表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

僕のベッドには、飛び乗ってきたものが犬か猫かが判別出来るランプがついている。

作者: 黒い白クマ

僕のベッドには、飛び乗ってきたものが犬か猫かが判別出来るランプがついている。


僕の家には犬も猫もいないが、寝ている時にはよく何かが飛び乗ってくるのだ。だから、辛抱ならなくなって取り付けた。


大抵の場合何か腹に乗っていると思う時は猫で、押し退けようとすると引っかかれる羽目になる。ぐぇと目が覚めて、猫のランプがついていたら、僕は諦めて腹の上を闊歩する奴に唸りながら二度寝の努力をする。


犬のランプがついていたら、押し退けてみる。お利口な犬なら降りてくれるし、人懐っこい犬はむしろ遊んで貰えると勘違いして元気になる。それがワンと吠えれば目が覚めて、僕の体はもっと自由に動けるようになる。それと同時にその犬、だった何かは霧散するから、どっちにしろ煩わされることはなくなる。


でも今、ランプはついていないのに僕の腹が重かった。猫でないならばと重い腕を振ってみたが、引っかかれることも退くこともない。藻掻く僕に合わせてその重みは右に左に動き、最終的に胸の上で蹲る。酷く重いので無視して眠る事も出来ず、僕は戸惑って目を凝らした。犬でも猫でもない。


僕の子だなと思った。次に、妻すらいないが、と思う。では何故ここに僕の子がいるのか。重みは胸の上と腹の上を行ったり来たりしている。


「君の憂鬱さ」


腕が軽くなったので、僕は重みを振り払う為に腕を腹の上で二、三度振るった。あの奇怪な体の重みが外れて、僕は改めて目を開けた。


あれは水曜の憂鬱だったな。


はっきりそう思って、僕は横になったまま数度瞬いた。だんだん目が覚めてくる中で、どうして水曜の憂鬱が日曜の朝に尋ねてきたのだろうと僕は眉を寄せた。


僕のベッドには、飛び乗ってきたものが犬か猫かが判別出来るランプがついていない。日曜の朝の事だ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