。 気をつけて帰れよ」
祐樹はあまり考えずに答えると頭を下げて職員室を後にした。
「あの、先程上杉君がいた気がしたのですが何かあったのですか?」
ユウナはたまたま職員室にいて祐樹を目撃したので理由を聞いてみた。
「知り合いか? あいつ出席日数が足りないんだよ。 それでいじめなら助けてやろうと思ったがサボりだったみたいでな。 俺はそういう奴は助ける気がないんだよ。 カッコいいか?」
「そうなんですね」
それだけ答えるとユウナも職員室を後にする。
最近祐樹がまーさん達といることで不良だと思われないか危惧はしていたがその通りになってしまった。
振られたのだから仕方がないとも思える休みだが学校には関係ない。
自分達なら寄付を送ればいいが祐樹の場合はそれも無理だろう。
「真連に相談してみよう……」
ユウナは家に急ぐ。
真連の部屋に入ると後ろから抱きつく。
「ねぇ、祐樹君だけどさ今日職員室に呼び出されてたよ」
「そうか、休みすぎか?」
「うん、そうみたい……ねぇ、それよりも最近ヤケにつーくんの家に行くわね? 何かあるの?」
「いや……それは聞かないでくれ……」
「何でかなぁ? 2人でえっちなビデオ観てるの?」
「そんな訳ないだろ……それより祐樹だ。 もう無理なのか?」
「えぇ、無理でしょうね……この事実を知るのは冬休み明け……そこでテストがあるからそれで合格すれば進級できるけれど」
「過去の成績知らんけどヤバそうだな」
「ヤバイかもね。 ねぇ、つーくんのお家で見るなら私の裸見る?」
「あのな、違うって言ってるだろ……それにまだダメだろ?」
「うん……早く大人になりたいなぁ」
ユウナはまーさんの前に座ると後ろから抱いてもらいながら2人でテレビを見ていた。
祐樹は家に帰ると最近ハマっているアプリを開く。
これは近くの女の子と出会えるアプリらしい。
ゲームの待ち合わせとして使われているアプリなのだが出会い系に近い感じになっていた。
クリスマスイブの日に約束を取り付けたのはユキちゃんと言う女の子。
歳も同じで家は少し離れているが電車で二駅なのですぐだった。
クリスマスイブまでまだ時間があるので祐樹はプレゼントを買いに行こうと決めた。
一人で電車に乗り少し離れたショッピングモールに着いた。
中に入ると人がたくさんいるがみんなカップルや家族ばかりだった。
祐樹は忍者の如く素早く動き目当ての店に入る。
そこには今時の服が並んでいた。
「サイズとか好みもよく分からないな……」
祐樹はいくつかのサイズを買いそれぞれラッピングして家に帰ろうと思ったが自分の服も買おうと思いとどまり店を探す。
数時間後祐樹はショッピングモールを後にした。
数日が経ちクリスマスイブの日になった。
朝早くから目が覚めると準備してすぐに家を出る。
駅に着くとまだ来ていなかった。
祐樹が時計を見ると朝の7時半、約束の時間は朝の9時である。
まだ時間があるので祐樹は駅の中にある喫茶店の中に入りコーヒーを頼む。
あまり得意ではないコーヒーを飲むと目が覚めてくるような気がした。
しばらく時計を見ながら待っているが全然時間が進まない。
「まだかなり時間があるなぁ……なぜこんなに時間が過ぎないのか……」
祐樹はソワソワしながら座っている。
やがて時間が経ちコーヒーのお代わりをもらうと時計を見て祐樹は立ち上がる。
すでに9時を回っていた。
祐樹はお金を払い慌てて喫茶店を出ると待ち合わせの場所に行くが彼女の姿はない。
アプリを開こうとするがアプリが開けない。
祐樹は困り果てプレゼントを持ち駅のところで8時間待ったが彼女は現れなかった。
空が暗くなり雪が降り始め祐樹はトボトボと家に歩いて帰った。
かえり道にイチャつくカップルを見ると涙が溢れてきた。
祐樹は家に帰るとご飯も食べず自分の部屋に入るとベッドに倒れこむ。
祐樹は気付かなかったがつーさんからクリスマスパーティの誘いのメールが入っていた。
もう少し続くぜ!!
ぜーー!!




