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真実

俺は記憶を頼りに美希の家に向かった。

彼女の家に近づくにつれて忘れていた記憶が蘇る。


まだこの駄菓子屋あったんだ。

美希とよく行った。

20円のあんず飴が好きでよく買ってあげたんだ。 たった20円のあんず飴なのに美希は嬉しそうに食べていた。


そこの角を曲がったら美希の家だ。


電柱の落書きに目が行く。

電柱には美希大好きだと、マジックで書いてある。もちろん俺が書いたんだ。


、、、れ、、あれ、、、無意識に頬を涙が伝う。

、、、なんで、もっと疑問に思わなかったんだ。あんないい子がいきなりサヨナラなんていうかよ。

きっと俺に言えない理由があったんだ。




、、、変わらない。

外壁の色は塗り替えたのか綺麗になっていたが昔のまんまだ。

インタホンを押すか迷っていると、、、


ガチャ、、、誰かが出てきた。


清君だ。


清君は驚きもせず冷静に、、、来ると思ったよ。と言うと俺を家に上げてくれた。


確か美希の両親は海外で仕事をしていた。

今はわからないが人の気配は無い。


清君は俺を居間に通すとどっかりソファーに座って天井を見上げた。


本当に知りたいか?、、、美希の事。


俺は小さく頷く。


清君 じゃあ約束してくれ。この話を聞いたら黙って帰る事。

二度とこの家には近づかない事。


俺は頷かなかった。


そんな俺を横目でチラリと見て清君は話始めた。7年の出来事を、、、



あの日美希は突然倒れた。最初はただの貧血だと診断された。

次の日も倒れた、、、その次の日も、、、


医師が最後に言った言葉は、現在の医学では治せない。余命すらわからない。



美希は毎日泣いていた。将斗に当てた手紙は涙でぐしゃぐしゃになり何枚も書き直した。

やっと書いた手紙を俺は将斗の家のポストへ入れに行ったよ。


清君は何十冊あるかわからない古いノートを机の上に置くとノートを一枚捲って読み始めた。



今日は将斗と映画を観に行った。私は恋愛映画が観たかったんだけど将斗はホラーが好きだからホラーにしたよ!

私は将斗と一緒だったらそれだけでいいの。


、、、将斗。これは美希の創造だ。おまえと別れてからあいつは毎日おまえとの楽しい日々を創造したんだ。決して叶う事の無い夢のお話しだ、、、


清君は泣いている。


なんであんないい子がこんな目に合うんだ。

どうして人並みの幸せすら許されないんだ。

俺が変わってやる!俺が変わってやるから!

頼むから妹を助けてくれよー。


清君はうつむいたまま、、、


将斗、、、おまえにはなんの罪も無い。

おまえが美希を大切にしてくれていた事も知っている。

だから忘れてくれ。俺たち兄妹からのお願いだ、、、



、、、だよ。、、、無理だよ。

そんな話を聞いて忘れられるかよ!

美希は何処にいるんですか!

二階ですか?

悪いけど上がらさせて貰いますよ!


俺は階段を駆け上がり美希の部屋に転がり込んだ。

美希!、、、


そこには、ベッドに横になり半身を起こしている人がいた。

痩せ細り真っ白な顔。精気が無く。まるで人形、、、耳が聞こえないのかこちらを見る事なく閉じたカーテンの隙間をぼんやりと見つめていた。

俺はゆっくりと近づきベッドに腰を掛けた。

今にも壊れてしまいそうな彼女を優しく優しく抱き寄せて、耳元でそっと囁いた。


美希、遅くなってごめんね。

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