本当の答え
諦めの悪いとは決して悪いことではない。その人にとって絶対に譲れない線引きというものがしっかりとできているという証拠ではないか。私はそんな人を応援したい。
突然に彼女の声を聞きたくなった。もう一週間に一二程度の連絡しかとっていないのに、どうして今なのだろうか?もっと早い段階で、それこそまだカレカノの関係の時にそう思っていればこの未来は変わっていたのかもしれない。
後悔先に立たず、というものなのだろうな。これは。今の私は諦めの悪い男なのだろう。見苦しくて、醜くて。それでもやっぱり諦めきれなくて。あんなに心を動かされたのは生まれて初めてだったから、一緒に居たいと思ったのは初めてだったから。だから諦めたくなくて。それをキミにもわかっていて欲しくて。でもそれは私のわがままに過ぎないから、キミに迷惑はかけたくないから。中途半端にしか行動できなくて。そんな私を許して欲しい。いや、許して欲しいんじゃない。正して欲しいんだ。本来の正常な私の心に直して欲しいんだ。つまり私はキミに真正面からハッキリと、
ーーーあなたのことは好きになれない。
そう言って欲しいんだ。そうすれば私はまた改めて前を向ける。今度はキッパリと割り切って彼女の事を諦める。新しいスタートを決めるんだ。晴れやかな門出を祝って欲しい。たとえそれがどんなに惨めでも、どんなに格好悪くても、ひたすらに前を向ける男になりたい。だからお願いだ、声を聞かせてくれ。
…私はキミの事が好きなんだ。どうしようもないほどに好きなんだ。今の君の気持ちを何一つ包み隠さず教えて欲しい。私のことをどう思っているのか。なぜ振ったのか。私では役者不足だったのか。どうして。
こんなことを聞いても仕方ないのはわかってる。このことに意味は無いことはわかってる。諦めをつけようとそれらしい言い訳をつけて結局はキミの声を聞きたいだけなのはわかってる。笑いたければわってくれ。たとえどんなに罵られようと私の気持ちは変わりはしない。私はキミが好きだ。愛してる。声が好きだ。その少し鼻にかかった感じの優しい声が好きだ。指が好きだ。ギターを弾いてるキミの指は美しい曲線を描いて音を奏でるその仕草が好きだ。髪が好きだ。サラサラとした細い髪質や、ふわっと香る花の香りが好きだ。目が好きだ。長いまつ毛とクリっとした瞳に吸い込まれそうになる。キミが好きだ。愛してる。ずっと愛してる。
ごめんね、こんなことを言うつもりはなかったんだって言いながら笑いあいたい。青空の下でキミと二人だけの世界を作りたい。私のほんの些細な願い。ついぞ叶わなかった願い。やっぱり後ろには後悔しかなかった。振り抜くべきではなかった。思い出は思い出だから光り輝くもの。それに縋っては先に進めない。だから本当に諦めをつけたいんだ。お願いします。キミに本当のことを聞く勇気をください。あと一歩の勇気をください。それでも諦められなかったら、今後はどう生きていこうか。