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【完結】僕の大事な魔王様  作者: 綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢をよろしく


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45/82

45.圧倒的な戦力差と工作活動の失敗

「勝負にならないとはこのことか」


 お祖父ちゃんが感心したように呟く。足元の光景は、たぶん地獄絵図というやつだと思う。前にお母さんが話してくれた、悪い人が落とされる場所だ。血が出て火傷していっぱい死んでいく。そんな怖い場所だと聞かされた。あの夜は怖くて、おしっこに行けなかったの。漏らしてないよ、ちょっと滲んだだけだもん。


 今は大きくなったから、もう怖くない。ベル様がおしっこの時も一緒だから、漏らしたりしないよ。目を見開いて眺める地上は、赤い色がいっぱいだった。


 僕達魔族は青い血が多い。吸血鬼のおじさんも、赤い血を飲むけど青い血なんだ。前に見せてもらった。ドラゴンも青い。そういえばベル様は何色だろう。後で聞いてみようかな。


「もう一度旋回しろ。右側に雷を落とす」


 お祖父ちゃんが「承知した」と返し、ぐるりと回る。広げた翼に風の魔法を当てて飛ぶドラゴンは、体を傾けた方向へ曲がれた。鳥も同じなんだって。おじいちゃんが右側の翼を下げた途端、見える景色が変わった。地面はまだ黒い服を着た人間がいっぱい。


 赤より黒の方が多かった。僕を左手に抱いたベル様の右手が上がり、振り下ろされる。呪文も魔法陣という絵もなかった。何もない晴れた空から、凄い音と一緒に光の帯が落ちる。綺麗だな。


「綺麗だね」


「ああ、気に入ったか?」


「うん」


 大物になるぞ、とお祖父ちゃんが喜ぶ。凄く綺麗な光だった。真っすぐじゃなくて、左右に枝が出ている。森の木を逆さまにしたみたいな光は、白いんだけど赤や青も入っていた。


 落ちた地面は服の色より黒く焦げている。変な臭いがした。お肉を焼いたような……でも、違う物も燃えた臭いだ。森が焼けるとこんな臭いがする。僕は燃えちゃいけないものが燃えた臭いと覚えていた。でも人間は燃えても困らない。だから新しい名前に変えなくちゃね。


「変な臭いだね」


 鼻を両手で押さえたら、笑ったベル様が風を吹かせた。こっちに飛んできた臭いが消える。赤い血の色はなくて、黒焦げの塊がたくさん並ぶ。そんな地上の風景に、身を乗り出した。落ちないようにベル様が支えてくれる。


「もう戦は終わり?」


「ヴラド達が帰ってくれば終わりだ」


 全員揃ったら帰れる。それまでは終わりじゃない。


 ふと、ベル様が顔を上げた。目を細めて遠くを見ている感じで、すぐに口元が緩んだ。何があったのか聞くと、巣の方角に人間がいたんだって。


「巣が壊されちゃう?」


「大丈夫だ。結界を張ってきた。それに引っ掛かった」


 ベル様が見ていた方角は、確かにお家がある方だった。ここから見てお日様が昇る方角だ。そこも雲がないのに光が落ちた。雷は魔法でも起こせるなんて、知らなかったな。僕はまだ学ぶことがたくさんありそう。


「勝手にお家に入ろうとしたの、悪いことだね」


 だから、ベル様のお仕置きの雷にやられても仕方ないと思う。そう口にしたら、お祖父ちゃんとベル様は一緒に大笑いした。だって、悪戯したらお母さんに「めっ!」と叱られるのが普通でしょ?

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