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第24話 復讐

まーさんが入院したと聞いて祐樹はお見舞いに行った。


和也はユウナさん目当てでついてきたが狙い通りユウナさんもいた。


「大丈夫ですか?」


「あぁ、だけど誰から聞いた?」


「つーさんです。 お見舞いに行ってやれって言われて……何があったんですか?」


何も聞かされていない祐樹はなんで入院しているのかわからなかった。


「絡まれてさ、それでちょっとな」


「大丈夫ですか?」


「あぁ、すぐに治るのにユウナが心配性だからさ」


まーさんは笑っているがユウナさんは少し俯きかげんでずっと座っている。


和也はその姿すら見惚れている。


わからなくもないがどこか悲しそうだと祐樹は感じた。


「それで見舞いに来たんならなんかもってきたんだろうな?」


「あ、はい。 小説を書いてきました」


祐樹は原稿用紙を渡す。


「は!? なぜ!?」


「いやぁ、最近なかなか経験出来ないことを経験しているなぁと思いましてそれを文にまとめてみました。 まーさんとつーさんが主人公です」


「ふーん……」


そういいながらパラパラめくり読んでいく。


「なんでつーさんの名前がつねなんだよ……」


「いや、本名知らないなと思いまして考えました」


「いや、それにしても常はないだろ……可愛そすぎるぞ」


「そんな事ないですよ!! 常さんっていると思いますよ!!」


「いや、いるけどさ……なんか可愛そう……」


「本名なんて言うんですか?」


「シンプルだぞ? 司。 カッコいい名前だよな」


「つかさ!? なるほど……いいですね」


「まぁ本人は嫌みたいだぞ? なんか変わった名前が良かったみたいだ」


「へぇ……なにが良かったんですかね?」


「ツェッペリンとかじゃないか?」


「いや、それ日本人ではないと思いますよ……」


「なんでもいいんだよ。 それよりよく書けてて面白いじゃないかよ。 まとめて投稿とかしてみろよ」


まーさんは読み終わると祐樹なら返す。


「いや、それは恥ずかしいですね」


「大丈夫だ、これ面白いからさ」


まーさんは褒めてくれた。


その後は違う設定の小説の内容を話し合い祐樹は紙にまとめる。


「主人公が実は最強なんだけどさ、記憶が無くてなんの能力も無いって思っててさ」


かなりの時間話し込み、そろそろ帰ろうと席を立つとユウナさんも立ち上がるがどこかフラフラしている印象を受ける。


「おい、ユウナすわっとけ祐樹達は見送りなくてもいいから」


「大丈夫です。 失礼します」


和也は寂しそうだったが祐樹は頭を下げると和也を引っ張って帰った。


「みんなが帰ると静かね」


「そうだな」


「ねぇ。 アイドルのあの娘には言わなくていいの?」


「心配かけたく無いからいいよ」


「ふーん。 あの娘の事好き?」


「さぁ? そんな感情持った事ないからさ」


「……そうよね。 それも私のせいだよね」


「いや違うよ、気にするなよ」


まーさんはそれだけ言うと横になり眠る。


ユウナも病院が用意してくれたベッドで横になり2人は昼寝した。










いつまでここにいればいいんだろうかなどと考えているが答えが見つからない。


飲み物は何故か棺の中にあったがトイレなどは無く食べ物も無い。


このまま死ぬまで入れられるのかと思うと恐怖で叫んでしまう。


叫び疲れると心が穏やかになる気がすると言うのを繰り返していた。


「スマホが無いのは困るが時計はあるのは助かった。 多分2日目だな」


棺は木でできている。


何とか道具を使って壊すしか無いと思った。


手元にあるのは懐中電灯、水のペットボトルたくさん、ポケットの中にコインが数枚、後は隠し持っていたナイフだった。


ナイフを取り出すと板に刺すがかなり厚いのか貫通しない。


何度か試すと疲れを感じナイフを置く。


「こんなところで死んでたまるか!!」


叫ぶと再びナイフを握り所構わず刺しまくる。


