35 その後・・。
本日2回目の投稿です。
短くてすみません。
数年後。
騎士達の訓練施設に、今日も威勢の良い声が響く。
「敵が回り込んできたら、上に3メートルくらいジャンプして躱しなさい」
王妃ミュゲのあり得ないアドバイスに、言葉を失う訓練生。
「ミュゲ、君には訓練生の指導は向いてないよ」
笑いながら、ミュゲに近寄るアスラン。
「指導は私の役目なので、王妃殿下はどうぞ、あちらの騎士達と打ち合っててください」
苦笑いするのはかつて、この宮殿を守っていたボニファーチョ・ラ・ロッカだ。
再び王宮に戻って更に元妻や子供達とも再会し、ここで指導員として職に就いている。
そのボニファーチョに指を差された騎士達が、一斉に逃げ腰になっている。
「ミュゲ王妃殿下の相手など、あと100年経っても出来そうにありません。ですから、どうぞ、どうぞ、ご容赦下さい」
そういって逃げてしまった。
「ミュゲは強すぎるんだよ。手加減しているのかい?」
アスランに言われて不貞腐れるミュゲ。
「じゃあ、アスラン様がお相手してください」
「え? 私が?」
狼狽えるアスランに、乳母が絶妙のタイミングで、よちよち歩きの男の子を連れてやってきた。
髪の毛はミュゲに似て真っ赤だが、瞳はアスランに似て澄んだ水色である。
「ほら、ミュゲ。タイランが来たよ」
ミュゲは剣を夫に渡すと、すぐに小さな男の子抱き上げた。
「タイラン、お昼寝終わったのね? じゃあ、ママと一緒にお散歩しましょうか?」
男の子が嬉しそうに「うん。しゃんぽ」と頷いた。
「今日はじいじも王宮にいらっしゃるから一緒に、おやつを頂きましょうね」
先ほどの、剣の訓練とは人が違ったのかと疑うほどの優しい顔つきに、騎士達は驚く。
それと同時に、タイランのお陰で地獄の訓練から逃げ出せて、安堵のため息も漏れるのだった。
王宮の一角にある白亜の教会に、ドルクが一人佇んでいる。
「パルスラン、おまえとわしの孫は、どうやら性格はおまえに似て大人しくて優しい子だ。顔はエメルに似ているのかな? まあ、見守ってやってくれ」
ドルクはしゃがむと新しく墓標に掘られた言葉を手でなぞった。
『愛妻家で素晴らしい王だった。天国で最愛なる妻に愛を囁いていることだろう
パルスラン・レイカールト』
「ふふふ、結構いい文句やろ? 気に入ったかパルスラン?」
もちろん返事はない。
「さて、タイランとおやつ食べる約束してるから、もう行くわな」
ドルクが立ち上がった時、窓のない墓所内に風が吹いた。
『愛妻家って所が気に入ったよ』
『私に似たタイランをよろしくね』
「!!」
ドルクは足を止め振り向いたが、誰も居ない。
再び歩き、墓所の入り口の鍵を閉め、ドルクは孫が待つ庭園に向かった。
ーーー おわり ーーー
最終話までお付き合いいただき、本当にありがとうございました。
読んでくださっている方がいる・・。
これはとても力になりました。
本当にありがとうございました。
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ありがとうございました!
また、次回の作品でお目にかかれるよう、頑張りますね!




