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年中行事は異世界で!

聖なる夜に投身自殺!

作者: つんどら

多少下品な台詞がありますので、一応ご注意ください。




 ちくしょう。ちくしょう。どちくしょう!


 今の私は、さぞ酷い顔をしている事だろう。

 奴のために整えた髪は乱れ、カシュクールニットは引き裂かれ、コートはワインが染み込んで奇妙な色合いになっている。

 カップルだらけの――そう、右を見ても左を見ても前後を見ても、下手すると上を見たってカップルだらけのこの街中において、死ぬほど目立つに違いない。


「死ねっ!!」


 怨嗟を込めて呟くと、周囲のカップルがビクッとした。ビビれ、そして別れろ。


 楽しみにしていた、彼氏とのディナー。

 しかし何の手違いか――手違いがなければ露見しなかったと思えば良かったのかもしれないけど――そのレストランで、彼氏が二股かけている相手と鉢合わせた。もうほんと、心底驚いた。開いた口が塞がらないとはまさにこの事だ。

 私以上に驚いたのは彼氏だろうけど。ああ、元彼か。


 ――どうしてっ!?


 レストランで食事を終えてそろそろ出ようかと上着を着た時、給仕らしき彼女はそう叫んで私のコートに赤ワインをぶっ掛けた。

 気弱そうな顔してなかなか凄い。私と違っておしとやかそうなその女に掴みかかられ、私はワインまみれで思考停止。びりりとニット生地が破れた音を聞いて、力つええ、と思ってしまったのは乙女としてアレだが、止めると思っていた彼氏の言葉にはびっくりした。

 ――ごめん、静子! って誰だよ、ああ、その女ね! とぼんやり思って、店長らしき人が出てきて、呆然としながら渡されたタオルでひとまずコート拭いて。店長には謝られて。でも、何も耳に入らなかった。

 そんで、まさかとは思ったけど、気づいたら元彼は静子(仮)を抱き締めて、やっぱりお前だけだよとかほざいてて、そういう事だからごめんって、は?

 しかもレストラン出てから「後でまたメールする」とかメール来て絶句した。無言で受信拒否ののちアドレス消去、ミッションコンプリート。

 ああ、もう、本当に。


「……死ねっ」


 あああああもうっ、死ねっこんちくしょうっ!!

 あいつも静子も死ねばいい。いっそカップル滅亡しろ。


 ……でもそういう訳には行かないんだろうな。何せこの時期なんて日本全国カップルだらけだ。五割くらいいるんじゃないの? 全部滅亡したら日本経済どうにかなるよね。少子化がますます進むだろうし。



 思えば、この時の私は頭がどうにかしていたのだろう。

 いらいらして、どうしようもなく腹が立って、橋に差し掛かって、中央あたりまで歩いた頃だ。


 つい、と言えばいいだろうか。魔が差したのだ。


 本当に、発作的なものだった。その時の一度は確かにそうだった。



「おいっ、人が落ちたぞ――」



 遠くにそんな声を聞きながら、私は橋の半ばから投身自殺した。







 これはどういうことだと驚いた直後、ハラワタが煮えすぎて煮崩れしたような感覚を覚えた。要するに、腹が立った。


 目が覚めたのは見知らぬ町。見た事もない服装の――中世ヨーロッパ的な感じのする、なんだか色とりどりの髪色をした人々が歩いている。そんな場所に立っていた。


 あたりは騒がしく、露店がたくさん出て、人々は綺麗に着飾って楽しげに踊ったり歌ったり、明らかに平時ではない。

 しかも、そう、カップルだらけ。


 思わず膝から崩れ落ちそうになった。どうやら季節は同じく冬だから、浮かないと思いたい。ワインまみれのコートは浮くだろうけど。


「ちょっとあんた、どうしたんだい? 降誕祭だってのに辛気臭い顔して」


「……あの」


 声を掛けてきたのは、ふくよかなおばちゃんだった。横にはダンディーなおっさんがいる。ちくしょうまたリア充か、カップルかっ、アベックかっ、夫婦かあああっ!


「――このあたりに、深い川か高い場所ってありますか」

「え? あ、ああ……図書塔が1番高いんじゃないかね? ほら、あそこの。川は花火があるから封鎖されてるよ」

「ありがとう、ございます」


 私はもう死にたくなっていた。さっきのは発作的なものだったけど、今はもう、本気で死にたくなっていた。1度失敗すると躍起になってしまうものだ。

 引き止める声も聞かず、塔とやらの方向に向かっていく。

 見知らぬ町であることも、何故か言葉が通じることも、全く気にならない。


 そうして、辿り付いた塔に半ば無理矢理押し入って階段を駆け上がって。


 その最上階から、一思いに飛び降りたのである。




 気づけば今度は、どことなく日本っぽい感じのする街に居た。けど、現代日本ではないし、過去未来でもない事は確実のように思える。

 和服を着た人々が歩いているけど、ネオンが光り、なにやらイルミネーションを施した松の木が道の中央に立っている。意味不明!

