男子チームの研鑽 sideレイノ
ういーっす、レイノっす。
レティに男子チームのこと話せって言われたらさ、俺たちの中で一番言語中枢がマシだからお前なって言われちまったよ。しょーがねえな、やってやるよ。
俺のユニークは共有なんだけどさ、今はライノの会議と併用で、全員の知識レベルを上げた上での意志疎通ってのが主な使い方なんだよ。んでな、クレアやレビに相談して俺らの能力も何かもっと高度なものにできねーかなって考えたわけ。
まー、クレアとレビから出るわ出るわ、「夢物語かよ」と言われそうなことまでゴンゴン出たね。でもまあ、スザクがさらっと「夢持ってて何が悪ぃんだ、お前らが出来るようになりゃ夢でも何でもねえ」って言ってな。ルカにはフィジカル面で発奮させられたけど、スザクにはメンタル面でガツンとエールを受けた気持ちになったさ。
そんなわけでライノと毎晩のようにあーでもないこーでもないと色々やってたらな。できちゃったんだよねー、ダイブしてなくても全員の意志疎通が。俺ってすごくね?
意識を繋げて共有するっつーのが一番正解に近い言い方かな。能力範囲は無限大だが、さすがに繋げる相手を選ぶ魔法だ。俺たちみたいにルームで絆が深くなってる相手ならいけるから、やろうと思えばアロイス先生あたりとも繋がれるぜ。
要するに絆の深い相手とならヘッドセット要らずだし、数人が一つの生命体のように意識を共有して動くことも可能だ。これはシンパシーの特殊進化版魔法ってことで、フィーネ先生が「精神混合」って名付けた。
これでクレアを司令塔にして全員が「一人」みたいに動けば、訓練による連携なんてメじゃねえよ。クレアは複数の手足と能力を持ったバケモンとして無類の強さを誇る生き物になる。
ま、同様にライノもトンデモ能力を開花させたぜ?俺ができるならライノもできるってもんだ。
発動条件は「ライノが承認し、一度でもルームに入ったことのある者」だな。もちろん能力範囲は無限大、そして絆の深い者が対象。ライノも俺も、そういう意味ではほぼ白縹限定ってことになっちまうけどな、他の部族はダイブなんぞできねえから仕方ねえや。
ちょっと説明しにくいんだけどさ、俺のシンパシーは「現在の思考や知識」限定での共有なんよ。だがライノのカウンシルは「過去にあったこと、もしくはそれを踏まえた現在の心情共有」が主な役割なんだ。
つまり絆の深い者が遠く離れた地で数年過ごしたとしたって、これを発動させりゃ一瞬でお互いの身に起こったことを理解できる。一瞬で過去の記憶や感情を理解し、話し合い、共感する―これがライノの能力「経験会議」さ。
だからルカが出てきたら、できればコレやりてえなって思ってる。俺とライノの能力全開で、今度こそルカのやつを深く理解する。同時に苦しんでやることはできなかったけどよ、「こんな風に苦しんだけど、今はこんな風に立ち直った」ってとこまでセットなら…俺たちも一緒に強くなれるじゃん。なあ?
あと、俺とライノとスザクは運動教師組(ユッテとオスカー)と、筋肉マツリ組(カイとカミルとコン)へ直談判しに行った。
俺たち三人は問答無用でがっつり鍛えてくんねーかってな。
俺たち以外のやつらは希望があるならやればいいと思うんだけどよ。俺たちはルカにあそこまで言われちゃ「やってやろうじゃん」って気にもなるしよ。
でもユッテやオスカーは「子供の内は通常カリキュラムに沿った授業内容で」と思ってくれてたみたいなんだ。そりゃまあ、ちっせー頃からカイやカミルのヒデェ「子供との遊び方」を受けてる身としては、それはありがたい常識的な感覚だったんだけどよ。
でも俺たちって自然に「非常識な子供たち」になっちまったようなもんだ。
主に俺とライノのせいでな!
