第3話 恐怖
バイト終わりに歩いていると建物の裏から男の人の笑い声と殴る音が聞こえてきた。
関わりたくないと思い祐樹は少し早足で歩いていたが後ろから人が走ってくると祐樹にぶつかり2人は倒れる。
男は身体中ボロボロだった。
「助けてくれ」
男は祐樹にしがみつき離れない。
そこへまーさんが現れた。
「おいおい、逃げるなよ。 まだ嗅覚しか死んでないだろ。 聴覚、視力、味覚が残ってんだろ?」
相変わらずヘラヘラとしながら怖い言葉を並べる。
悪魔より怖いとこの時祐樹は感じた。
「あの、助けてあげたらダメですか?」
祐樹はかわいそうになり聞いてみた。
「おぉ、祐樹か。 バイト帰りか? お疲れ」
そう言うと近付いてくる。
男は祐樹の後ろに隠れる。
「隠れんぼか? まぁいいさ。 俺が鬼な」
まーさんは指で祐樹に顔を下げる様に指示を出す。
祐樹は背筋が凍り指示されるままに顔を下に下ろす。
頭の真上を何かが通り過ぎると後ろにひっついていた男の力が抜けた。
「みーつけた」
祐樹は倒れた男を介抱しようとするがまーさんに引き離された。
「祐樹、お前はこんなクズに近付くな。 俺が片付けてやるよ。 まずは味覚からだな」
その時パトカーのサイレンがたくさん聞こえ何人もの警官が周りを囲んだ。
「動くな。 その倒れている男は?」
「邪魔するのか?」
まーさんは質問に質問で返す。
「君、こちらの質問に答えろ」
まーさんは警官を睨みつけたかと思うと急に祐樹の方をみた。
「お前は関係ないからどっかいけ! 殺すぞ!」
祐樹は怖くてゆっくりと後ずさりすると警官が祐樹を保護してくれた。
すると倒れている男のズボンのポケットの中に手を突っ込む。
中からは白い粉が入った袋が3つ出てきた。
「それは!?」
「こいつらがこれを売ってたからしばいたまでだ。 お前らには見つけれてない売人だろ?」
警官は誰も何も言わない。
すると1人スーツをきた男が警官をかき分けてまーさんの前に立つ。
「これが本物なら我々の知らない売人だな」
「路地裏にも倒れてる。 片付けるなら早くしろ。 お前らの法律で裁けないなら俺が裁く」
スーツの警官はまーさんから白い粉の袋を受け取ると倒れている男の手に手錠をかけた。
「今回だけは見逃してやるよ」
警官達は引き上げて行った。
「カッコよかったですよ!」
祐樹はまーさんの事を見直した。
「そうか?」
「えぇ、それに僕を助けてくれましたしね。 ありがとうございます」
祐樹は頭を下げる。
「あぁ、あれか……実はなお前の服の中に金を隠したんだ」
祐樹が服を脱ぐとお金が落ちてきた。
「売人なぐったからさ、持ち物チェックでもされて俺が持ってたら没収されるだろ?」
笑いながら祐樹から受け取ると歩き去った。
「僕の感動を返してください……」
祐樹は小声で呟いた。
つづく?