 どうもズレてはいるけど、どう見ても、もうアレだ。


 そして周囲を埋め尽くす、カップル、カップル、カップルの群れっ!!


「キミ、異人さん? 面白い格好してるねー」


 声を掛けてきたのは、ホスト風の男。着物だけどあったかそうな毛皮を肩に掛けている。

 もはや聞く必要も無い。私は適当なビルを探して階段を駆け上がり。

 なんとも丁度いいことに、屋上への扉は開いていた。


 世界が私に味方してるに違いない!


「グロシーン見て別れろおおおおおっ!!」


 私は吼えながらフェンスによじ登り、そしてその頂点から勢い良く、飛び降りた。



 今度はアラビア風味な街。もう展開については言うまでも無いが、今度は私が物凄く浮いていた。真夏だよ真夏、常夏だよ! もうどうにでもなっちまえ、と祭り真っ盛りの砂っぽい道を駆け抜けて王宮らしい場所に突っ込む。


「どけええええええええっ」


 兵士がビビって避けるとか、私どんな顔してんの!

 職業柄走るのは大得意だし、柔道だってそれなりに出来る。火事場の馬鹿力というか、捨て身の人間って強いなと実感する。

 槍の穂先を横から蹴って逸らすとか、うわあすごいな私。1番高い場所に辿り付くと、太ったジジイが悲鳴を上げた。やかましいっ!

 ジジイの左右に纏わりつく女を睨む。ちくしょうっ、元彼を思い出す!


「二股男は去勢されればいいっ!!」


 吐き捨ててからバルコニーらしき方向に走る。


 ああそういえば、下に人いたらごめんね!


 そう思いながらまた飛び降りて――そしてまた、ぶつんと意識が切れた。



 そして暫く私は、自殺を繰り返した。

 次に辿り付いたのも、その次に辿り付いたのも、その次も次も次も――全て、気づいたらカップルだらけのお祭り騒ぎの中にいて、腹立ち紛れというか、もう躍起になって自殺を繰り返した。段々バンジーでもやってる気分になった。

 魔法じみたものがある世界、科学が異様に発達した世界、いろんな場所に行った。案外後半になると周りを見る余裕もあった。それでも、やめなかった。


 そうして12回目、塔も川も高い建物も無かった街を飛び出して、私は魔物の巣窟だという森に駆け込んだ。



「――おいっ!!」


 死んだかと、思った。魔物らしきものに襲い掛かられて、思いがけない恐ろしさに悲鳴を上げると、どこかで聞いたことのあるような声が耳に届く。

 疲れなのか、あるいは出血か何かか、朦朧とした思考のまま抱き上げられたことを感じて、その腕の頼りなさに笑いが込み上げる。


 あーあ、なんかもう、馬鹿らしい。

 何でこんな必死になって、色んな世界でコードレスバンジーしてるんだろう。


「し、死ぬなよっ、うぇっ重っ! こんな日に死ぬな、バカ女っ!!」


 しかも酷い物言いだ。ああ、重くてごめん。あーだから振られたのかなーと思うと笑えてきて、もう笑いすぎて涙が出た。ああ、脇腹痛い!


「笑うなっ、き、傷、血が!」


 行き絶え絶えに言いながら、小ぢんまりとしたログハウスのドアを乱暴に開けて、転げ込むように入る。びちゃりと音がして、あー、と思った。


「ごめんね、血」


 嫌に冷静だなあ、私。もう少し取り乱せば――ごねていれば、捨てられなかっただろうか。泣いて縋って、捨てないでと叫べばよかったのか。


 あー、無理! 絶対無理!


「あっはっはっは」

「笑うなっつって――ああああ血が! くそっ、俺のベッドだけど勘弁しろっ」


 ズキズキどころかもう物凄く痛い脇腹を無視する。笑うたびに血が噴出してる気がして、なんかもう笑うしかない。コートを剥ぎ取られて、服を捲り上げ、見えた傷口はなかなか酷かった。

 なんかもう抉れてるんだもん、脂肪っぽいの見えてやんのっ、あっはっは!