しばらく刺していると少し光が漏れてきた。


「昼か……なんとかなりそうだな」


穴が開いた部分を徐々に大きくする為ナイフを振り続ける。


光が沈み暗くなっても続けまた光が差し込む頃にはかなりの大きさの穴が開いた。


「助けてくれ!!」


大声で叫んでみる。


しかし反応はない。


人里離れた場所に連れてこられたんだと思った。


「あのヤローいつか絶対に復讐してやる」


心に誓って棺を壊し続ける。


穴がかなり大きくなり何とか頭を出すことが出来た。


見回すとどこかの山小屋の様な感じだった。


一度中に戻り更に穴を大きくする。


また光が射し込んできた。


やっとの事で棺の中から出ると疲れを感じ座り込む。


「やっと出られた……」


少し休憩し山小屋の中を見て回るとキッチンと冷蔵庫があった。


冷蔵庫を開けると中に食料が入っている。


「誰か住んでいるのか?」


独り言が増えた気がするがそんなことを考えてもしょうがない。


冷蔵庫の食料を食べるとかなり体力は回復してきた。


「あいつらは俺のことを殺すつもりだったんだな……こっちから乗り込んでやる」


山小屋にあった斧を持つと山小屋を後にした。









つーさんは山小屋に戻ってきた。


糸井を外に出してやろうと思ったのだ。


小屋の中に入ると棺は壊れ中に人はいなかった。


「逃げたのか……めんどくさいな」


つーさんは小屋を出るとしゃがみこみ地面をじっと見る。


人が歩くと微妙に踏み固められたり、草木が折れたり蜘蛛の巣が壊れたり、色々な痕跡を残す。


つーさんは枯葉が溜まっているところに彼の物であろう踏み跡を見つけると跡を追う。


糸井はどうやら体力も回復しておりかなりのスピードで歩いているとわかった。


ここはかなり山奥なので普通に歩いても街に出るのに半日はかかる。


しかし彼はどこに街があるのかもわからないので川を見つけそれを下って行くだろうとつーさんは考えた。


川へ向かうとやはりと言うべきか足跡があった。


しかしそれと同時になにか重いものを置いた後もあった。


「斧か?」


つーさんはヘコみ具合から想像する。


足跡を追って川を下る。


しばらく歩くがなかなか追いつかない。


つーさんは周りを警戒しながら歩かなくてはいけないが糸井は何も恐れず歩いているので当然スピードは違う。


しかも糸井は復讐しか頭に無いはずだ。


つーさんは疲れを覚え少し休憩する事にした。


携帯を取り出すが圏外だった。


「まあ、病院の場所まではわからんだろ」


来てもユウナがいるから大丈夫だろうと思った。


方角的には自分達の街に向かっている。


つーさんはじっと足跡を見ている。


斧だけにしては足跡の沈み方が大きい。


重いものを持つかわざと足跡をつけたとしか思えない。


つーさんは立ち上がると川を背にして構える。


「どこかに隠れているのか? 追ってるのがバレたのか?」


しばらく待つが糸井は出てこない。


すると考えられるのは違う方向に進路を変えたのだろう。


つーさんは辺りの地面に痕跡を探すが何も見つからない。


仕方がないので足跡を辿る。


やはり途中で足跡は消えていた。


「いや、待てよここからわずかに街が見える……奴はこれを見て足跡をもう一回踏んだんだな」


つーさんは足跡を戻ると石が多い場所で川を渡る。


すると足跡は無いが木の枝が折れてぶら下がっていた。


「ビンゴ……」


嫌な予感が当たってしまった。


こっちに向かえば病院が近い。


糸井はまーさんの怪我の具合を把握しているのかもしれない。


この街で1番大きな病院に行くはずだと思った。


たしかにそこは知り合いの病院である。


つーさんは走りながら電波の確認をするがまだ入らない。


「クソッたれ!!」


つーさんは走るスピードを速める。







糸井は街に戻っていた。


かつてのイケメンな顔は残っておらず今はいろんな所が腫れていて血も固まったままだった。


あのケガなら1番大きい病院に行くに決まっている。


