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23、因縁の船長ドルート

 定期船の船長ドルート。

 よりによって、次の便はこいつが担当するらしい。


「……魔王を倒したらしいじゃねえか!」

「ああ。感謝ぐらいしていいんだぞ、ジジイ」

「そうだな。お前を海に投げ込まなくて良かったよ」

「にゃろう……魔王の前にお前をやっとくべきだった」


 険悪どころでない空気の中、トルテが冷や汗をかいている。


「お二人とも〜、せっかく船が直ったんですから〜」

「そうだ! トルテ! なんだ、あのマストは!?」

「ソーヤ様が直してくれたんです〜」

「あんな継ぎはぎのマストじゃ嵐に耐えられんぞ!」

「頭の固いジジイはすっこんでろ! あれが最新式だ!」

「最新? この傲慢野郎……また余計なことしやがって」

「どっちが傲慢だ? それが客への態度か?」

「船の上ではワシが一番偉い! 当たり前だろ!」


 この大陸に来るときも乗船早々、このジジイとはぶつかった。

 とにかく馬が合わない。

 それに……。


「偉い船長様は客の尻も触って良いってか!?」

「む……貴様! だから、アレは事故だと言ってるだろ!」


 ヨンデから来る船内。

 嵐で船が大きく傾き、セリアがよろけた。

 ドルートはここぞとばかりにセリアの尻を触りやがった。


「何が事故だ!」

「支えてやっただけだろう!」


 目撃した俺はドルートに飛び蹴り。

 殴り合いが終わった頃には嵐も過ぎていた。


「あの続きやるか!? 魔法は使わないでやるぞ!」

「おお、ありがたくて泣けてくるね!」

「もうやめてください〜! 出航準備ですよ〜」


 トルテが割って入る。


「むう……」


 ドルートは気勢をそがれ、腕組みをした。


「物資は大方確認済みだ。船員の方もほとんど揃った」

「では、大丈夫そうですね。ソーヤ様はあの屋台も?」

「ああ。船に載せてくれ」

「屋台……? 表にあった珍妙な馬車か」

「……船倉に入るだろう」

「ダメだ……そんな余裕はない」

「ドルートさん〜、往路の荷物は食糧ぐらいでしょ〜」

「船は狭い! 気に入らない奴にくれてやるスペースはない」

「てめえ……」


 トルテも困っている。

 船上の最終権限は船長にある。

 オーナーであってもそこは曲げられない。


「船長! 船倉は全然余裕ですよ!」


 話を聞いていたかのように水夫たちが詰めかけてきた。


「お前ら……準備は?」

「できてやす! それより賢者様を乗せてやってください!」

「賢者の旦那が救ってくれなかったら、オラは今頃、海の底だったかもしれねえ!」

「親方の木で船を直せるなんて夢にも思ってなかった!」


 船大工たちの姿も見える。


「あのマストも最高の出来ですぜ!」

「むぅ……」


 ドルートが渋面を作る。


「大変だ! 船長!」


 一人の水夫が入口の群衆を押しのけ、入ってきた。


「どうした?」

「料理長が出られねえ!」

「なに!?」

「今回の航海でビビっちまって船に乗りたくねえって」

「あのガキ……」


 水夫たちが顔を見合わせる。


「どうしやす、船長?」

「……おい、賢者。てめえは今、屋台が仕事なんだな」

「仕事っていうわけじゃねえが……」

「料理長としてなら船に乗せてやる」

「料理長?」

「ただし! 俺の船は誰でも船員になるわけじゃねえ!」

「……?」

「お前が料理長に相応しいかテストしてやる」

「テストだと?」

「俺の口に合うものを作ってみろ。できなきゃ、諦めな」


 乗船の可否を料理でテストする……?


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