ほしのおくりもの
「ゼリオくん」
「その名前やめてくれよ」
「ゼリーみたいなくせしてウサギ気取りのゼリオくん」
「嫌いになるよ。マシュマロみたいなくせしてナマコ気取りのマナコちゃん」
「もう。意地悪なこと言うと嫌われるぞ」
「君がね」
「わたちのこと嫌い?」
「うん」
「こら。怒るぞ」
「ねえ。マナコちゃんはどうしてナマコを選んだの」
「ゼリオくんはどうしてウサギを選んだの」
「もいいや。黙って邪魔すんなよ」
「ずいぶん寂しい絵」
「昔に比べたら地球も月みたいにすっかり色褪せたからね」
「月は反対に緑と青が綺麗だぞ」
「地球の人が緑と青をくれたから」
「最近。届かないぞ」
「こっちはここで生まれた赤とか黄を贈ってるんだけどね」
「地球の人ー!意地悪すると隕石落っことすぞー!」
「そんなことしたら。昔みたいにミサイルがやってくるよ」
「焼きマシュマロになれたのはいい経験だったぞ」
「僕はあやうく溶けて無くなるとこだったよ」
「そしたらゼリオくんはオモラシくんになっちゃうね」
「なんないよ」
「おーい!聞こえるか地球の人ー!」
「聞こえないよ。どっちも」
「そういやあのハゲ。元気にしてるかな」
「人の命は短い。もういないんじゃないかな」
「そんなに経つ?」
「マナコちゃんがハゲに恋して。もう二百は過ぎたよ」
「人の時間?」
「そ」
「あ!見て!」
「あれは地球からの贈り物だ」
「取ってゼリオくん」
「ようし」
「中身はなあに?中身はなあに?」
「花の種だよ。他にも色々入ってる」
「これはなあに?」
「それは飴ちゃんだよ」
「わあ。透き通ってて綺麗。こっちが地球でこっちが月みたいだぞ」
「僕は地球を食べたくないな」
「好きだもんね」
「マナコちゃんは少しの好きもないね」
「これは飴ちゃんだぞ」
「地球はどんな味?」
「んー。あっさりした塩味」
「ずいぶんと味気なくなったね」
「月はどんな味?」
「反対にずいぶんと甘いよ」
「ずるいぞ」
「まだたくさんあるよ」
「ゼリオくん。欲張りは嫌われるぞ」
「君がね」
「こっからは何を贈り返そう」
「これ。地球と月の絵を」
「がっかりさせるぞ」
「だから虹色に彩って完成させてから贈るんだよ」
「ほおん」
「それと。この前落っこってきた素敵な石も贈ろう」
「えーーー。わたちの結婚指輪にするんだぞ」
「いつになるやら」
「じゃ。いいぞ」
「楽しみだな。みんな喜んでくれるかな」
「この写真見てみ」
「それも入ってたの」
「みんないい笑顔だぞ」
「嬉しいな。ようし。頑張って絵を完成させるよ」
「いつになるやら」
「明日までにはやるよ」
「お早いこと」
「僕らは地球が好き。そうだろ」
「好きだぞー!聞こえるか地球の人ー!」
「聞こえたらいいね」