「おいおいおいおいおい……」


 妙に意識ははっきりしていて、彼の顔はよく見えた。蒼白になっているけど、――確かに、日本人の顔をしていた。


「……山田? 田中?」

「山中だっ、山中幸久っ」

「あっはっは、小田島鈴! よろしくっ!」

「血が無くなってハイになってんのか知らねーけど、大人しくしろよっ、マジで! 輸血とか出来ねーんだからな! 喋ってていいから笑うなっ、テンション下げろ!」

「あーはいはい、はいはい、リア充死ねっ、カップル滅亡しろっ」

「それは同意するけどなっ!!」


 漸く笑いが収まる。山中幸久――幸久でいいか。幸久はさっきから薬らしきものを私の口に突っ込んだり、傷口を洗って薬的な何かをダバダバ掛けたり手を翳したりと必死に治療らしきことをしている。ぼんやりと、白い光が傷に染み込むように消える。


「ねえっ、それ何? 魔法?」

「あーそうだよ、魔法だよ」


 ――それから数時間、叩き付けるような掛け合いをしながら、治療が続いた。

 幸久は中々腕がいい。終わった頃にはもう疲れ果ててはいたけど、傷口も分からないほどになったのだから、魔法ってのは凄い。


「もう無理、ちょっとそっち行って……」

「あ、うん」


 怪我人を脇に押しやり、正常な判断能力を失うほど疲弊した幸久は、血塗れのベッドに寝転がって布団を足元から引っ張り上げて。


 まさしくおやすみ3秒の速さで、寝息を立て始めた。



 これも朝チュンと言うのだろうか。ベッドの上で体液まみれという点ではあながち間違っていないに違いない。主に赤い液だけど。

 血生臭さに目を覚ました私は、脇腹がつきんと軽く痛むのを感じ、次に横に寝ている幸久の寝苦しそうな息に気づいた。

 まあ、血塗れ汗まみれだし。そりゃ寝苦しいわ。


「おーい」

「う……」


 暫く肩を揺さぶると、薄ら瞼を開ける。しかし再び布団を被って寝始めたから、ばさっと引き剥がした。

 むわんと臭う、何とも言えない生々しい臭い。血とか汗とかの。


「……え?」

「おはよ」

「うわああああああああああ!!」


 悲鳴上げるこたあ無いでしょ。ひどい。


 ベッドから起きようとしたら血が足りないのかフラフラした。ちょっと手伝ってもらって、全身汚れてるしもういっそ、と全裸になる。顔を真っ赤にしてそむけている様子からして、お前童貞だな。

 悪いか童貞でっと叫び声を上げた幸久は放っといて、盥に浸したタオルで体を拭う。あー、なんかさっぱり。水超冷たいけど。まあいい。


「ごっめんねー、掃除手伝うから」

「いや、いい……もうちょっと寝たら、魔法で、やる」

「あら便利」


 とりあえず借りた毛布を三枚ほど体に巻きつけておいて、ソファに転がって眠り始めた幸久に倣って向かい側のソファに寝ようかと思ったけど、やめておく。

 お腹すいたし。

 ふらふらしつつ家の中を探してみると、キッチンを発見した。街を見る限り文化レベルはやっぱり中世くらいだったと思うけど、しっかりガスコンロ風の道具がある。

 脇にあった冷蔵庫風の箱を開けば野菜や肉が出てきたから、引っ掛けてあった道具類を借りて適当に調理する。野菜炒めベーコン入り。スクランブルエッグ。もう何の乳なのか卵なのか知らんけど適当に借りた。


「うん、食べて忘れよう」


 食事は心を豊かにするよね! 多分ね!

 適当に瓶に立ててあった箸も借りる。どう見ても街の様子からして箸文化じゃなかったっぽいけど、作ったんだろうなと思うと微笑ましい。

 私と同じなのかは知らないけど、随分長く暮らした感じがするから、転生パターン?

 ……ちなみにこういう思考だが、友達が転生やらトリップやらのファンタジックな小説が好きで、日ごろ話を聞かされているからいつの間にか。ああ、この汚された感!


