放課後
「んあ、よく寝たな。」
「全くよ。寝過ぎにも程があるわよ。」
声が聞こえたから、顔を上げてみるとレヴィが目の前にいた。
「いたのか?」
「いたのか、じゃないわよ! あんたが寝てるせいで家の中にも入れないし、ここにいるしかなかったのよ!」
この馬鹿は、一回家に帰ったらしい。
「起こせばよかったじゃないかよ。」
「起こそうとしましたよ! そしたら、『邪魔』とか言いながら手刀を首に放ってきたんだからね! 死ぬかと思ったわよ!」
「………それでも叩き起こせばよかっただろう?」
「ぶっ殺すわよ!!」
そこまで怒る必要あるのか?
カルシウム足りてないんじゃないのか?
「どうでもいいや、帰るぞ。」
「あ、待って。さっき、何か用事があってきた子がいたけど。」
「どんなやつだ?」
「可愛い子だったけど、右目の下と左の顎付近に火傷みたいな跡がある子だったよ。」
確定!!
がっつり知ってるやつだ。
しかも、かなりのクセの強い子だよ。
表すなら、ヤンヤンヤンデレかな?
かなり愛が重い(怖い)んだよな。
黙っていれば可愛いものの、しゃべりだしたら止まらないし、怖いんだよな。
「どうしたの? 遠い目になってたけど。」
「いや、そいつは知ってるやつでさ、かなり性格に難ありでさ、多分俺っていうのはすぐわかるんだよな。どう誤魔化そうか悩んでんだよ。」
「あ〜ね。何となく予想できるよ。」
レヴィは若干顔を赤らめながら視線を逸らした。
「おいコラ、発情ピンクお前の考えてるような事ではないぞ。歪んだ愛情を持つ奴だよ。」
「あ、そうなの? って、誰が発情ピンクよ!」
顔を真っ赤にして怒鳴ってきた。
うるせぇ。
「顔を真っ赤にして、視線を逸らしながら歯切れが悪く言ってる奴が発情ピンク以外に何かあるか?」
「それでも! 言葉は考えるでしょ⁉︎」
あ、否定はしないんだ。
引くわ〜。
「え、ちょっと! 何体を半身引いてるのよ⁉︎」
「いやぁ、発情ピンクは生理的に無理だから。」
ピシッ!
レヴィの顔に亀裂が入ったような音が聞こえた気がした。
何か悪いこと言ったか?
「ば……。」
「ば?」
「バカァ!」
そう言うとレヴィは走り去っていった。
「えぇ〜? あいつは嫉妬で、色欲じゃないだろう。」
その独り言だけ、教室に木霊した。