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【完結】僕の大事な魔王様  作者: 綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢をよろしく


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67.愛してると大好きの違い

 魔王様としてのお仕事をするベル様は、いつも忙しい。お日様が上に出る頃、耳長のおねえさんや巨人の人が相談に来た。夜もお日様が沈むと、吸血鬼のおじさんや獣人のおばさんが顔を出す。


 僕は奥さんだから、仕事の間はお膝に座っている。難しい話だとわからないけど、真剣な顔で聞いて頷くのがお仕事。ベル様は湖で遊んだり寝ていたりしてもいいと言う。それじゃダメなの。僕は立派な奥さんになるんだから。


「これは土産だ」


「ありがとう」


 貰ったのは、耳が短めのウサギだった。死んだばかりで、首に血が付いている。たぶん、おじさんが血を飲んだ後だね。お礼を言って受け取ったウサギを、湖の近くまで運んだ。


 まだ小さいけれど、僕はドラゴンだ。力はある。引き摺ったウサギを湖の近くにある大きな岩の上に置いた。大きさはあるけど、平たくて高さは低い。机みたいな岩だった。本当はとんがった岩なのを、ベル様がすぱっと切り落としたんだ。


 テーブルにしたり、日向ぼっこしたり、便利に使っている。最近はこの上でお肉を焼いたりするよ。干し草に火が移ると危ないから、燃えない岩のうえでブレスを使うんだ。ウサギを置いてブレスを浴びせた。


 ちりちりと毛皮が焼ける。指を当てて、もう少しかな? と首を傾げた。またブレスを浴びせるけど、今度は時間を短くした。表面が焦げたところで、ぱりぱりと皮を剥く。こうすれば毛皮も綺麗に剥がれた。


 お肉が出てきて、爪を使って筋を切る。お肉の塊を三つに分けて並べた。内臓は今回食べないので、岩の近くにある穴へ捨てた。ここがいっぱいになると埋める。


 準備が終わった僕が振り返れば、ベル様が見ていた。こてりと首を傾げる。声をかけたらよかったのに。


「ベル様?」


「上手にできたな、ウェパル。驚いた」


「うん」


 お母さんに教えてもらったんだ。僕はベル様の奥さんになるけど、お嫁さんでもある。料理上手なお嫁さんになりなさいって、お母さんは言ってた。お祖母ちゃんも色々教えてくれる。爪の使い方とか、食べられる草の見分け方も。


 ベル様に美味しいお肉を食べてもらうため、僕は食べられる草も集めておいた。これを乾かして、お肉に擦り込んで食べるんだ。


「おいで」


 手を広げるベル様に飛びつこうとして、一旦止まる。僕、お肉の血が付いてるよね。ベル様が汚れちゃう。迷った僕を、ベル様は気にしないで抱っこした。


「ベル様、汚れちゃう」


「魔法で汚れを落とせばいい」


 光る魔法で、僕とベル様が包まれる。手についた血も臭いも消えちゃった。綺麗な手を確かめて、ベル様に触れる。


 綺麗な人。顔も髪も体も、心だって優しくて綺麗だ。僕を大切にしてくれて、好きだと言う。僕もベル様が大好き! いっぱい伝えて、頬に口付けをする。それから目を閉じて待った。すぐにベル様の唇が、僕の口に触れる。ぺろっと鼻先を舐められて、笑っちゃった。


「大好き」


「俺も愛している、ウェパル」


 まだ大好きと愛してるの違いはわからない。境目があるとしたら、いつ見えるんだろう。僕も愛しているって伝えたいな。ベル様に頬を擦り寄せながら、僕はそう呟いた。

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