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【完結】僕の大事な魔王様  作者: 綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢をよろしく


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51.黄金の畑の前に旅をしよう

 温かいお風呂に入って、ぬくぬくした巣で眠る。幸せな時間だ。目が覚めた時、一番最初に綺麗なベル様のお顔を見たかったんだけど。


 むっとしながら起き上がる。少し離れた場所で、ベル様は耳長のおねえさんと話をしていた。難しいお話なのかな? 眉の間を寄せて、ぎゅっとした顔だった。巣から飛び降りて、ぺたぺたと近づく。そういえば、久しぶりに歩いた気がする。


「ウェパル、起きたのか。おはよう」


「おはよう、ベル様。耳長のおねえさんも」


 ベル様のお顔を見ながら、あと少し寝たかった。そんな顔でじっと見つめると、おねえさんは手をぱたぱたと顔の前で振った。


「そんな目で見ないでよ。誘惑とかしないし、どうせしても無視されるけど」


 何のお話だろう。こてりと首を傾げた。誘惑するの? しないって言ったよね。無視されたなら前は誘惑したの? 混乱して考える。そんな僕の頭をぽんと叩いて、ベル様は笑った。


「浮気はしないぞ。心配するな」


「うん。ベル様は僕ので、僕はベル様のなの」


 何度も教えてもらったから、間違わないで言えるよ。胸を張った僕に、おねえさんは笑顔だった。本当に誘惑してないのかな。


「相思相愛の二人に割り込む不粋はしません。良かったね、ウェパル。素敵な伴侶に幸せにしてもらいなさいな」


 おねえさんはさっさと帰ってしまった。僕、おもてなししてない。気づいて、ベル様に相談したら「それでいい」だって。よく分からない。お母さんやお祖母ちゃんは、お客さんがくるとおもてなししてたよ。たぶん、僕だって出来る!


「ウェパルが出来るのは知っている。だからしなくていい」


 きょとんとした僕の銀鱗を撫でるベル様は、もう一度言い直した。


「魔王は魔族で一番偉い。奥さんになるウェパルは、俺の言葉を信じてくれないのか?」


 一番偉い魔王様の言葉だから、じゃなくて。ベル様の言葉なら僕は何でも信じる。そう返事をした。額と頬に口付けをもらった。正解だったのかな。


 人間の街をやっつけたし、お城も片付いた。しばらく平和になると聞いて、僕はベル様にお願いした。


「僕、黄金の畑が見たい!」


「黄金の畑?」


「えっとね、金色に見える畑で、人間が作ったの。すごく綺麗だったって、お母さんが言ってた。お父さんがプロポーズの時に連れて行ってくれた場所だよ」


 お父さんがお母さんに「俺と結婚して子を産んでくれ」とお願いした場所だ。今までは人間に捕まるから見に連れて行ってもらえなかった。でも今なら、平気かもしれない。


 少し考えたベル様は、他の場所も見にいく条件で頷いてくれた。最初に氷の山、それから火の海、大きな海の底、最後に金色の畑なの。順番で回ると、一年の半分くらいかかる。


「よし。出かける準備をしないとな」


 ベル様に促され、僕はお手紙を作った。巣の材料を洞窟に片付けて、お風呂も壊して平らにする。帰ってきたらまた作るんだよ。部屋の隅にある荷物は、ベル様がこっそり魔法で消しちゃった。ぐるりとお家を確認し、最後に巣材の上にお手紙を置く。


「ウェパル」


 両手を広げて呼ぶベル様に抱きつき、僕達は二人で旅に出た。

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