プロローグ『始まりは嵐、終わりは』
「突如日本を囲むように現れた黒い嵐と竜巻。
それは決壊のように出入り不可能、船や飛行機で強引に通り抜けようとするも、全て海の藻屑となった。
外部との通信もできず海外とのラインが途絶え、経済状況が悪化。日本は終わりへと誘われている。
誰もが終わりかと思ったその時、日本の禁書庫から古い文献が発見される。
そこに記載されていた事は、嵐は1000年前にも発生しており、パワレルワールドとの衝突による時空の歪みが原因だと。
量子力学により8分の違いの世界が存在するとされていたが、1000年の時を経て現れたのだ。
多様な事が記入されていたが、肝心な嵐を止める方法のページは意図的に破られた痕跡が有り、冒頭と一部の破れ残りにはこのように記載されていた。
『 他世界へは300の若い血で嵐に突き進め。
さすれば、道は切り開かれる。
古い血は嫌われる。
持ち物は一人一つ。
始まりは嵐。終わりは』
文章はここで破られ途切れていたが、この事から「若者300人のみで嵐に飛び込め」と言う結論に至る。
文献発見から約1ヶ月後、俺達高校生300人には異世界で嵐を止める仕事を強制され、禁書庫の本は300人分を小説のように製本され渡された。
嵐に立ち向かう者は完全ランダムで全国の高校生から選ばれ、その中で俺と同じ学校の生徒は6人居るようだが誰かは教えてもらえなかった。
一見ただの集団自殺だと思うが、何か行動を起こさないと、どちらにせよ日本は終わる。
だから強制を迫られた人も特には文句を言わなかった。
そして出発の時は直ぐに来た。
300人が乗る船は途中まで大人が引率し嵐の根元のギリギリまで近づくと、脱出し帰って行った。
船は真っ直ぐに嵐に吸い込まれて行き、次の瞬間視界が途絶えた。
数秒後視界が開け、目線の先には目を瞑り手を合わせ願い事をしている人達がいた。
状況が理解できず、仁王立ちして祭壇に立っている俺達を見て、彼らは涙ながらにこう言った」
「救済者様が天から助けに来てくださった」