第25話 後輩
春になり、祐樹は2年生になった。
後輩も入ってきて少し誇らしかった。
しかし新入生の中でもやんちゃな子達がまーさんとつーさんの話をどこからか聞いてきたらしい。
今つーさんと祐樹の2人は1年生20人に囲まれている。
「えっと……なぜ僕まで?」
祐樹の疑問は最もだった。
22人全員の中で唯一まともに制服を着ているのは祐樹だけだった。
「仲間だろ」
つーさんはわざとみんなに聞こえるように言う。
「やっぱ仲間じゃねぇかよ!! お前がまーさんか!?」
「違います!!」
下級生に敬語を使う。
「まぁ、あんなやついなくても俺には祐樹って仲間がいるんだ、なんとかなるな」
つーさんは完全に祐樹をからかって遊んでいる。
「先輩だからって余裕見せてる場合じゃねぇぞ」
みんなそれぞれに武器を出す。
「みんな武器持ってますよ!?」
「大丈夫だ、こっちにも武器がある」
「本当ですか!?」
「あぁ、この拳だ」
つーさんは祐樹に拳を見せる。
「だめだ……終わった……」
祐樹は殴られるのが嫌なのでどうにか逃げようと思った。
だが祐樹は逃げられなくなった。
茜ちゃんがやってきたのだった。
「下級生いじめちゃダメだよ」
そういうと歩き去ろうとする。
つーさんの顔を見てみると祐樹をに見ながらニヤニヤしている。
「いいぜ、逃げてみろよ」
「逃げません!! 戦います」
祐樹は涙を流しながら答えると仕方なく構える。
しかし全身が震えている。
「あの……その人いいです……」
後輩が祐樹を指差しながら言ってくれた。
「ダメだ!! こいつは俺の背中を預けられる唯一の男だ!! これは演技だ!! 騙されるな!!」
味方であるはずのつーさんの熱演が入る。
「演技なのか!? 汚い野郎だ!!」
みんななぜか祐樹に狙いを定める。
「これで絶対に逃げれないな」
つーさんは物凄く楽しそうだった。
相手の包囲が縮んでくると祐樹の震えは一層強まる。
漏らしてしまいそうだと思った。
「漏らすなよ」
つーさんは心の中を見たかのように言ったので祐樹は覚悟を決めるしかなかった。
つーさんに背中を押されると祐樹は警棒をもった下級生にぶつかる。
殴る訳でもなくただタックルをして相手ごと倒れる。
「なかなかやるな」
つーさんは祐樹の真後ろから下級生の顔を掴むとそのまま握力だけで攻撃を加える。
「どうする? 仲間の顔潰すよ?」
下級生の動きが止まる。
祐樹は輪の中から少し出る。
「早く武器捨てなよ。 潰すの簡単だよ?」
下級生達は武器を投げ捨てる。
「いい子だねぇ。 でもな喧嘩は素手でやるもんなんだよ」
つーさんは説教を始める。
「はぁ……」
下級生達は話を大人しく聞いている。
祐樹は少し違和感を感じた。
その時祐樹は後ろから突き飛ばされ倒れてしまう。
慌てて起き上がるとつーさんの後頭部を金属パイプで殴りつけている男が見えた。
つーさんは一度倒れるがすぐに起き上がる。
「後ろから卑怯だぞ!! いいか、昔の偉い人が言っていた、不意打ちをしていいのは猫と犬だけだとな!! かわいさの不意打ちだ!!」
「何言ってんだよ!! 雑魚が語ってんじゃねぇよ」
下級生だろうかつーさんにも引かない。
祐樹はつーさんの言葉に違う意味で引いているのにと思った。
「わからん奴に説明しても意味ないか……喧嘩は素手でやれ。 武器を持つという事は命のやり取りをするって事だぞ? わかってるのか?」
「勝てばいいんだよ」
「それは戦争だ。 勝てば官軍。 悲しいなぁ。 名前は?」
「俺は永田だ!!」
「そうか……なら何かの縁だな。 俺が武器の使い方ってのを教えてやるよ」
そういうとつーさんは落ちている警棒を拾うと構える。
「かかって来いよ」
鉄パイプを振るうと警棒で受け流すと手首を叩く。
更に横に振り相手の鼻を狙う。
永田が後ろに体を逸らすとつーさんは飛び乗り相手を倒す。
「警棒はな、相手を攻撃する為に使うよりな相手の武器を無力化した方がいいぞ? 次は鉄パイプだな」
そういうと鉄パイプを奪い取る。
「これはなかなかいい長さだ。 鉄パイプってなんで真ん中に穴が空いてるか知ってるか?」
相手は何も答えない。
「答えはな、液体を流す為だよ。 当たり前だろ? それでなお前はさっきからこれで殴ってばかりいるんだが……刺さなきゃ意味ないだろ?」
そういうと鉄パイプを心臓めがけて刺そうと構える。
「覚悟いいか? 心臓が鼓動を打つたびにお前は死に近づく」
「……まいった」
「何が?」
「すいません……」
「あー、謝ってるのか? みんなもかな?」
すると次々と土下座する。
「うーん。 まぁ許しても良いんだけどさぁ。 もう二度と武器使わないでね」
つーさんはそれだけ言うと永田から退き手を差し伸べる。
彼が手を取るとつーさんは起こしてあげた。
「いいか、もう二度と俺に手を出すなよ。 でもな永田 真連、奴には仕掛けても俺は何も言わないからな」
つーさんは満足げに言っている。
「永田……真連?」
「あぁ、奴は学校一の美女を自分の物にして頂点に鎮座していやがる。 奴を倒せば俺より上ってことになるぜ」
完全にみんなをやる気にさせている。
「よし、俺たちは修行して奴を素手で倒そう!!」
「いや、奴は素手では倒せない。 獣だと思え」
つーさんはそれだけ言うと勇気と共に去っていく。
「俺カッコよかっただろ?」
「途中までだけですよ……最後が酷いです」
「そうか? まーさんは大丈夫だろ?」
「いえ、後輩達がですよ……」
続く?