 あーあもう二度とフランス料理なんて食べない! と思っていたけど、どうせまたいつか食べるんだろう。いや、もう食べられないかもしれないのか。

 さっきの部屋に戻って、テーブルに置いて食べていると、むにゃむにゃ言いながら幸久が目を覚ます。そして料理を見て、ああああっと叫んだ。


「俺も腹減ったっ」

「いろいろ勝手に使ったけど。ごめんね!」

「いいよいいよっ、いいから分けてくれっ、死ぬ!」


 ホウレン草的なものを食べていると、心なし血が足りてきた気がする。うん、多分。思い込みの力ってすごい。

 自分も食べつつ、多めに作った料理をついでに幸久の口に放り込んでいく。

 食べ終わると2人溜息を吐いて、にへら、と笑った。


「ごっそーさん」

「ご馳走様。ああ、助けてくれてありがとう。死ぬつもりだったんだけどね」

「……おう」


 複雑そうな笑顔を浮かべ、ばたんと再びソファに倒れこむ。

 随分とお疲れだ。


 気づいたら私も寝てて、目が覚めたのは夕方ごろだった。


 掃除――じゃなくて浄化? の魔法は物凄かった。血やら汚れが一塊に集まって、バケツに入ったそれを川に捨てておしまい。便利すぎる。

 それから改めて夕食を、私が作った。超適当だけどお気に召したようだ。

 秘蔵だとかいうお酒も出して、とりあえず情報交換がてら喋る。


「俺、2011年……だったかな? クリスマスイブに、トラックに撥ねられて、気づいたらこの世界で赤ん坊やってた」

「へえー。私も2011年のイブかな、むしゃくしゃして川に飛び込み自殺。多分死ねたと思うんだけど、何かねえ。気づいたら他の世界に立ってて、そこもカップルだらけだったからまた自殺、次に居たところも同じでまた自殺。そんな感じ」

「……え、何回目?」

「12かな? や、もう何かヤケクソでね」


 幸久は思い切り絶句して、箸からぽろりと焼き魚の身を取り落としていた。

 私はカップに注いだお酒をぐいっと飲み干す。喉があつくて、頭がクラクラした。あーうまい。やっぱワインとかよりこういうの好きだなあ。ウォッカ的なアレね。


「すげえな……」

「……それにしても、どっかで聞き覚えあるんだよねー、幸久の声」

「そうか? 会ったこと――は、無いと思うけどな」


 私もそう思う。

 幸久は平凡顔だ。凛々しいわけでもゴツいわけでもない。でもなんとなく、1度会ったら忘れないタイプだ。特徴的でもないんだけどね。


「ってかね、聞いてよ。あたし彼氏と食事してたんだけどね」

「彼氏いんのかよ……」

「もう別れた! ――そいつ二股してて、よりによってそのレストランで相手の子が働いてたわけね。んで、ワインぶっかけられるし、服破られるしで散々で。しかもあいつ、そっちの子の方取って、私にはごめんねって言ってさあっ、しかも店出たらメールで「あとでまたメールする」なんて言ってさあああっ、死ねっ、死ねばいいのにっ!」

「そ、それで自殺?」

「全世界のカップル死ねって思ったけど無茶だと思ってっ! こっちが死ねばいいじゃないって思ってまた自殺したのにっ、他の世界も似たようなもんだしいいいいっ!!」


 ああっ、お酒入ったらもう止まらない。私、泣き上戸なんだよね。しかも怒り上戸との複合型。泣きながらキレる。

 ほぼ同量のお酒を飲みながら、幸久はぼんやり赤い顔で座っている。意外と強い?


「……こっち今、一ヶ月くらい続く祭りなんだよ」

「お祭りなんか根絶やしにしてやるっ」

「だよなー、なんかカップルだらけだし、居場所ねーの。仕方ないからこの時期は引き篭もる」

「帰る方法なかったら匿ってねっ、お願いっ」

「わーったって、分かったっ、うおあっ! 面倒見る! 見るからっ! はーなーせ!」


 なんだか泣いて怒って、随分疲れた。

 私は幸久の肩を揺さ振るのをやめて、べたんとその荒い生地に頬をつける。


「幸久ああっ男前! 抱いてえっ」

「あああああああああほかっ! バカかっ!!」

「うふふふふふふぅぅ、ふ、ふふ……うっ」


 うえっ。


 飲みすぎていろいろリバースした。その後はまあぐったりしてベッドに転がされ、また浄化魔法のお世話になって。

 いやほんとすいません。反省してまーす。



 翌朝、やっぱり幸久が横に寝ていた。

 何で抱きつくと照れるのに添い寝は平気なんだろう。

 無意識にくっ付いてたらしく、背中にぴったりと沿うように寄り添っていた。

 なんか、よっぽど恥ずかしくない? まだ全裸見せた方が平気なんだけど!


