表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/11

2 日曜日の礼拝

遅くなりました、竜也です。第2話、ぜひご覧ください。

()()()()()()()()()()



 黒いもやのよう、しかし実体は確かにある。亡霊をさらに黒塗りして、凶暴性を増したような、そんな異形。数は五十をこえているだろうか。そのような集団が少女二人の前に続々とやってくる。まさに地獄のような風景。


















 ジルが口を開いた。



「皆さん、今週もこのバシリカ教会へようこそ。では祈りの時間なので席についてください。神父さん、シスターさん達は前の方へどうぞ。」


「アーーーウーーー」



 ジルに答えるかのように礼拝堂に響きわたる化け物の大合唱。


 そう、これはジル、クリスタ、それと異形達の日常。



「神父さんはいつも通り話すことができないため、今日も私が講壇で話をしようと思います。さて、教本175ページ、第4の書、6章22節を開けてください。心の中で復唱してくださいね?ではいきます。その翌日、湖の向こう岸に残っていた群衆は…」



 神父の代わりにジルがいつも話をしてくれる。その間は異形はまるで存在を薄めているかのように席に座っている。クリスタにも異形に対する抵抗感はなく、おとなしく姉のような存在の話を聞いていた。クリスタ、異形共、そしてジル。これが当たり前の光景だといわんばかりのような雰囲気だ。



 やがて、講話が終わった。



「はい、今日の話はここまで。では最後に主に祈りの言葉を捧げましょう。ブエナ・スエルテ」


「ブエナ・スエルテ!」


「アーーーウーーー!」


「はい、ではまた次の日曜日、ここでお会いしましょう」


 そうジルが締めくくり、礼拝の時間は終わった。

 朝の礼拝が終わると異形達はあたりに散らばってゆく。それを見届けるとジルは大きく伸びをした。


「うーーーん、疲れたー。クリスちゃん、今日は何しようか?」

「お疲れ、ジルねぇ。そうだねえ、うーん。あ、そうだ、ピクニックがいい! 久しぶりにモルト山まで行こ!」

「いいわね。じゃあお弁当持っていきましょうか。クリスちゃん、手伝ってくれる?」

「うん!」


 ジルは会話を済ませるとそのまま廊下を歩き、一番奥の扉を開けた。そこは有り体にいえば倉庫。しかしただの倉庫ではない。床、壁、天井の全てに穿たれている魔法陣の刻印。その魔法の名は保存術式。野菜、肉を保管しているだけにしてはこのぎっしり詰めこまれた魔方陣は不相応だが、これには当然理由があったりする。それはともかく、クリスタも倉庫に到着し、二人で今日使う食材を物色し始めた。


「ジルねぇ、こんなのはどう?」

「あら、いいわね。じゃあさっそく作りましょうか」


 結局お昼ご飯に選んだものは鶏肉のバケットだ。さっそく台所に行き、鶏肉を焼いて味付けをし、バケットに野菜、鶏肉を入れて完成。いつも料理を作っている二人からすればお手のものだ。そして出来上がったバケットをバスケットに入れてさっそく出発した。

 さて、ジルとクリスタが農園を横切るとき、異形がぽつんと立っているのを発見した。


「あら、あなたは確か…モリーさんね」

「あーーーー?」

「あら、違う?えーと…なんだっけ」

「マリーだよ、ジルねぇ」

「うーーー」

「今度は当たってたみたい。…そうだ、マリーさんも一緒に来ない?山に登るのは楽しいよ?」

「あーーー」

「え?肩にのせて連れていってくれるの?ありがとう!」

「ジルねぇ、マリーさん優しいね」

「ええ、そうね。さて、とりあえずしゅっぱーつ!」

「おー!」


 こうして快適なハイキングが始まった。

 

 

「着いたー! いやー思ったより早かったね」

「そりゃーこの近くで一番低い山だからね。まあそのおかげでちょうど昼ごはんの時間になるんだけど」

「とりあえずジルねぇ、早く食べよ。ね?」


 クリスタはまるで犬のようにうずうずしている。まるでしっぽの幻覚が見えるかのようだ。ジルは苦笑して言った。


「そうね。では、いただきます」

「いただきます」


 ちなみにだが、異形は食事をとることができない。少なくとも、ジル達と共に生活している異形は食事をとるそぶりをとったことがない。なので、この昼ご飯も異形は二人をじっと見ているだけだった。


「それにしても…」


とクリスタは視線を山の中腹部あたりに向ける。そこにはすでに廃れた村の跡があった。


「やはり人里は近くにない、といやになるほど分かっているけどやっぱり実際見るとねー」

「だから毎回あんな手段をとる必要があるけど、逆に近くに人がいた方が問題になるよ。もう慣れたしね」

「まあそうだけどさ…まともに話せるのがジルねぇだけじゃあね。別に信徒さん達の言いたいことは分かるからいいんだけど…」

「でもこの生活が私達には一番合ってる。そうでしょ?」

「…うん、そうだね! さて、そろそろ帰ろ」

「ええ」

 


 

 


 

 


いかがだったでしょうか?後半部分は完全新作でした。ここから短編の最終部分へ移る予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