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第8話

 帰宅の予定は変更され、亜里砂は美鶴と共に長谷川の案内でビルの別室へと向かった。


「加納さんゆうたらベビーフェイスのトップ。『ヴァルハラ』のエースやで?」

「わあ。じゃあまだ現役バリバリなんですね!」

「あの人から直々に呼び出しって何やろ? 亜里砂ちゃんホンマ大物扱いやな~」

「大橋さんなら選手控え室によく行くんじゃないですか?」

「うち練習生やもん。あの部屋に入るのは掃除番の時くらいで……選手の人らが詰めてる時なんか、恐れ多くてよう行かへんわ」

「ふうん……」


 同じ団体に所属するレスラーといっても、実際にリングに上がっている選手とデビュー前の練習生とでは相当な格の違いがあるらしい。


 人気のない地下フロアの廊下は天井の白い照明に煌々と照らされ、一方側の壁にある程度の間隔をおいて同じ様なドアが並んでいる。

 男はその1つの前で立ち止まると、


「長谷川だ。鷹見を連れてきた……入るぞ」


 インターホンに短く告げ、ドアを開けると無言で亜里砂たちを手招きした。



 部屋の中に一歩踏み込んだ途端、亜里砂はある種の「重圧」ともいうべき不穏な空気を感じ取った。


 自分が使った個室の控え室より遙かに広いその室内の壁際の一方には縦長のロッカーが立ち並び、反対側の机には液晶TVが置いてあるので、試合の様子は控え室からもモニターできるのだろう。

 室内ではベンチ式の長椅子やパイプ椅子に、総勢十数名の女子レスラー達が思い思いに腰を下ろしていた。

「ヴァルハラ」のロゴ入りジャージを着ている者、試合用コスチューム姿の者。

 年齢は17、8から20代まで若い選手が多い。

 奥の方には、先程リングで対戦していたダイモン小栗やフェアリー岬の姿もあるが、亜里砂自身がついさっき戦った笹崎凉子は見当たらなかった。


 そして室内にいるレスラー全員が、多かれ少なかれ敵意と不審を孕んだ視線を自分に向けている。


(……どうしたんだろ?)