 暫くそのままぼーっとしていると、背後で身じろぎと「うっ」という呻き。

 がちんと緊張して固まったのがよく分かる。

 面白いからそのまま黙っていると、幸久は詰めていた息を耳もとで吐く。くすぐったい。


「おはよう」

「うおぁっ」


 びくりと肩を跳ねさせて飛びのく。

 私はもぞもぞと布団から出て、ごめんだかすまんだかよく分からないけどもごもご言っている幸久を見る。顔が真っ赤だ。


「おっ、お、俺何もしてないよな!?」

「さあ? 大丈夫、私一夜の過ち肯定派だから!」


 ぎゃーとかわーとか叫びながら飛び出して行った。やかましい。


 私は、元々は彼の母親のものだったというワンピースを借りて着ている。くすんだ緑のそれはサイズも丁度良かった。

 キッチンに立って、適当に朝食を作る。和食らしきものが出来ていれば幸いだ。醤油も味噌も無いのに和食ってのも無茶なんだけど。


「ご飯だよー」

「うーい」


 一通り走り回って落ち着いたらしく、食卓に大人しく座って箸を取る。一膳しか無かったと思ったら、昨夜どこからかもう一膳出てきた。


「やっべ、うめぇ」

「そう?」

「味覚が合わねーんだよな、この国の人と」

「自分で作りなさいよ……」

「料理が死ぬ程下手なんだよ」


 よく1人暮らしなんて出来てたなーと思いつつ食事を口に運ぶ。

 食材にはあまり差は無い。強いて言えば卵がちょっと酸味がある気がするけど、誤差の範囲か。古いのかもしれない。


「仕方ないから、私が毎朝味噌汁作ってあげよう」

「ぶっ」


 思い切りスープを噴出した。あーあ。

 というか予想通りのリアクションをしてくれるなあ、この人。


「パンツも洗ってあげるし、何なら一緒の墓に入ろうか?」

「ばっ、ばっ、ばっ……!!」

「冗談」

「だああぁぁぁっ!!」


 百面相しながら、顔を手で覆って思い切りのけぞる。転ぶよー、と言いつつ食べ終えた食器を重ねてキッチンに戻った。

 面白いなこの人、本当に!



 それから私と幸久の共同生活が始まった。

 幸久は薬師として生計を立てているようで、日がな一日よくわからない作業をしている。簡単な魔法なら使えるから、医者っぽいこともしているようだ。

 転生したってのにチート能力とか無かったんだって。ドンマイ。でも体の構造とかはよく知ってるからそれなりに評価は高いのだと。


 私は家政婦みたいな感じだ。朝昼晩のご飯作って、ベッド整えたりとかね。

 基本は役立たずのお邪魔虫だけど、そこはまあ、酒の勢いで面倒見るとか言っちゃったことを後悔してください。そしてありがとう。

 と思っていたら、1週間めくらいのこと。


「という訳で、仕事だ」

「えー」

「内職だよ内職。ちくしょうっ、飯が美味いのは良いが食費がかさむっ! しかももっと美味いもん食べたいからいい食材買っちゃうしっ! エンゲル係数鰻上り!」


 嘆くような仕草をしつつ、籠を差し出してくる。中身は赤やピンクや白の花びら用の布(?)や緑色の茎部分や葉っぱ用の布。全部布か。

 受け取って拾い上げると、薄めだけど固い。普通ならクレープ紙とか使うんだったよね? 顔を近づけると、微妙な匂いがした。


「薔薇っぽい感じにすればいいから。あ、これ見本」

「はいはい。家計に貢献させていただきまーす」

「……すまんな」

「いいって」


 何だこの会話。苦労かけるな、かまいませんよ、っていう熟年リストラ夫婦か!

 籠はそんなに大きくない。鋏と、接着剤らしい小さな壷が入っていた。


「異世界まで来て内職かー! あっはっはっは、公務員が、内職!」

「公務員っ!?」

「体育の先生やってまーっす」

「……保健?」


 形容しがたい目で見られた。何? 猥褻教師とか言いたいのか。失礼な!


「幸久は?」

「今は薬師。前は……あー、院生」

「えーマジ? 何の?」

「薬学!」

「どんだけクスリ好きなの」

「嫌な言い方を……昔病弱だったから反動っつーか。薬嗅いでないと落ち着かん」

「うわ中毒! クスリって言うかヤクだね、ヤク漬けだね」


 ソファに座ってちまちま布切ったり貼り付けたりしてなんとか造花に見えるように整える。こういうの好きだったなー、実は中学の頃は手芸部だった。高校は体操部、小学校は陸上部だったけど。あ、大学も体操。

