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悲劇
暖かい部屋の中
うとうととしていた。
窓の外では桜が満開に咲いている。
あれ?私が見たときには曇り空に何もない木だけだったのに…
「そっか、春が来たんだ。」
『そうだよ。来たんだよ。』
どこからか声がしたような気がした。
でも周りを見渡しても赤黒い液体の広がる床と
苦しそうにもがいてる男が一人。
それを見て私はうっすらと笑みを浮かべた。
その男は脇腹を抱え、目には涙をにじませている。
『許してくれ。お願いだ』
「えっ?おねがいってなぁーにぃ?」
ニヤニヤと汚い笑みを浮かべる私が鏡に映っている。
私は何をしていたんだっけ?
楽しくて仕方がないや。
そうか、こいつを殺そうとして…
手を伸ばしてきた男に最後の一振りをかました。