3 ガールミーツガール
大変長らくお待たせしました、竜也です。
メインキャラがでてきますよー
「ジルねぇ、これも美味しいよ」
そうクリスタが両手に持った牛肉の串の片方をジルに渡した。今ジル達がいるのは、屋台がたくさん並んでいる町の中心部。ケイン道具店を出た時にはすでに太陽が真南に来ていて、クリスタが「ご飯食べたい!」とジルをここまで引っ張ってきたのだ。
さっそくジルも頬張ってみた。じゅわっと味が口に広がる。
「ん、確かに。肉汁が中からすごい出てきてジューシーだよ。さすがはクリスちゃん、いい食べ物を見つけてくるね」
「えっへん」
「じゃあクリスちゃん、これはどう?」
そう言ってジルがクリスタに差し出したのはミートパイなのだが。
「おお、カレー味だ! この組み合わせ食べたの初めてかも」
「感想は?」
「んー、ちょっと辛いけど美味しい! ジルねぇも食べ物サーチ力高いんじゃない?」
「ふふっ、そうでしょ」
そんなジル達だが、実は注目を集めていたりしている。というのも、ジル達の服はずっと変わらず修道服のまま。シスターが買い出し以外にここに来ることはほとんどない。しかし、二人はそんな視線を意に介さず食べ歩きを続けている。
「そういえば」
とクリスタが食べる手を止めてジルに話しかける。
「ケインさん、今日はちょっと様子がおかしかったよね」
「確かに。」
ジルも先ほどの店での会話を思い返してみる。
「急激に体力が落ちたのは本当だろうね。しかもそれがちょうど誕生日の時……ケインさん、生きている間ずっと体が言うことを聞くだろうって自信があったのかも」
「ちょっと待って。そんな自信どこから湧いてきたの? 流石にそれは……」
戸惑うクリスタ。それに対して、
「クリスちゃん、ケインさんはね」
ジルが正解をだす。
「現役時代は最強格の騎士だったのよ」
「え? えええええ!?」
ジル達が一番楽しみにしていたスイーツ店、「ブリューネ」。この店はレボスの町の中では一番人気で、所要を済ませた商人からこの町で働く従業員、さらには普通の町人までが列を成している。この店のいいところは、無理をしない程度のお金で、皆を虜にする甘い誘惑を買うことができるところだろう。
列に並んでいる間、クリスタは先ほど途切れてしまった会話の続きを振った。
「ケインさん、実は強かったんだね……確かに筋肉すごいなーとは思ってたけど」
ケインは別にマッチョというわけではないが、しっかり鍛えこまれているのはクリスタの目から見ても明らかだったようだ。
「道具店を始めたのも実は、ある程度剣の目利きができたからなんだって。それだけだと客も少なくなるから小物も仕入れるようになったんだとか」
「まあ普通の商人は武器を買わないからね。でも料理器具も置いてたよね……あの店には似合わないよ」
武器と同じような棚に入っている料理器具。しかも棚自体お隣さん同士だ。あまりにも殺風景すぎる。
「でも実際売れてるみたいだしね。内装にもう少し気を使ったほうがいいと思うんだけどなあ」
「まあ私だったらもうちょっと派手にして女の子でも入りやすいようにするね。このブリューネみたいに」
ちなみに、ブリューネの内装は色のついたレンガと木材を使っていて、とてもカラフルだ。これも人気の一つなのだろう。
「クリスちゃんナイスアイディア! 私だったら魔道具の種類増やしたいなー。見てて飽きないし」
「それただのジルねぇの願望じゃん」
「まあねー」
その受け答えがツボに入ったのか、くすっとお互いに笑いあった。
「ま、そんなことよりスイーツだよ、スイーツ。何にしようかな?」
「クリスちゃんが好きなの選んでいいよ。それで半分こにしよう」
「了解!」
二人の視線はもう、短くなった列の先にあるスイーツに注がれていた。
「うーん、おいしい!」
「並んだかいがあったね、ジルねぇ」
結局、ショートケーキやモンブラン以外にも三つも買った二人。店内のテーブルに座って甘味を満喫している。
「定番のショートケーキとかモンブランもいいけど、この新作のカボチャケーキも当たりだね。すごいまろやか」
「前にも一回食べたけどこのラズベリータルトが一番かも。まだ売っててよかったー」
そんなクリスタについている薄紫色のクリーム。ジルは苦笑してそれを指さしながら言った。
「クリスちゃん、クリームついてるよ。お姉ちゃんが取ってあげよう」
「もう、ジルねぇ! 子供扱いしないでよね」
そしてさっさと口元をぬぐう。
そんな時、いきなり背後から声がかかった。
「あれ、シスターさん達!? どうしてここに」
振り返ると、修道服を着た女の子が一人。ケーキを一つ持っていて、ジル達に恐怖(?)の視線を向けている。何かを察したジルは少女の近くに寄って、耳元にささやいた。
「あれれー? なんで君はスイーツを手に持っているのかな?」
「ぎ、ぎくり、です」
「この時間は勉強しているんじゃなかったっけ?」
「ご、ごめんなさいです~。ケーキだけは許して~」
「ふふふっ、あっはっは!」
ジルは耐え切れずに吹き出してしまった。
「ごめんごめん、私達この町のシスターじゃないから大丈夫だって。前に行ったことがあったから知ってるだけ」
そして笑い声のまま種明かしをする。
「な、なんだ。びっくりしたですよ」
少女はほっと胸を撫で下ろした。
「私はジル、こっちはクリスタだよ」
「よろしくね」
「私の名前はリザです。はじめましてです」
「リザちゃん。いい名前ね。そうだ、リザちゃん」
「なんです?」
「久しぶりに教会に行こうと思うの。連れていってくれる?」
評価は下からできるので、ぜひ。