 開け放されたドアの向こうに、擂鉢をゴリゴリやっている幸久の背中が見える。ゴリゴリしすぎて片腕だけ筋肉付いたとか涙目になってた。


「そういや、年いくつ?」

「24。元の世界でも同じ。あー、丁度同じ年月が経ったわけか……」

「同い年だわ」

「えええええ」


 また振り向いて、まじまじと私の顔を見る。ほんとに失礼だな。


「ババアに見えんの? ロリ?」

「極端だな! いや、なんかこう、ちょっと年上くらいかと思ってた」

「そう? 幸久はガキ臭いね!」

「ひでぇ! 言っとくけどなあっ、元の顔はもうちょっと大人だ!」


 元の顔。

 自分で言ってから、幸久は口を手で覆って、あー、と言った。

 元の――元の世界に、戻れるのだろうか。


「戻れんのかな」


 ぽつりと呟く。転生して、諦めて生活していたのだろう。表情からそれが垣間見える。

 だからその言葉は、私のことだ。私は、戻れるのか。


 うん、戻らなくてもいいか。

 結論はスパッと出た。


「別にここにいても良いんだけどね」

「……いや、駄目だろ?」

「駄目なの?」


 微笑むと、顔を赤くする。大変面白い。シャイな男が好きなの! っていう歌があったけど、本当だよね。チャラ男や爽やかイケメンは信用ならんと心底思う。


「だっ、だ、だってお前、教師だろ!?」

「で?」

「せっかく教員免許とか取ったんだろ」


 律儀だ。律儀すぎる。


「自殺した時点でまともに戻れるとは思っちゃいないわよ」

「でも、ほら。自殺する直前に戻るかも」

「空中に戻っちゃったらどうすんの! 死ぬでしょ!」

「あー……」


 同情した目。するわよね、そりゃ。振られて自殺だもんね。

 ……同情してくれるなら、もう少しだけ。この世界で自立できる術を、探してもいないけど、見つけるまでは面倒見て欲しい。


 だって、なんか。


 なんか、楽しくて仕方ないんだ。今まで付き合ったどんな人より、見てて面白い。


「だから、……ま、よろしく」

「しゃーねーな」


 はにかむような笑顔が、なんだか眩しく見えた。



 お世話になり初めてから三週間目に差し掛かるある日、心なし気合の入った服を着た幸久が、大量の造花の入った箱を持ち上げて私を呼んだ。


「鈴ーっ!」

「はいはい、何?」


 最終日に使うらしい花は、赤にピンクに白、と私的には全部海に散らしてやりたい配色になっている。薔薇だよ、赤い薔薇だよ!? 吐く!


「今日で祭り最後なんだ。これ置いてきて、ついでに飯食ってこようぜ」

「へー。じゃ、着替えてくる」

「おう! 外で待ってるから」


 私は服の置いてある部屋に行って、1番かわいいなと目をつけていた服を着る。

 うむ、保存状態も良いし。亡くなった幸久母に感謝だ。


「ねー、そういえばこれデート?」


 家のドアを開けてそう言うと、幸久が「うわああああっ!」と叫んでコケた。

 いやほんと面白いなこの人!



 街に着き、中心部あたりのでかい建物に箱を持って入っていく。


「おっさーん!」


 奥に向かって叫ぶと、もっさもっさと髭を生やしたおじさんが出てきた。おうっ、と威勢のいい声を上げる。


「造花か?」

「うん」

「今年はまた大量だな――って、おい、カノジョか? マジか? ついに春か?」

「ちげえよ!」

「違うの?」

「え!?」


 諦めろ幸久。ここに味方はいない!


「だってよ、ほら、楽しんで来いよ! で、どうなんだ? こいつちゃんと男だよな?」

「ええそりゃあもう。ちょっと頼りないけど」

「え? え? え!? ちょっ」

「心配してたんだよ! 全然女に興味を示さねーから、もしかして女じゃねーかってな」

「ちょっとおおおおお」


 そしてまた箱を落とす。今度こそばら撒かれた造花に、おじさんは爆笑していた。


「片付けといてやるよ。代金持ってくるから、ちょっと待ってな!」


 そして上機嫌で去っていくのを、幸久が呆然と見ていた。



 代金を貰って、街に出る。祭りが最終日であるためか街は大盛り上がりで、やっぱりカップルが多い。でも横に人がいればあんまり気にならないもんだな、と思った。


「……で、何でさっきからジロジロ見てんの」

「いや、気を抜いたら自殺するかと……」

「しないってば!」


 アホっぽい話をしながら、適当に歩いて歩いて歩き回り、適当に食べ物を買って食べて、そうしているうちにおなかが膨れて。

 日本の祭りと似たような、神輿みたいなのもあって、ダンスのパレードとかも見て。あと縁結び的なのがあって、あれのせいでカップルが量産されるんだと憎憎しげに幸久が言ってて面白かった。


 夜になると、花火が上がった。街はますます込むから、家に戻って、屋根の上で酒を飲んで、買ってきた食べ物をつまみながら眺める。


「乾杯ーっ」


 赤ワインに似た酒が、ぶつかったグラスの中で揺れる。

 やりかけだったクリスマスをなぞるようで、忘れそうになっていたものが蘇る。


「ねえ」

「ん?」

「何が悪かったんだろ、私。……必死に研究して、原型分からないくらい美人に見えるメイクしてさあ、その日のために服買って。まだ若いから薄給だってのに、頑張っちゃってねえ」


 そんなに、魅力のない女だろうか。

 ……いや、三週間も一緒に居て何もないんだし、やっぱ無いのか!