「あなたが鷹見亜里砂さんね?」


 最初に声をかけてきたのは、室内のほぼ中央に腕組みして立つ女だった。

 白いワンピース水着の上にジャージを羽織り、リングシューズを履いた女子レスラー。

 年齢はおそらく二十代後半、室内にいる選手たちの中では年上の方だろう。

 身長170cmほどのグラマラスな体型、ふわりとしたミディアムパーマの髪を伸ばした丸顔は柔和そうだが、その表情はやはり険しくこちらを睨んでいる。

 だが「彼女」の顔に気付くなり、亜里砂はその場の不穏な空気すら忘れ去っていた。


「あーっエミさん! やっぱり!」

「……え?」

「『バーニング・ギャルズ』の加納エミさんですよね!?」


 一瞬虚を衝かれた彼女が何か言おうとする前に、亜里砂は両手を胸に当て駆け寄っていた。


「私、大ファンだったんです! 子供の頃、TVで毎週視てましたっ!」

「え? あ、そ、そうなの……」

「CDも全部持ってるんですよ? うわぁ、お目にかかれて嬉しいですっ!」

「そう? あ、ありがと」


 かつて女子プロレスが隆盛を極めていた時代、アイドルレスラーとして日本中の人気を集めていた加納エミは、やや当惑気味に微笑んだ。


「ひょっとしてマキさん……伊藤マキさんも『ヴァルハラ』に?」

「ええ、確かに同じ団体にいるけど……彼女とのタッグはもう解消したわ」

「そうなんですか……」

「色々あって……第一、お互いもう『アイドル』なんて歳でもないですしね」

「そんなー、エミさん今だって若くて綺麗で、すっごく素敵ですよ!」

「あら、ありがと。うふふ」

「――ちょ、ちょっと加納さん」


 若手レスラーの1人が、渋い表情でエミのトレーナーの裾をおずおず引っ張った。


「何やってるんですか? ビシっと言ってやってくださいよ、ビシっと!」

「あっと……そうだったわね」


 エミは咳払いすると、改めて初めの厳しい顔に戻った。


「ところで鷹見さん。さっきの試合のことだけど……事前に岡本さんから何か言われてなかった?」

「ええと……『うちは真剣勝負がウリだから、本気でやっていい』って……」


 室内の空気がざわめいた。

 選手たちはお互い目配りし、ひそひそ話を交わしている。


「じゃあテメー、本当にセメントでやりやがったのか!?」


 1人の若い選手がベンチから立ち上がり怒鳴った。


「セメント? わ、私、凶器なんか使ってませんよぉ!」

「ちゃうちゃう。この場合の『セメント』って、真剣勝負のことや」


 亜里砂の背後に隠れるようにした美鶴が小声で説明する。


「あれ? そういえばさっき試合した笹崎さんは……」

「病院だよ。控え室に運ばれたあと意識は回復したけど、『腕が痛くて動かない』っていうから!」


 若手選手は吐き捨てるように答えた。


「あいつはな、来週あたしとシングルで当たる予定だったんだ。もし負傷欠場で試合がお流れになったらどーしてくれんだよ?」

「だって真剣勝負だったから……笹崎さんは本当に強かったです。だから、私も」

「テメー正気か? あたしらが年間何試合こなしてると思ってんだ。試合の度にケガさせられてたら仕事にならねーだろ!?」

「ケガが怖いから手を抜けっていうんですか」


 亜里砂は肩を震わせながら言い返した。


「皆さんプロレスラーなんでしょう……プロとしての誇りはないんですか!?」

「よせ馬鹿!」


 長谷川が慌てたように亜里砂の肩をつかむ。

 室内の空気が、一段と張り詰めた。


「へぇ~……誇り、ねぇ」

「言ってくれるじゃないの、新入りが」


 それまで黙っていた他の選手たちも、次々と立ち上がって亜里砂の方へ迫ってくる。


「おいおまえら! 社長のいない時に勝手な真似は」

「長谷川さ~ん。フロントの人はちょいと席外して貰えませんかね?」

「そうそう、これはウチら選手同士の問題ですから」

「う……」


 元ボクサーの大男すらたじろがせる、十数名に及ぶ牝豹たちのギラギラした眼光が亜里砂に向けて注がれる。

 美鶴に至っては、血の気を失い腰を抜かさんばかりの様子で震え上がっていた。


「……」


 亜里砂はさりげなく肩に提げたバッグを床に置いた。

 事情はよく呑み込めないが、どうやらここにいる女子レスラー全員を相手に戦わざるを得ないようだ。

 もちろん1人でこの人数を相手に勝てる思うほど愚かではないが、場所が室内という地の利を利用すれば戦い方はある。


(この広さなら一度に襲いかかってきても同時に攻撃できる相手はせいぜい2人。最初の2人を倒せば障害物になってくれるから、その隙に大橋さんたちを連れて脱出できる……!)


「――おやめなさい!」


 一瞬即発の空気を破ったのは、加納エミの鋭い声だった。


「どんな理由があろうと、リング外での私闘は許しません。承服できない人は、まず私が相手になりますよ」


 決して荒々しい怒鳴り声ではないが、その言葉は殺気立っていた女子レスラーたちの動きを一瞬で止めるだけの気迫に満ちていた。


「それに今の話は聞いたでしょう? 社長の岡本さんがマッチメイカーとして許可したのなら、この子の責任じゃありません。私たち選手にとってマッチメイカーの指示は絶対です」

「で、でも加納さんだってマッチメイカーの1人じゃないですか! それを、何の相談もなしに……」

「その件については、後で私から社長に厳しく抗議します。だから今夜はここまでにしましょう」

「……」


 それをきっかけに、女子レスラーたちのある者は渋々ながら、またある者はしらけたように肩を竦めて再び腰を下ろした。


「もう用は済んだな?」

「ええ、聞くべきことは聞きましたから。余計な時間を取らせてごめんなさい」

「よし。おい、帰るぞ鷹見」

「……はい」

「あ、鷹見さん?」


 長谷川に背中を押され部屋から出ようとした亜里砂を、エミが引き留めた。


「あなた、携帯かスマホは持ってる?」

「いえ……」

「そう。ちょっと待ってて」


 エミはトレーナーのポケットから取り出した小さなメモ帳とボールペンで素早く何かを書き付け、ページを引きちぎると亜里砂の手に握らせた。


「これ、私のスマホ番号。もしこれから何か困ったこと、岡本さんに直接相談できないようなことがあったら……いつでも電話して」

「え? は、はい……」


 長谷川は微妙に目を逸らしていた。

 岡本の直属部下である彼からすればあまり「好ましい行為」とはいえないものの、あえて見て見ぬフリをしているのだろう。



「おまえな、さっきのアレはさすがに不味かったぞ」


 帰宅の車内で、ハンドルを握る長谷川がバックシートの亜里砂に苦言を呈した。


「あいつらだって、若手からメインイベンターまでみんなプロの看板背負ってリングに上がってんだ。今夜デビューしたばかりのおまえにあんなコト言われちゃ、面目丸つぶれだろうが」

「でも、私は……」

「社長からは口止めされてたが、この際だからはっきり言うぜ。おまえのダチが話したことは全部本当だよ。プロレスには『筋書き』もあれば、対戦するレスラー同士が暗黙の了解で手加減し合ってるのも事実だ。これは男子も女子も関係ねえ」