斧だけでは殺せないかもしれないと思いホームセンターに入ると包丁と奪いベルトに刺す。


これで奴に勝ち、また一からやり直せばいいと思っていた。


ホームセンターを出ると病院へ入る。


すぐ近くの距離にある。


これはかなり都合が良かった。


個室でもいい部屋にいるに違いない。


それは少し厄介だった。


しかし糸井には運が向いていた。


たまたま人質に取った看護師の女性がエレベーターの鍵を持っていた。


人質に取ったまま最上階まであがる。


1番広い部屋に決まっている。


それは2部屋しかない。


右の部屋は扉が開いていた。


と、言うことは左の部屋だ。


糸井は人質に扉を開けさせる。


中には奴がいた。


パジャマ姿で立っているその男は明らかに顔色が悪かった。


看護師の女を部屋の奥に突き飛ばすと斧を抜く。


しかし相手は身動き1つしない。


「殺される覚悟が出来たのか!?」


「いや、俺は死なねぇ。 それに銃で勝てない相手に斧と包丁で勝てると思ってんのか?」


「お前は怪我している。 それも相当の深手だ。 俺は勝てる!! そしてユウナは俺の妻として迎える!!」


「そうか……」


それだけ答えると何も話さなくなった。


「お前にわかるか!? 顔をボコボコにされ仲間は去っていった。 さらに棺の中に入れられ、出たら森の中だ。 やっと運が向いてきた!!」


糸井はかなり嬉しそうだった。


「お前は喋りに来たのか?」


「違う!! いや、半分はそうだが彼女はどこだ!?」


「売店に買い物に行った。 早くかかってこい」


糸井は右手に斧、左手に包丁を握ると相手に向かって行く。


間合いに入った時斧を振り首を落とそうとするが相手は避ける。


その時胸を狙って包丁を振り下ろす。


男はベッドに倒れ避けると糸井を足で蹴り飛ばす。


2人が立ち上がるとすでに相手は息が切れていた。


「もう息切れか!? これで終わりだな」


糸井は嬉しそうに言うと斧を振りかざす。


しかしこの時発砲音が聞こえると糸井は後ろを振り向く。


「なぜ……」


糸井はそのまま倒れる。


まーさんは何が起きたのか理解出来なかったが見ると入り口の所に銃を構えた警官がまだ銃を構えたまま止まっていた。


「……キャアアアア!!」


看護師が思い出したかの様に悲鳴をあげるなかまーさんはナースコールを押す。


病室に医者や看護師が入ってくると糸井を連れて行く。


警官は上司らしき男に連れられて行った。


「なぜ警察がこんなに早く来たんだ?」


まーさんはベッドに座り傷口の手当てをしてもらいながら戻ってきたユウナに聞いた。


「私は知らないわ」


「そうか……」


その時まーさんの携帯が鳴る。


「どうした?」


『間に合ったか!? 生きてるなら間に合ったな!! とりあえずもうすぐつくからな!!』


つーさんは半分叫びながら聞いてくる。


「大丈夫だ。 警官呼んだのか!?」


『あぁ、間に合いそうになかったからな』


「助かったよ」


それだけ言うと電話を切る。


「もう寝かしてくれ」


まーさんはそれだけ言うとベッドに横になる。


そこへつーさんが駆け込んできた。


「大丈夫か!? 斧を持ってただろ!?」


「あぁ、しかもこっちはフラフラだ」


「ユウナは無事だったのか?」


「えぇ、私は売店にいて平気だったわ」


「そうか……いやぁ、あれは俺のミスだ。 次からは石の棺にするよ」


「いや、どっちでもいいから寝かせてくれ」


「なんだ!? どこかやられたのか!?」


「大丈夫だから寝かせてくれ……」


「あ!? 俺は邪魔だったな!! いやぁ、悪い悪い、2人で過ごしてるもんな」


ニヤニヤしながらつーさんは出て行く。


ユウナとまーさんは何か言っているが扉を閉めて走って帰った。


「俺もイチャラブするか!!」











続く




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