「うーん」


 暫く悩んだ後、唐突にぐいっとワインを一気飲みして、幸久はこちらを見た。

 心なし顔が赤いのは、酒のせいだろうか、それとも。


「俺はすっぴんの方が好きだっ」


 ――一瞬、ぽかんとした。


 何だこの子。何だこの子っ、超可愛い! 馬鹿だ、馬鹿がいる! 必死に化粧したって言ってたのに全否定したよ全否定! そりゃ化粧してた時なんてぼろっぼろだったけど!


 どおんと花火の音が遠く響く。なんだかもう、とてつもなく愉快な気分だ。


「幸久っ」

「な、なんだよ」

「童貞! 童顔!」

「ひでえ! 俺褒めたよねっ、褒めたよね!?」

「どうせならメイクテクを褒めろっ! あーあ、すっぴんだし、服お下がりだし――」


 ワインを喉に流し込む。前の彼氏の前では絶対にやらなかった、ぷはあっというおっさん臭い声が出た。燻製肉でチーズを巻いたものをひとつ抓んで口に入れる。


 再び花火の音がした。


 遮るビルもタワーもない。飛び降りる場所のない、平屋ばかりの平坦な世界。

 カップルだらけで、お祭り騒ぎで、それがいとおしく思えた。


 そして一際大きなものが花開いたかと思うと――大量の造花が、降り注ぐ。


「なあっ、あれ凄いだろ? 造花に使う布に火薬が混ぜてあって、花火に入れて打ち上げると一つ一つが燃えるんだってよ」

「ああ、うん、そうだね、すごいすごい」

「え、反応薄い。鈴が作ったやつも入って――」


 せめてものプライドだ。小さなレモン味のケーキを口に放り込んで、口直し。


「童貞で童顔でヤク漬けの幸久くん」

「え、ひどい。ヤク漬けじゃねーしっ」


 ついでにワインを口に含む。何発も打ち上げられた花火から次々に造花の花びらが散って、燃えながら街に降り注いで、落ちる前に無くなる。


「好きだよ」


 普通これ、男女逆だよね。まあいいや、自己満足だし。

 幸久の胸元を掴んで引き寄せて口付けた。間に置いてある、ワインやら色々乗ったお盆を退かして、半ば食いつくように舌を伸ばして唇を舐める。


 ごちそうさま!


 目を開けると幸久は真っ赤になって、潤んだ目を呆然としたように見開いて、あわあわしていた。お前は女の子か! まあ、かわい――


「す、ず?」


 ――視界がべっとりと黒に塗りつぶされる。

 頭がくらりとして、幸久の声と匂いが遠ざかる。


 もしかして――帰る、の?


 どうして今更。帰りたくなんかない。全然、帰りたくないのに。


「――――!!」


 聖夜はまだ、終わってはいない。

 途切れる意識の中で、赤い服のおっさんを呪った。







 はっとする。崩れ落ちそうになった膝に力を入れて、橋の欄干に縋りつく。

 あたりに音が戻って、喪失感で泣きそうになる。川には街のネオンが映り、きらきらと輝く。


 白昼夢、だったの?


 幸久なんて、いなかったの? どこにも? ――あの世界もなかったの?


「ちくしょうっ」


 ぐるぐると思考が巡った末、汚い言葉が飛び出した。もう、もう、嫌だ。何で落ち込んでる人間を更に落ち込ませるよ、神! もしくはサンタ! お前もうサタンだろっ!!


 でも、少しでも夢を見られた。幸せな三週間は、確かに記憶にある。

 覚えている。あの、酒臭い息を。情けなくひん曲がった眉を。降り注ぐ花弁を、きらきら輝く花火を。――全部、覚えてる。


 ひとときでも、幸せだったのだから。

 もう死ななくてもいいか。家に帰る途中で、ケーキでも買おう、そう思った時。


「はっ、早まるなあっ!」


 聞き覚えのある声が聞こえた。同時に、クラクションを鳴らす音。

 振り向くと、慌てたように歩道に飛び込む男の姿。


「あ」

「え?」


 ああ、謎が解けた。


 あの時の声だ。人が落ちた、と叫んだ声。慌てすぎて飛び出して、車に轢かれたんだろう。呆然とこちらを見る男の顔が、何故だか真っ赤に染まる。


「あ、ああああ!」


 轢かれなかったし、落ちなかった。

 どこからどこまで現実かなんて、もうどうでもいい。

 顔は確かに違うけど、よく似てる。というか全然大人っぽくない!


「幸久!」

「す、鈴っ、お前――えええ!? ちょっ、う、後ろ!」


 はらはらと雪が落ちてくる。何ごとかと振り向けば、今まさに。


 赤い服に白いヒゲ。トナカイにソリを引かせた老人が、好好爺然とした笑い声を上げて、川を飛び越えるように空中を走っていく。ホゥホゥホゥって、え、ベタな!


