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【完結】僕の大事な魔王様  作者: 綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢をよろしく


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49/82

49.嘘で呼びつけた人間が襲ってきた

 僕はまだ五十五年しか生きていなくて、物を知らない子供だ。言葉だってたくさん知らない。それでも……人間はもっと馬鹿だと思う。


『魔王を殺せ!』


 広い部屋に入るなり、扉を閉じて叫ぶ声。人間の言葉は話せないけど、聞き取れる。


 この部屋は僕の住んでる洞窟より少しだけ天井が高いかも。窓がいっぱいあって、光がきらきらと降り注いでいた。明るくて広い場所なのに、柱があちこちにあって邪魔だ。


 突き当たりの階段、一番上に並んだ椅子の人が命令する。あっという間に、周囲から人間が飛び込んできた。さっきは十人くらいだったのに、今は数えられない。


「ベル様、これは幾つ?」


「広間だけなら百前後か。外にも待っているようだぞ」


「ありがとう」


 数えきれなかったので、教えてもらった。お父さんは人間みたいな形をしている。鱗の肌はそのままで、二本足で立っていた。獣人の人に似ている。人化という魔法なんだ。僕もいずれは覚えたい。


 吸血鬼のおじさんは黒い服に身を包んでいて、マントになった上着の下に翼がある。隠しているのかも。だけど、背中に大きなコブになってるから、何か隠してるとバレちゃう。


 僕はベル様に抱っこしてもらって、ぎゅっと首に手を回した。こうする約束なんだ。約束は守らないといけない。


「人間は約束を破るの?」


「平和条約のことなら、まだ締結していない」


 約束は終わってない。約束の前だった。平和は仲良くする意味だから、嘘をついたのは間違いないと思う。


「嘘つきなの?」


「その通りだ」


 ベル様は笑顔で僕に説明してくれる。その間に人間は勝手に動く。先が尖った長い棒でお父さんを攻撃してくる人がいた。長い尻尾を一振りして片付ける。


「お父さん、カッコいい」


「そ、そうか? 本当はもっと強いぞ」


 なぜか腕を持ち上げて、ぐっと力を入れて見せた。あのポーズ、どんな意味があるのかな。手を叩いて褒めたいけど、今は手を離したらダメ。だから口で応援する。


「頑張って、お父さん」


「任せろ!!」


 赤い鱗のお父さんは、ぐぐっと大きくなった。ドラゴンの形に戻ると、この建物が壊れちゃう。だから人化した姿の倍くらいで止まる。ベル様より背が高いんだよ。


 お父さんは魔法やブレスを使わないで戦い出した。吸血鬼のおじさんも、大きな魔法は使わない。切られそうになったら、砂みたいにさらさらになって逃げた。襲った人間の後ろから、何かを突き刺している。青い棒だけど、長くなったり短くなったりした。


「あれは血を使っている」


 ベル様が説明してくれた。今の僕達の正面には、失礼な発言をした人間。左側でお父さんが戦って、吸血鬼のおじさんは後ろにいた。右側から近づいた人間が、ばしっと弾かれる。


「雷?」


 青紫の光が走るのが見えた。カッコいい魔法だけど、僕も使えるようになるかな。お父さんは尻尾も使って戦うから、いっぱい人間を片付けた。すると、お父さんの方に人間が近寄らなくなる。


「長引くと面倒だ」


 ベル様はにやりと笑った。悪い感じの笑顔だけど、僕はこの顔が好き。だってカッコいいし、楽しそうなんだもん。綺麗な顔は、どんな表情してても綺麗だ。わくわくしながら、ベル様の魔法を待った。

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