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【完結】僕の大事な魔王様  作者: 綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢をよろしく


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58.ベル様と見る景色はどれも好き

 夜に何度も目が覚めた。ざざぁ……と聞き慣れない音がする。気になっちゃう。起きてきょろきょろして、生臭い臭いに「ああ、海だった」と納得した。それで寝るんだけど、また起きる。


「眠れないのか?」


 ベル様が指先をくるっと回した。丸を書くみたいに動かしたら、音が消える。臭いもしなくなった。寝転がったベル様の胸にぎゅっと顔を押し付け、背中をポンポンしてもらう。さっきまで寝られなかったのに、すぐ眠くなった。


 ベル様、大好き。そう呟いたんだけど、聞こえたかな? 半分眠った僕は分からない。そのまま朝までぐっすり眠れた。


 朝食はベル様が捕まえたお魚と、僕の拾った貝だ。海は遠くまで下がっていた。引き潮という現象で、また海はこっちまで戻ってくる。そう説明され、大急ぎで貝を拾って逃げた。だって海に捕まっちゃう。


 貝を割ろうと石で叩いていたら、ベル様がいい方法を教えてくれた。焚き火のそばに置くの。熱い場所だと中の貝が我慢できなくて、口を開ける。そうしたら、割らなくていいんだよ。焚き火の横に並べた貝が開くのを待って、一つずつ葉っぱの上に移動させた。


「ベル様、できた!」


「ちゃんと火が通ったな。偉いぞ、ウェパル」


 褒めてもらってご機嫌の僕を膝に乗せ、ベル様が貝の中身を取り出す。きゅっと捻るみたいに指を動かしたら、貝の中身がぷるんと飛び出した。それを口に入れる。少し硬くて、でも美味しい。噛むといっぱい味がした。


 ベル様と半分こで食べて、食べさせて。お魚を煮た鍋を覗いた。最初は枝に刺して焼こうとしたんだけど、お魚の肉が柔らかかったの。崩れちゃうから、お鍋に入れた。白い身がほろほろに崩れて、美味しそう。


 鍋の底が見えるまで食べて、膨らんだお腹を撫でる。ベル様は海の底に行く予定を変更した。海の底はやめて、次の目的地へ向かうの。ドラゴンより大きいお魚を見るのはやめて、島に行く。


 ベル様に抱っこされて、魔法で移動した。目を開いたら知らない場所で、森みたいだ。なのに海の臭いもした。見回す僕は、海と違う水の匂いに気づく。


「ベル様、水がある」


「滝か」


 高くなった場所から、下へ水が落ちている。流れてくる先は見えないけど、水が落ちた先は深そうだった。深い緑色をしている。その周りには、たくさんのお花が咲いていた。


「うわぁ、綺麗だね」


「体を洗うか」


「うん!」


 海でベタベタした鱗を水に濡らし、一緒に川に入った。滝壺と呼ばれる深い場所じゃなく、そこから流れ出ている川は浅い。ぺたんと座って、石に寄りかかった。お日様が温めた石は気持ちいい。体を洗ってからよじ登った。


 この場所は島で、周りは海に囲まれている。でも森があるからベタベタは少なかった。ベル様と並んでお昼寝し、夜まで川の近くで過ごす。日が暮れて暗くなってきたところで、川に変な生き物が現れた。


 ふわふわと飛ぶ光る奴、小さくて消えたり点いたりする。最初は数匹だったのに、真っ暗になる頃はいっぱい飛んでいた。


「綺麗」


「気に入る景色があってよかった」


 ベル様がほっとした声を出すので、「大丈夫」と伝えるつもりで僕は振り返る。その時、僕の鼻先に光る奴が止まった。ぴかぴかする僕の鼻先に、ベル様がちゅっと口付ける。光るのは飛んでいった。


「ベル様と一緒で嬉しい」


「俺もだ」


 あと少ししたら、黄金の畑が見られるみたい。そっちも楽しみだな。

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