プロローグ
はじめまして柊 ゆらぎ と申します。
さて、見切り発車感がヤバいですが、書きたくて仕方なかったので思いきって取り敢えず書いてから考えようと思いやってしまった結果でございます。
お目汚しではございますが、最後まで読んでくださると嬉しいです!
「...おい、ほんとにやるのか?」
僅かに湿り気を帯びたダンジョンの空気の中、人の目を憚るようにクラスの中でも特にうるさい三人が肩を寄せ合い囁きあっている。
「やるなら今日しかないって!」
「そりゃいいけどよ...でもやるっつってもどうやるんだよ」
「...そりゃ、まぁダンジョン攻略だしな。戦闘中にどさくさに紛れてとか地下2階の吊り橋から突き落とすとかあるだろ?」
「そうそう!工藤達がいるっつっても、前衛後衛で離れてるし、後衛にボッチ野郎の事気にしてる奴いねぇからなんとかなるって!!」
「...はぁ」
小さく溜め息をつく。つかざるをえない。いつも思ってたけど、やっぱこいつら馬鹿なんじゃないかなー。
「...なんでこんなに大勢周りにいる状況で誰か殺す算段立ててんの...馬鹿なの?死ぬの?」
通路が狭いと言う事もあるが、彼等と2mも離れてない距離でボソリと呟いても俺の声はあいつ等には聞こえない。なぜなら“そういうスキルだった”から。
......別にあいつ等に、いや。誰に嫌われても、陰でなんと言われてもいい。というかどうでもいい。所詮は他人だ。
だが、彼等にとってはそうではないらしい。普段は会話すらまともにした事もないのに、いつの間にか俺を殺す算段までまで立ててるのだから、きっと譲れない何かがあるのだろう。...そうであって欲しい。
というか、これで特に理由がないなら、流石に独りでいるのが好きな俺でもちょっと泣きそうになっちゃうぞ!
...でも何故だ。こっちは普段から気を使って、彼等の領分を犯さないように、孤独に背景になろうと日々ぼっちを満喫してるだけなのに、どうして彼等は向こうから絡んで来るきっかけを探してるんだろうか。まともに会話すらしたことないのに。何度考えても彼等の考えが理解できない。
「そこ!私語は慎めッ!!」
隊列の最後尾から、今回のダンジョン攻略の護衛についてくれている騎士からお叱りの声が飛ぶ。
「まだ魔物こそ出てきてないが、訓練とは言えここはダンジョンだぞ!今この瞬間に襲撃があるとも限らんのだ、!もっと気を引き締めろ!魔物がいない君達の世界とは違うんだぞ!そもそも...」
ビクつく彼等に、騎士様のグダグダとしたご高説がのたまわれる。...てか、ここにも馬鹿がいたか。
「なんで今この瞬間に襲撃があったら真っ先に死ぬのはあの人だな...っと...」
叱られる彼等を横目に、いつもの癖で眼鏡のブリッジを中指でついっと押し上げようとする。でもそこにあるはずの眼鏡は無い。
「...早くこれにも慣れないとな」
この世界にクラスごと転移してから早一週間。最初の頃は、剣と魔法とダンジョンの満ち溢れた冒険の世界に、まるでゲームの様な世界だと素直に喜んだ。ライトノベルの様な異世界転移にチートだ無双だと胸も熱くなった。
...でもちょっと落ち着いた時に気付いてしまった。
“あれはフィクションで、ハッピーなエンディングが見えてるから楽しかったんだなー”
と。
考えて見て欲しい。全員とは言わないが、今まで一般人として日々を惰性生きてきた人間が、字も読めない、全く知らない世界に放り出され、一体何ができるのか。どう使うかも分からない力を押し付けられ、そのうえ無一文で
“これから貴方の命をかけて我々が倒せない敵を倒してくれ”
と言われて何が嬉しいのか。しかも敵を倒さないと元いた世界には返せないってなんなんだ。
そんな状況でハッピーエンドか分かんないけど取り敢えずで命懸けとか楽しいもクソも無い。寧ろふざけるのも大概にしろと思う。
「...なんでこんな事になってんだ」
いつも通りの日常から一転、異世界に飛ばされ、気付けばクラスメイトから命を狙われる訳の分からない現状。“今はまだ”1人で生きていけないからどうしようもないのは百も承知だが、1つだけ言わせて欲しい。
「早く1人になりたい...
最後まで読んでくださりありがとうございます!不定期更新になると思いますが、ぼちぼちと続けたいと思っておりますので、ふとした時に
アレまだ続いてるかな?
と思い出していただけると幸いですww
では、柊 ゆらぎでございました。