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Precious Orb - 宝珠の庭 -  作者: 赤月はる
ルカ 光をもたらす
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きょうふのきんにくマツリ

  






今日もぼくとレティはリア先生のじゅぎょうを受ける。パティオのある1かいにいるとスザクたちがぜったいジャマしに来るので、B-201が教室なんだ。ぼくはさんすうが好き。答えがぜんぶ合ってて花丸をもらえると、ママにもほめてもらえるしね。


レティはりかが好き。なんでかわからないけど、レティは石とか土とかを見るとワクワクするらしい。ガヴィのえいきょうかなあ。もしレティがガヴィみたいにおっきい家をたてられるようになったらスッゴイねって言ったら「私が作りたいのはおうちじゃないわ」ってわらってた。何が作りたいんだろう?



午前中のじゅぎょうが終わると、お昼をみんなで食べるんだ。父ちゃんたちもミッションじゃなければいっしょに食べるから、食堂はワイワイとにぎやかだ。それに今日はアルやデボラおばあちゃんもいるし、チーム緑青もいる。すっごい人数だけど、アロイス先生やナディヤママは平気で全員分のごはんを作る。んで、今日もオイシイ。ぼくの大好きなとんかつ!ひゃほーう!


コン「ルカ、なんで今日の昼メシがとんかつだかわかるかァ?」


ルカ「んぐもぐ…何かとくべつな日だっけ…?」


コン「今日はなァ~筋肉チーム全員、ミッションなしだぜ?がっつりチカラがつくメニューにしてくれやってナディヤに言っといたんだ。感謝しろよ?」


ルカ「 !? げほぐほッ 何で昨日のうちに言ってくれないのお!?」


コン「けけけ、ばーか。言ったらお前ら逃げるだろォ?」


ルカ「やだよお!ママぁぁぁ!コンがきんにくマツリするって言うよおお!?」



ぼくのさけびに全員がビックゥ!とはんのうして、いちばん小っちゃいレビとアオイとウゲツは泣きだした。ぼくは父ちゃんにスパーン!とあたまをたたかれ、「お前がでけェ声出すからだろ!」としかられた。


だけど次に父ちゃんがアロイス先生にズバーン!!とあたまをたたかれ、「食事中に言うことじゃないでしょ、消化に悪いこと言ったコンラートがいけないんだよ」としかられてた。


ざまーみろ!


…あれ、食事中に言うのがわるいからしかったの?アロイス先生?


ぼくがそーっとアロイス先生を見ると、にがわらいしながら「がんばってねルカ」と言った。


ぼくは大好きなとんかつを半分ものこした…




*****





ルカ「レティ…今日さ、アスレチックしようねって言ってたけどさ…」


レティ「うん、むりよね…」



ちなみにきんにくマツリはぼくとレティだけのマツリだ。五さい以下のようちしゃ組はかんべんしてもらえる。いいなあ…ぼくもようちしゃにもどりたい。



カイ「うーっし始めッか!ルカ、お前『脚上挙から伸腕屈身開脚力倒立』できるようになったか」


ルカ「できるわけないでしょ」


カミル「ンだよ、じゃあ『側方伸身宙返り』はどうだよレティ」


レティ「できるわけないでしょ」


オスカー「兄貴たち、どこの軽業師だよ…ンなの学舎のメニューにないだろ。ほら、今日は飛び箱をやろう」


ユッテ「最初は柔軟からやるんだよ、よくほぐさないとケガすっから」


ルカ&レティ「はーい!」


カイ「なんだよユッテ、俺らにもかませろよ…」


ユッテ「運動に関しては譲らないし。中等学舎の年齢からカイたちには手伝ってもらうって言ったじゃん」



ぼくとレティは心の中で「ユッテ先生がんばれ!ちょうがんばれ!」とひっしにおうえんした。でも、いつものパターンになりかかってる。


これは早くりだつしないとぜったいマズい!レティと目を合わせ、いつでもダッシュできるようにみがまえた。



ユッテ「ちょ…子供の前で何やってんの!カイ、怒るよ!ちょっとー!」


オスカー「ぐえ…ッ カミル兄…ッ そのチョークスリーパー、マジ極まってる…」パンパンパン!


カイ&カミル「いけ、コンラート!」



ユッテ先生がカイにエロくかんせつをキメられ、オスカー先生がカミルにキツくチョークスリーパーをキメられて、ひっしにうでをタップするけどあまりゆるめてもらえていない。


ぼくらはユッテ先生とオスカー先生がほかくされたしゅんかんにダッシュし、草原を抜け、ガヴィのすべり台がある公園を抜け、猫の庭をぐるっとまわってブナの森へ行こうとした。


すると猫の庭の正面げんかんからクレアが「ルカ、レティ、こっち!」とよぶ声がきこえて、ぼくらはヘアピンターンしてクレアがあけているげんかんにとびこんだ。クレアはパティオで「かんいテント」のピックをぷすりとさし、ぼくらをかくす。



コン「お、クレアじゃねーか。わかってんだぜ~、簡易テントの中にルカたちがいるんだろォ?いい子だからちょーっとソコどいてみ?」


クレア「ねえねえコンラートさん。あれ、なあに?」



クレアがゆびさした先には、ピーチが両手で上に出しているフォグ・ディスプレイがあった。ゆっくりテロップがながれ、『コンラートのホルマリン漬け:メガヘルに敗北』って出てた。むずかしい字がわからないけど、ようするにコンが水の柱の中でガボガボおぼれてるえいぞうきおくだった…!


なにこれ、クレアすっごい!こんな弱みをつかんでたの!?

チョーほしい、あとでクレアにおねがいしよう!



