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エピローグ

 それから数年後。


 その日、ラトは外で洗濯物を干していた。澄み渡った青空には雲ひとつなく、風が爽やかに頬を撫で、鳥の囀りが耳に心地よい。


 「パパー!」


 可愛らしい子供の声に気付いて振り返ると、黒い髪の小さな女の子がこちらに走ってくる姿が見えて、ラトは手を止めた。


 「フェリシア!」


 小さく温かな手がラトの大きな手をぎゅっと握りしめる。そのあまりに可愛らしい仕草にラトは相好を崩し、女の子を高く抱き上げた。


 「パパ、ママがご飯できたって!」

 「そうか!今日の昼食は何かなあ?」


 フェリシアと呼ばれた女の子は得意げに言った。


 「パパのこうぶつって言ってた!こうぶつってなに?」

 「パパの好きなものってことだよ。フェリシアの好きなものも今度作ってもらおうな!」

 「うん!」


 すると小さな家の窓が開き、女の子によく似た黒髪の女性が手を振った。


 「早く!昼食が冷めてしまうわよ?」

 「パパ、早く行こ!」

 「ああ。」


 ラトがフェリシアを地面に降ろすと、彼女はタタタっと軽快に駆けて行き、家の中に入った。


 「今日もいい一日だな…」


 そう言って空を見上げると、透き通るような青い色に目を奪われる。


 「ラトさん、早くしないと全部食べてしまうわよー!」

 「あっ、ダメダメ!すぐに行くから!」


 慌てて家に戻り玄関のドアを開けると、ラトはふと思い立って後ろを振り返る。


 振り向いた視線の向こうには、遠くに霞む帝都の城がいつもよりも白く輝いているように見えていた。その景色をぼんやりと眺めながら、たまには家族みんなで遊びに行くか、と独り言を口にする。


 「ラトさーん!」

 「パパ、まだあ?」

 「おっと、うちのお姫様達がご立腹だな。さあ、昼食だ!」


 ラトは楽しげな微笑みを浮かべながら、開いたドアの中に広がる温かで愛の溢れる空間へと、急いで戻っていった。


 (終わり)

拙い文章を最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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