「サンタだああああああっ!」

「あああっ、写真っ、写真! 珍●景に送るからっ」

「そういう問題かっ!?」


 携帯を取り出しているうちに、サンタは遠くへと飛び去る。その後姿をなんとか写真に収めたけど、光の玉にしか見えない。

 はあ、と溜息を洩らしたところで、横に立っている男が「鈴、だよな」と控えめに確認した。


「……小田島鈴。えーと、山田? 田中?」

「山中だっ、山中幸久!」


 聞き覚えのあるやりとりに、思わず一瞬見詰め合って、同時に笑った。


 ひとしきり笑った後、幸久は意を決したように私の肩に両手を置く。


「責任取れよ!」

「何の?」

「な、な、何ってっ」

「記憶に無いなー。何したっけ? 教えてくれるー? やってみてよ」


 ニヤニヤしながら言う。幸久は真っ赤になって、あわあわと唇を震わせて。

 横目に見える川の上に、光の玉が上がっていく。


 どおん、と花火の音がして。

 その景色を遮るように幸久の顔が近づく。


 そして、控えめで不器用なキスが落ちて来た。


「おっ、俺っ、俺……」


 可愛いなあ、もう!


 抱きついてぐりぐりと額を摺り寄せると、「うわあああっ」と悲鳴が上がる。

 通り過ぎる車のドライバーたちが好奇の目を向けてくるけど、まあいいや。


「すっ、好きだ! ――あっ」


 必死に告げられた言葉は、花火の音に遮られ。

 慌てたように何度も言う。言うたびに赤くなっていくのが面白い。


 幼稚園以来だろうか。白髭に赤い服のおっさんを信じていたのなんて、精々5歳くらいまでのことで。それからは「不法侵入じゃん」とか可愛げのない事を言ってた。

 でも、居たんだ。フィンランドだかグリーンランドだか札幌市だか知らないけど、兎に角いた。見たし。写真残ってるし!


 ふわふわと粉雪が降る、見事なホワイトクリスマス。

 ああ、ありがとうサンタさん。不法侵入とか言ってすいません! ケーキとかジンジャークッキーとかお供えするんで許してください!


 あと、メリークリスマス!


 心の中で叫ぶと、遠くからあの特徴的な笑い声が、聞こえたような気がした。







日本唯一の公認サンタクロースは札幌出身のパラダイス山元さんです。豆知識。

と、言う訳でクリスマスの話です。


それにしても、拾った怪我人が爆笑し始めるとか相当な恐怖体験だったと思われます。

頑張った、幸久。



どうでもいい小ネタ


小田島鈴おだじま すず

●鈴はジングルベル的な由来

●夏生まれ、O型

●足が速い。そして足が長い

●付き合えば一途だが、納得して別れれば引き摺らない

●男前な性格、きつめの美人

●散らばった部屋なのに何故か失くしものはしない

●あっさりさっぱりに見えて実はとても根に持つ

●走り出したら止まれない 100m走が120m走くらいになる

●イベントは好き。これ幸いと食べまくる

●好きになるのも嫌いになるのも早い。

●食べるの好き。酒も好き。だが肉は胸と頭に行く


山中幸久やまなか ゆきひさ

●雪だから幸。

●ノリはいいがヘタレ。女子に恋愛対象として見られない症候群

●長身だがヒョロい。筋肉ない

●秋生まれ、A型

●薬嗅いでると落ち着く

●気づかないうちに薬屋のティッシュを溜め込んでいる

●家は綺麗なのに物が見つからない

●腕っ節は多分鈴より弱い

●100m走の80mくらいで減速し始める

●寛容というか押しに弱い

●ぶっちゃけて言うとファーストキス

●クリスマス・バレンタイン全力否定派 ……だったが改心。

●食べるの好き。酒も好き。でもサプリメントでも生きていける


そんな無駄な小設定でした。


短編集に後日談あります。よければどうぞー



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[良い点] 幸久さん可愛いぃぃぃぃぃいいいいい!! 惚れました//// [一言] シリーズものとわかって幸せです! また更新されたら読みたいです(*^^*)
[一言] ヘタレ度合いが可愛くて、続編まで一気に読んでしまいましたw とても面白かったです。 つんどらさんの他の作品も読んでみようかな、と思ってます!
[一言] 面白かったー!! です。 人生投げやりな性格に感じる鈴も魅力的だったし、幸久の女子的なウブさもユーモアでした。 最初読み始めてこれが一体どう話につながるんだろうと思いましたが、投身自殺不…
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