コン「な!? ク、クレアちゃん…?この映像が入った魔石、ドコにあったのかな…?」


クレア「ないしょです。ルカとレティをいぢめる人にはおしえてあげないです」


コン「じゃあ今日はもうやめてやるよ、な?んで魔石は?」


クレア「コンラートさんはすぐ『ウッソでっしたー』って言ってルカとレティをいぢめるから、ないしょです」


コン「うぐ…」


ナディ「ふふ、クレアには敵わないわねコンラート。すぐ皆をからかうからいけないのよ?ほら、ルカもレティも出てらっしゃい」



ぼくらはらんぼう者のコンをだまらせるナディヤママが来て、本当にホッとした。

でも、それがいのちとりだった…!



コン「魔石が手に入らないならしょうがねえか。さてルカ、レティ…続きをしようぜぇぇぇぇ!!」


ルカ&レティ「キャー!!」


ナディヤ「あらあら…」



舌なめずりしたオレンジのあくま、クソバカ父ちゃんのコンは、またぼくたちをおいかけはじめた。つかまったら、この前みたいに水がタップタプに入ったツルツルのつぼをもたされて「落としたら十分間コチョコチョの刑な」とおどされたり、かてるワケもない「うでずもう百本しょうぶ」をあのきんにくデビルとやらされたりするんだ!


ぼくらはバーン!と正面げんかんからとび出し、ブナの森へ入る。レティもかけっこはとくいで、ぼくらはゼーハー言いながらひっしに森をぬけ…られなかった。



カイ「いよお、遅かったなー?」


ルカ&レティ「キャー!!」



くるりと向きをかえ、またしてもダッシュ。猫の庭を通りすぎて、みさきの方向へ走った。

なんで草原でエロサブミッションしてたカイがいるのー!?

このきんにくデビルぅぅ!


もうちょっとで猫の庭が見えなくなるってとこまで来て、ちょっとうしろをふりむいたらだれもいない。デビルをまけたかもしれない!



ルカ「レティ、にげられた、かな…」


レティ「わ、わかんな…もうヤだぁ~」


カミル「そう言うなよ~、遊ぼうぜ~?」


ルカ&レティ「キャー!!」



ぼくらはけっきょく、おにごっこのようにおい立てられて、とんでもないきょりをダッシュさせられた。コンは「けっけっけ、これが筋肉ピンボールだぜ」と、とくいげに言いながらグッタリしたぼくらをわきにかかえて猫の庭へもどった。







*****






クレア「ごめんねルカ、レティ。ちょっとコンラートさんを甘く見てたわ…」


ルカ「クレアのせいじゃ、ないよ…」


レティ「そうよお…かくまってくれて、ありがとね…」


ルカ「あのえいぞうきおく、どうしたの?」


クレア「ないしょよ?パパがもってたの」


レティ「そっか…ねえルカ、私くやしいわ。きんにくつうでおき上がれない…」


ルカ「…だね、ほんと…あのクソコンと、きんにくデビル二ひき…」



ぼくらがくやしいけど動けないでブツブツ言っているのをきいて、ユッテ先生とアルマ先生がやって来て言った。



ユッテ「カイ、あんにゃろう…今日は許さん。ルカ、レティ。私らがお仕置きしてやっから安心しな」


アルマ「そうね~、ちょっとやり過ぎだよねェ」


ルカ「ユッテ先生、アルマ先生…ぼくらのカタキをうって…!」


レティ「コンラートさんはどうするのお?」


ユッテ「ふむ、ナディヤ姉にはお仕置きを頼めないけど…ま、夜中に忍び込む協力くらいは取り付けられっかな。まあ任せときな」



ぼくとレティはワクワクして、二人でハイタッチした。でもそのハイタッチのしょうげきで全身がイタくてプルプルとなみだ目になった。





次の朝、猫の庭では三つのへやから「なんッじゃこりゃあああ!」というおたけびが上がった。そして、もうそろそろ夏になるよっていうあつい日だったのに、コンもきんにくデビル二ひきもすごくぶあつい服を着て「くそ…」と言いながら食堂に来た。


ユッテ先生は「これに懲りたら初等の筋肉マツリは禁止だし!わかった!?」とさけびながら、よく「今年のグラオ王子」がかざられるがくぶちを三つもっている。




それは、コンときんにくデビル二ひきのむねに、すっごいラメでキラッキラシルバーの星がべったりくっついているえいぞうだった。


すっげ~、星がたおっぱいだって!ぼくだったらはずかしくてしんじゃう。


ぼくら子供組はポカーンとがくぶちを見ていたけど、大人組はものすごい大ばくしょうのうずだった。ユッテ先生とアルマ先生はビシィ!とぼくらにサムズアップし、ぼくらもにこっと笑ってサムズアップを返した。



コン「くっそ…ルカ、てめえユッテたちを味方につけやがってずりィぞ…」


ルカ「ぼくは星がたおっぱいにしてなんてたのんでないもん。ユッテ先生とアルマ先生がおしおきはまかせろって言ってくれたんだもん。コンがわるいんじゃん!」


コン「ンだよ、可愛がってやったのによォ。お前、今晩寝られると思うなよ~?夜中にお前の乳首もギラギラの星にしてやんよ~」


ルカ「ママぁぁぁ!コンがぼくのおっぱいも星にするって言うよおお!?」



ズバーン!


コンはまたアロイス先生にたたかれ、「いい加減にしなよコンラート!何で消化が悪くなるタイミングでルカをからかうかなあ!?」とプリプリおこった。


あの…食事の時しか父ちゃんをおこらないのはなんでですか、アロイスせんせぇ…







  


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