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攻撃力0のリセイバー  作者: 松平雅樹
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第一章3『攻撃力0の攻撃手段』

「これだ」


 持ってきた魔道書は煤まみれで黒色をしていた。

 ウィンバーグが手で煤をはらうと本は緑色だった。竜の紋章が書いてあり、隅々まで彫刻されている。


「先に、その剣を見せてほしい。基本的に剣や盾、装備等は魔法を嫌う性質でね。……………………………うむ、魔法反発の性質は無いな。それからこれとベストマッチだ」


「見ただけで分かるのか……。それでこの魔道書は何ですか?」


「これは魔法を跳ね返す能力を直接物や生物に付与する魔道書。しかしこれはガラクタでな。煤が付いていたのも店の一番触らない所に放置していたからなんだが」


「魔法を跳ね返す力のどこがガラクタなんです!?」


「付与できる回数と範囲……。普通、魔道書は使用した本人にとある魔法を授ける。そして本人が魔法を使う。これだけなんだが。

 この魔道書は一度きりの付与で付与した場所に永久に発動するのだが範囲が狭い。総面積で大体頭が守れる分しか無いのだよ。

 だから武器はサイズ的に丁度良いのだが反発効果で基本付与できないのだが、君の持っている剣は実に興味深い。

 だがどの魔道書にも副作用効果がある。魔力値と魔力量の変動や一定の攻撃のみ有効など様々だが………その顔ツバキと同じだな。魔力値と魔力量を知らないな?」


「魔力値、魔力量があると言うこと自体初耳です」


 魔力量の存在は何となく想像がつくが、魔力値とは………。


「それなら、東の王国『エウロス』のギルドで測るとよい」


「分かりました」


「この魔道書の対魔法反射効果は未知数だ。何でも跳ね返せると思うな。攻撃魔法の使い手と練習をした方が良い」


「はい…」


 完璧過ぎる能力だと思ったが万能ではないのか。

 練習と言われても、雑魚と練習してくれる人は居ないだろう。


「本題に戻るが魔道書はどうする?代金は金貨25枚だ」


「覚悟はしていましたが、かなり高いですね」


「危険なダンジョンから出てきた物だ、仕方ない」


「買います。でも今すぐには払えません……」


「借金で利子付きの金貨3枚なら売ってやろう。今すぐに金貨1枚払えるなら頭金として受け取り利子はこれ以上受け取らないがどうだ?期限は1年。一年を過ぎたら無理やりにでも分割払いして貰う」


 剣を換金しておいて良かった。質屋のオヤジに感謝だ。


「今すぐに金貨1枚払います」


「ほぉ、誰かからうちの店の経営事情を聞いてから来たのかな?」


「経営情報……?」


「いや、なんでもない金貨は貰う。あと残り金貨25枚。こちらは逃げられたりしたらたまったものじゃないから、呪いを掛ける」


「呪い?」


「危ないものじゃない。ただ他の借金ができなくなる呪いだ。紋章を肌に刻む事になるが借金が無くなったら綺麗さっぱり消えるから安心しな。それとできるだけ見えない場所にしておこう。脇の下でいいな」


「はぁ………」


「腕を上げてくれ。服の上からでよい」


 ウィンバーグは右手を伸ばし中指を俺の脇の下に当てた。


「痛っ…」


 一瞬、静電気が走ったような痛みを受けたが何ともない。


「終わりだ、頭金は貰った。この魔道書は君の物だが今付与するか?」


「お願いします」


「その袋に入れた状態でよい。本を開いた瞬間に魔法が飛び出る。それをしっかりその袋に当てる事」


「はい」


 ウィンバーグが魔道書の龍の紋章を指で擦ると龍が動き出した。その龍は表紙を飛び回った後、消えた。


「いくぞ」


 魔道書開き掛けた瞬間、龍の形をした緑色の光がレーザービームの様に飛び出した。

 その光はテニスラケットに当たり周囲には緑と紫の術式が多重に展開、生成され幻想的だ。しかしそれも直ぐに消え、ラケットケースの色が光線と同じ、緑と紫色になった。


袋から取り出した瞬間


「ハイグレード武器!」


突然ウィンバーグが大きな声を上げ驚く


「……?!」


「あの変な形の剣がこんな立派な剣になるとは。当たりを引いたな」


 色が変わっただけじゃないか。何を言っているんだ?ともかくは成功したみたいだ


「ありがとうございました…!借金は必ず」


「あぁ。待て、『エウロス』に付くまで魔力量と魔力値が分からないだろう、この辺りのモンスターは問題無いが念のため持っておけ。

南の王国『ノトス』のモンスター『ケルピー』から取れた薬だ。残り2滴だけだが、これを使えば魔道書の副作用が止まる。ただ、1滴につき効果は5分だけだ。注意しろ。

 本来は一滴、青貨1枚だが、慈悲だ。今懐に有る小金で売ってやる」


「銀貨5枚しかないです。良いのですか?」


「あぁ、いい」


「ありがとうございます!」


「最後に名を聞かせてくれ」


「……ショウです」


なぜ名前を聞くのであろうか。


「ショウ達者で」


 お辞儀をしてウィンバーグ魔道書店、闇市を出て行き、少し歩いてストリートのベンチに座る。


 今はまだ16時、ガキ共とのイベントから4時間経っているが、まだ時間は有るので、やることを整理する。


 あの街が破壊された日、壁が南側から壊されていたと言う事を考え南方の森を調査しに行くべきなのか。


 他にもこの街で戦力をかき集める事や避難させるのも考えたが俺を信じてくれる人は誰一人居ないだろう。

 それにウィンバーグの店でやらかした事がある。持ち金を全部、俺個人の強化に使ってしまった。本当は夜と翌朝の飯代の予定だった。


 なので、申し訳ないが計画的にまたあの場所で縮こまり、あの薄ピンク髪のメイド服の少女にご馳走して貰わなくてはならない。計画的犯行になってしまうので心が痛いが、この手しかない。


 ずっとベンチで考え込んでいても結論には至らないのでとりあえず、ギルド、街役場と南門に行くことにした。夜にはあの複雑な思い出のストリートで縮こまらなければならないのでタイムリミットもある。迅速に解決法方を探さなければならない。


まずはギルド、街役場へ

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