「……」

「だがな、それは手抜きとか八百長だのとはわけが違う。何ていったらいいのか……他の格闘技に比べりゃプロレスのルールは『何でもアリ』ってくらいフリーダムだろ? だから何らかの形で歯止めを掛けとかなきゃ、それこそ試合の度に死人や重傷者が続出しかねねえ。そのくせ客の方は他の格闘技じゃ見られねえような過激なファイトを期待してくる……いってみりゃサーカスの綱渡りと同じ、そんなギリギリの危ういバランスを取りながら毎回試合してるんだ。実際、そこまでしたってリング上の事故で死んだレスラーがこれまで何人もいるんだぜ?」

「なら……何で私と笹崎さんだけ真剣勝負セメントが許されたんですか?」

「社長の一存だ。さすがにあの人が何を考えてるかまでは俺にも分からんが……とにかく今のおまえは『特別扱い』なんだよ。そこんところを察して、他のレスラー連中にも少しは気を使ってくれや」


 亜里砂はしゅんとなって俯いた。


「ごめんなさい……私、そんなこと全然知らなくって……」

「まあ次から気をつけりゃいい。今夜のところは、加納エミが連中を説得してるだろうから」

「……あ、そういえば」


 胸ポケットからメモ用紙を取り出し、両手で持って眺めると、それまでの憂鬱な気分も忘れて知らず知らずのうちに顔が緩んでいた。


「エミさんの直筆で番号貰っちゃった……えへへ、これ額に入れて机に飾ろうっと♪」

「……そういや、おまえ携帯もスマホも持ってないのか」

「はい。うち、そんなお金ないから」

「いずれ仕事で必要になる……次の試合までに通信料はこっち持ちで、おまえ専用のスマホを契約しておこう」

「ふふっ」

「何だ?」

「長谷川さんて最初は怖い人かと思ってだけど……本当は優しいんですね」

「馬鹿っ。大人をからかうんじゃねえ!」



 亜里砂を自宅の前で下ろした後、長谷川はベンツを少し走らせたところで停め、スマホで岡本に今夜の出来事を報告した。


『そりゃ手間かけさせたなぁ。まあこっちもついさっきまで加納から散々クレームつけられてたとこだがな』


 電話の向こうから、苦笑交じりの岡本の声が応える。


「しかし控え室に詰めてたのが加納の方で助かりましたよ。もしこれが伊藤だったらと思うと……」

『わはは、違いねぇ。だからあいつは今アメリカに出張させてるじゃねぇか』

「向こうのプロレス興行視察……って、あれは彼女を留守にする口実でしたか」

『プロとしての実績もない鷹見をいきなりデビューさせようなんざ、加納ならまだしも伊藤が知ればクレームどころの騒ぎじゃなくなる。鬼がいぬ間になんとやら、さ』

「……でしょうね」


 スマホを切って車を出す長谷川だが、その表情は冴えなかった。


 伊藤真紀いとうまき

 かつては「バーニング・ギャルズ」の片割れ「伊藤マキ」として人気を博したベビーフェイスの女子レスラーであったが、現在はリングネームを「メデューサ伊藤」と変え、「ヴァルハラ」のリング上においては泣く子も黙るトップヒールとして君臨している。

 あのダイモン小栗でさえ、彼女とタッグを組む時は忠実な「子分」として引き立て役に徹しているほどだ。


「海外出張たって……いずれは戻ってくるんだろ、あの女……本当に大丈夫なのか?」



 翌朝。


「ふぁ~……やっぱり眠いなぁ」


 HR前、自分の席について俯せでまどろんでいる亜里砂の傍へ、貴文たかふみが慌てて近づき小声で囁いた。


「鷹見、昨日はあれから大丈夫だったか? あのおっさんたちに何かされなかったか?」

「……ああ、あずま君」


 亜里砂は眠い目を擦りながら顔を上げた。


「私なら平気。昨夜は『バイト』でちょっと帰りが遅くなったけど」

「あいつら何だよ? まさかヤクザ?」

「そんなんじゃないよ」


 正確にはヤクザではなくヤミ金業者だが、それをいうと尚更ややこしいことになるだろう。

 しかし亜里砂はそこで、貴文に尋ねたいことがあったのを思い出した。


「あの件は……話すと長くなるから、昼休みに屋上で……いいかな?」

「ああ、分かった」


 そういって頷くと、貴文も自分の席へ引き返す。


「おーい東ぁ、最近鷹見といいムードじゃん? つきあってんのかー」

「バ~カ。そんなんじゃねーよ」


 男子の友人たちとそんな軽口を交わす貴文の背中を眺めながら、亜里砂は少し悩む。


(どこまで話していいのかな……)



