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攻撃力0のリセイバー  作者: 松平雅樹
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第一章2『雑魚は雑魚なりに準備』

「いらっしゃーい。…雑魚か」


 質屋の扉を開けて直ぐに侮辱した声が聞こえたが、そんなものもう慣れた。


「換金を頼む。先にリストを見せてくれ」


 雑魚だからと差別金額になるのはごめんだ。数日前、屋台で『ハンニグラム』の串焼き肉を買った際、本来は一本銀貨3枚の所だが、一本銀貨5枚で買わせられた。

 この事に気づいたのは購入後で、店主に物申したが聞く耳持たずだった。


「これだ」


 店主は紙を取り出し、買い取りリストを見せてくれた。売りたい物の項目に目をやる。


『ポーション系:回復ポーション銀貨1枚、解毒ポーション銀貨1枚、麻痺ポーション銀貨1枚

 軽装備系:腰ポーチ銀貨1枚、剣差しベルト銀貨1枚』


 これらを換金し、銀貨5枚を手に入れた。

 剣も換金したいところだが、以前テニスラケットを売ろうとしたときに同時に差し出したが買って貰えなかった。


 テニスラケットはガラクタだと思われ、剣に関しては神話で『救済者から剣を買う、貰うの行為は禁忌』と言う、またしても神話に縛られた最悪なパターンだ。


「オヤジ、剣は買い取りできないんだよな?」


「あぁ、欲しいところだが救済者から買ったらダメなんだよ」


「なら貸すならどうだ?」


「貸すだと…?」


「剣をオヤジに貸して、俺がお金を受けとる。次立ち寄ったときに利子付きでお金を返し、剣を返して貰う。どうだ?」


「まぁ、確かにこれなら神話には引っ掛からないな。だが本当に利子付きで返してくれんのか?」


「約束する。それと、もし俺が死んだらこの剣はオヤジの物だ。神話には『救済者から買う、貰う』と書いてあるだろ?俺が死んだ地点で俺は救済者ではなくなる。神話に引っ掛からないはずだ」


「…まぁ、良いだろう。利子は青貨一枚でどうだ?」


「高いな、でも他に宛は無いしそれで頼む。必ず返しに来る。それと情報をくれないか?闇市の」


「有るには有るけどよ。また、なんで闇市なんだ?」


「立ち話していた人から偶然聞こえてな。とある救済者が闇市の魔道書店で借金をしてまで上級魔道書を買ったとか…言ってたのだが」


「あー。恐らく『ウィンバーグ魔道書店』だな。この街唯一の魔道書店だが闇市に有るから一般人は近づかないんだ」


喋りながら紙に地図を書いてくれている。


「店の位置を教えてやっても良いけど、青貨一枚でどうだ?利子の時に上乗せで持ってきてくれればそれで良い」


「結構話してくれるから金は取らないかと思ったけど結局取るのかよ」


「情報も商売道具だからな」


「………まあいい。頼む」


「毎度あり。この紙見ながら行ってこい。ウィンバーグには言葉使いに気を付けろよ」


紙と剣の代金の金貨1枚を渡してくれた。


 店を出て、紙の地図に書かれた闇市へと向かう。


「…ったく。あの雑魚何をしようとしているんだか。本当はこの剣、金貨1枚の価値も更々無い物が、ウィンバーグに行くなら必要だしな…頑張れよ」




「お邪魔します」


 書店内は怪しげな雰囲気が漂っており、紫色のスモッグがまとわり付いた水晶玉やワニの顔の骨。いや、恐らく龍の顔の骨等々、異物がひしめき合っている。魔道書店と言う割には本が見当たらない。


「おやおや〜。もしかして救済者様では有りませんか。ザ・コ・の」


「そうです。雑魚の救済者です」


「ほ〜ん。弁えていて大変結構。それで何を探しに来たのかなぁ?」


「特にコレと言うものは無いのですが、何か攻撃手段になるような物が欲しいのです」


「まぁ、そーだよね。最弱のモンスターに攻撃が通らないらしいものね。それなら魔道書だけど、高いよ。新しい能力を簡単に習得できる優れものだからね。それはそうと、とりあえずステータス測ってみようか」


 そう言って中央ににクリスタルが嵌め込まれたただの石板を持ってきた。


 やはり、ステータスが存在するのか。と言うか測れるのか……。


「手を乗せて、石板に文字が浮かび上がるまで動かしてはいけない。その間、話を聞かせよう」


「何の話です?」


「ここの書店に来た、もう一人の救済者の話を」


「…………!」


「奴は『ツバキ』と言う名だった。なぜか偶然、闇市に迷い混みとりあえず入った店がうちだったわけだ。そんなの普通あり得ないいのだがね。とりあえずステータスを測ってみたら驚いたよ。魔法耐性が0だっだ。そして更に驚いたのが攻撃力が普通の2倍だった」


「それでツバキはどんな魔道書を買っ………」


「おっ………文字が浮き出てきた」


 タイミングが悪く、質問を言い切る前に割り込むように言われてしまった。


 文字はもちろん読めないが色々と文字が並んでいた。


「やっぱりか、君攻撃力が0だね。そして魔法耐性が普通の2倍。予想した通りだ。いや、予想段階に過ぎないが君とツバキはこの世界に来た際にステータスが入れ混ざったのだと思われる」


「…………」


「君は攻撃力が0な訳だから攻撃系の魔法を覚えたところで0に何を掛けても0だ。攻撃系の魔道書が多いからなぁ。何を選べば良いのか難しいところだ」


 顎に手を当てて目をつむり真剣に考えてくれているみたいだ。


「一つ聞かせてくれ。君の肩に掛かっている奇妙な形をした剣はなんだ?」


「これは、テニスラケットと言って。ボールをこれで打って決められた枠内で跳ね返し合う物です」


「跳ね返す物なのか?」


「まぁ、はい。一応」


「それなら話が早いな。…………………………………………………これが良い」


奥の棚から魔道書を持って来てくれた。

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