5/10
事態は唐突に
少女を治すのは簡単だった。床に陣を描き、それの中央に少女を。そして人が大量に血液を流す。
おいまて……それ死んじゃわないか?
「あほか……俺がなんでそこまで……」
「治す方法みつかったろ?」
「それ治すっていわな……いつからそこに?」
あの職員だ。今日は何故か食料を持っていない。
「驚かないんだね?なんかがっかりだよ」
「慣れてるさ。殺されそうになるのは」
あの院長にな……
「それより食料よこせよ。お腹減った」
「食料はね……もうないよ」
もうない……?
「それって……?」
「悪いな。お前に食料を渡していたのがバレた。思ったより早かっただね」
「なるほど……この少女……いや魔女の生贄にされる予定だったわけか」
魔女復活の儀式。つまりは餓死した後にでも適当にやろうと思ってたんだろう。
「で?お前も無事では済まないんだろ?」
「まあね。でも君が魔女を復活させてくれれば僕は助かることになってる」
自分勝手……だなぁ……でも……
「俺は医者だから無駄な命は許しなんてしない」
あの院長の息子ようなことはしない
そう……絶対に。