つーわけで、軍人方式でかまわねーから鍛えてくれって言ったらよ。
ルカには同じ内容でパープを用意したらしいが、思いっくそ軍隊格闘術を導入されたね。発勁覚えさせたいからって形意拳から始まったぜ。武器術もけっこうあるから、そっちはコンが教えてくれることになった。
さすがにカミルとコンが嬉々として暗器コレクションを俺らに見せようとしたのはオスカーが必死に止めてたわ。「せめて殺人技術は後回しにしようよ兄貴!」とか言って、あのオスカーが泣きそうな顔してるレアな場面だったなー。
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スザクはヘルゲへ頭を下げて、本格的に攻撃魔法を教えてくれって言った。あのスザクが、ヘルゲにだぜ?いっつも「これだからヘルゲには負けたくねえんだ」って騒いでたやつがさ。
ヘルゲはあっさりと「いいぞ、お前がそう言い出すのを待ってた」と言って引き受けたらしい。んで何をしたかっつうと、スザク用の簡易リンケージグローブを作ってリーのいる北方砦へ二人で行ってきたらしい。
帰ってきたスザクは疲労困憊で、どうしたんだっつーてルームに三人で集まったんだよ。で、「経験会議」ぶちかましたらよー…とんでもねーわ紅玉って。俺とライノがヘルゲにグローブで繋がってたら、絶対に神経焼き切れてたと思う。
スザクはヘルゲに繋がって、「紅玉ヘルゲ」の演算速度と魔法制御と魔法増幅の反射しーくえんす?とかいうのを感覚で叩ッ込まれてた。
まあ、そりゃ疲労困憊にもなるよなあ。スザクだからそれで済んだけど、俺たちだったら脳神経科の治癒院行きだぜコレ。
おかげでスザクの攻撃魔法はバカみてーな威力になった。範囲だけで見れば今まで通りの中規模魔法なんだ。だけど火を出せば高温すぎて地面がガラス化するし、水を出せば冷気を漂わせたドライアイスみたいな氷が出るし、風を出せば雷撃が付いて来るし、石礫を飛ばそうとしたら流線型で貫通力抜群の形状のモンを高速で射出する。
どうなってんだあの親子。七歳にしてスザクは殺傷能力のある魔法を撃てるようになっちまったよ。まあその代わり、ヘルゲには「これを悪用したが最後、俺はお前を殺さなくてはならん。心して制御しろよ」と言われて、スザクは神妙に頷いた。まあそりゃ納得せざるを得ないわな、あの威力じゃな。
だからスザクは「アロイス効果」を必死で練習してる。あんな魔法を筋肉マツリでぶっ放したら、誰か殺しちまうもんな。対人で使っても大丈夫な程度の威力に押さえて撃てるように必死ってわけだ。あんな殺人兵器状態じゃ、戦術に組み込めねえよ。
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最後にウゲツだな。あ、レビはクレアと一緒の「ブレーン」っつう特殊枠だからよ、別に仲間ハズレじゃねえからな?
ま、こないだウゲツもほぼレアユニ持ちだろうってことが判明して…俺たちは正直言って何をしてやればいいのか困っていた。ウゲツはレティのように属性魔法特化型とは思えず、魔法はどれも普通に出せるって感じだ。
制御力がルカ並に抜群っつーのは、たぶんレアユニだからなんだろう。だけど、ウゲツはアンバランスっつーか…不思議なんだよ。これは最初、クレアもレビも首を傾げていた。
どういうことかっつうと、「魔法制御は抜群、でも強い魔法は出せない」ってのが一つ目な。これはきっとレアユニだからだ。
で、二つ目が「スザクやアオイに次ぐ錬成量なのに、収束が苦手」なんだよな。だから余計に攻撃魔法の威力が落ちる。
だけどルームでみんな不思議がっているのがわかったアロイス先生は、あっけらかんと回答を示した。
「あー、ウゲツってニコルそっくりだな。アオイの精霊魔法は動植物に作用することに特化してるけど、ウゲツも精霊魔法使いなんじゃない?収束が苦手で錬成したマナが零れるんだろう?」
「うん、そうなんだ。収束されたくないからマナが逃げちゃうような感覚かなあ」
「あ、ビンゴだね。じゃあ無理に収束の練習しなくていいよウゲツ。出したい魔法をイメージして、マナにお願いする感じでやってみれば?あ、攻撃魔法出すなら訓練場か北方砦に行くから出さないでね」
これで格段に気が楽になったらしいウゲツはさっそくアロイス先生と北方砦へ行き、スザクみたいに疲れ切って帰ってきた。すげえ魔法が撃てたのかよ?と聞くとフルフルと首を振り、でも満足そうな顔で「僕もちょっと変わった精霊魔法使いらしいよ?」と笑った。
聞いてみたらオッソロシイことが判明した。
ウゲツは攻撃魔法もイメージ次第である程度のものを精霊に出してもらえるようだ。だがスザクに比べたら威力も精度も格段に落ちる。しかし何がすごかったかと言うと、ウゲツは「あらゆる心理魔法を精霊で実現させる」ことに長けていたんだよ。
もーこりゃアレだ。俺たち全員で思ったよ、「お前は間違いなくアロイス先生の息子だ」ってな。
何でそれが判明したかっつうと、威力の強い魔法で無用な自然破壊をしないように、アロイス先生はニコル先生の守護を出してウゲツに魔法を撃たせたらしいんだ。そしたらいきなり守護がすっげえ驚いてアロイス先生をがっちり囲ったんだ。
守護は焦って「強烈な自白剤じみた魔法と、強烈な狂幻覚じみた魔法を感知したので防御した」って言ったらしいぜ。ウゲツは適当に「こんなこともできちゃう?」なんて感じに精霊に問いかけたら呆気なく発動したんだと。
だからウゲツもアロイス先生から「絶対制御しなさい。君が深淵の意志ときっちり意思疎通できるまでは絶対他人へ使ってはいけない。使ったら君を捕縛せざるを得なくなる」とがっつり注意を受けたそうだ。
もちろんウゲツも素直に頷き、自分の魔法特性を理解できただけ上出来だと満足して現在に至る。
なんかなー、宝玉組ってホントこえーよ。少しは中間レベルで落ち着けや。
突き抜けすぎなんだよ、もー!