 晴天に恵まれ、昼休みの屋上はランチを楽しむ生徒たちのグループで賑わっていた。

 他のクラスメイトにばれないよう、少し時間をずらして屋上で合流した亜里砂と貴文は、学年やクラスを異にするグループからも距離を置き、目立たない給水塔の陰で弁当を開いた。


 亜里砂が膝の上でタッパーを開くと、弁当のおかずはサバ焼きにひじきの煮付け、そしておからの和え物。


「……おまえ、それだけで足りるの?」

「いいのよ。栄養のバランスは取れてるし」

「でも自分で作ってるだけ偉いよな。うちの母さんなんか、最近は冷凍ものばかりで」


 そういう貴文のランチパックは、ご飯とは別に分けてハンバーグに唐揚げ、スパゲッティサラダetc。と育ち盛りの男子だけにボリュームも満点。


「あ、タコさんウィンナー」

「またこれか~。ガキみたいだからやめろって言ってるのになぁ」

「……」

「欲しいか?」

「べっ、別に――」


 慌てて自分の弁当に視線を戻し、亜里砂は箸でひじきを摘まんだ。


「ところでさ、東君て格闘技のこと詳しいんでしょ? 笹崎凉子さんって選手のこと知ってるかな? 元キックボクサーらしいんだけど」

「笹崎……ねえ。あれ? どっかで聞いたような」


 貴文は数秒考え込み、やがて顔を上げた。


「思い出した! 3年くらい前に女子キックのバンタム級でデビューした選手だよ。デビュー戦も含めて3戦3KO勝ち。当時は『期待の新星』って騒がれたんだけど……あいにくジムの金銭トラブルに巻き込まれて、それ以来どこかに消えちゃったなあ」

「やっぱり……」

「で、その笹崎凉子がどう――って、まさか会ったのか? 本人に!?」

「うん。私のデビュー戦の相手」


 貴文は箸を置き、亜里砂の顔をまじまじと見つめた。


「マジか!? いやその前にデビュー戦って何だよ? その、女子プロレスの……?」

「そうだよ。だから昨日もそう言ったでしょ?」

 少年はゴクリと唾を飲んだ。


「……で、どうだった?」

「私の勝ち。2分ちょっとで」

「まさか……」

「別に信じなくてもいいから」

「……おまえ、本当に地球人か? 実は目からビームが出るとか……あ、ごめん! ちょっと待って!」


 タッパーに蓋をしてさっさと帰り支度を始めた亜里砂を、貴文が懸命に引き留めた。


「ほら、タコさんウィンナーやるから! もう少し詳しい話聞かせてくれよ、信じるから!」

「……」


 亜里砂は立ち上がりかけた姿勢で貴文――ではなくタコ型に焼いたウィンナーを見やった。

 誘惑に負けたのか、再び座り直すと素早く箸を伸ばして1個取り、小さな口へと運ぶ。


「しかし驚いたな。笹崎凉子がプロレスに転向してたなんて、雑誌はもちろんネットの噂でも聞いてないぞ?」

「知らないよ。私自分のパソコンなんか持ってないし」


 もぐもぐウィンナーを食べながら、素っ気なく応える亜里砂。

 父親の部屋や工場にはPCがあるものの、もちろん業務用なので勝手に触らせてはもらえない。


「会場は? 団体名は? それくらい教えてくれてもいいだろ」

「場所は私も知らない。車で連れて行かれただけだから……どっか大きなビルの地下みたいなとこだったよ?」

「それってまさか……地下プロレス?」

「何よそれ」

「ほら、漫画とかでよくあるだろ? 大金持ちとか政治家とかが集まる秘密のリングで、選ばれた選手だけが命がけで戦うっていう」

「確かに高いお店らしいけど……そこまで怪しい会場じゃなかったかなあ」

「お、俺も観客として入れるかな?」

「無理だと思う。正確には会場っていうより大きな酒場だから、選手以外の未成年は入れてくれないよ」

「じゃあ、せめて団体名だけでも……今度はハンバーグ食べていいからさ」

「タコさんでいい」


 タッパーの中にもう1個落としてもらい、「タコ……」と呟きながら口へ入れた。


「『ヴァルハラ』だって。知ってる?」

「うーん。女子プロレスもここ何年かで、色んな団体が旗揚げしたり解散してるからなあ……家に帰ったらネットで調べてみるよ」

「あ! そういえばもう1人、知ってる選手にあったよ」

「だ、誰!?」

「それは内緒。でもその人は大物の女子レスラーだった」

(あの時のエミさん……やっぱりカッコよかったなあ~)


 昨夜のことを思い出し、1人でフニャっと相好を崩す亜里砂を不思議そうに見守っていた貴文だが。


「――あっ、やべ! 早く食わないと昼休み終わっちまうぞ」


 そこで会話はストップ。

 2人は残りの時間内に弁当を平らげるべく、互いに忙しなく箸を動かした。

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