そして少年は
今思うと馬鹿だったんだろう。
俺はあの少女を助けたいと思った。それが問題だって気づかない時点で狂っていた。
せめて、この手を使ってでもと思ったのだが……これはどうやら俺が死ぬだけだったらしい。
少女は始めから目覚めないんだ。
「一ノ咲先生。貴方に頼みたい仕事があるんです」
俺は医者だ。いいや……今は医者ではないのか。
「ドイツの方にですね………」
始めからおかしな話だと気づけなかった俺がわるいのだ。
「研究所の施設は完備。貴方のための病院のようなものです」
眠り続ける少女の病気を治すという内容だった。
「わかりました。引き受けます」
そう言うのを院長は知っていただろう。俺が返事をしないわけがないと………
医療大国であるドイツにたかだか日本国内で名の知れている程度の医者を呼ぶわけがなかった。ようは俺は嵌められたらしい。
その施設に確かに眠り続ける少女はいた。だがその少女を治すまで俺がその施設から外に出ることは出来なかった。
つまり院長は自分の息子に病院を継がせたいらしく俺のような奴は邪魔者らしい。迷惑な話だ。
まあ俺としてもこのまま閉じ込められたままというのは困るので少女の体を調べつくして早3年といったところか……全く異常が見当たらないのだ。脳に異常はなく……もちろん神経もつながっている。異常がない。異常なほどに……
そんな少女と俺の話だ。