A-802 sideクレア
こんにちは。
ここはA-802です。
ここでの日常と住人に関するレポートね、起承転結で纏めれば良いかな。
あ、そこまでカチコチにしなくていいのね、了解しました。
ここに住んでいるのは、オスカー・白縹とその妻リア・白縹。二人の娘である私、クレア・白縹です。
パパはアルカンシエル国軍内白縹特殊部隊所属の軍人です。
それは表向きの所属部隊でして、実際にはヴァイス内で秘密裡に設立されている本当の「特殊」部隊、グラオの所属。これは秘匿レベル8の情報ですので、情報取扱いにはご注意ください。
…ついでに私はまだ四歳なので、そのことを知っているってこともご内密に願います。
パパの特徴はグラオでも上位に入る筋力と、戦況分析可能な頭脳で戦場へ一人軍隊としてオールマイティに行けるところです。もともと「一人軍隊」のような扱いは紅玉のヘルゲさんの独壇場だったわけですが、本人の開発した「リンケージグローブ」によってグラオ全員が魔法能力その他を共有できるようになったが故です。
…ついでにこれも秘匿でお願いします。
ママは元々、白縹の中等・高等学舎で社会科教師をしていました。私が生まれてしばらくしてから円満退職しまして、現在では猫の庭専属の学科教師をしています。ママの特徴は「初等から高等の学科教師免許を全学年分取得している」ことです。正直言って、誰にも真似できないんじゃないかという離れ業なのですが、同僚の方々からは「教師マニア」「知識欲モンスター」と陰で呼ばれていたようです。
ですが困ったクセがありまして、皆様ご存知の通り「失言クイーン」なのですね。
私やパパは慣れているのですが、未だにアロイス先生やヘルゲさんからはアイアンクローを受けていることがあります。ご迷惑をおかけして、誠に申し訳ありません。
―え?ああ、しゃべりがカタいですか?
最近家で遠慮なしにママと討論するようになったもので、なんだかこれで定着しちゃいまして…気を付けます、猫の庭から出たら「クレアはよんさいだからわかりません」と言わなければなりませんからね。
ではあまり固い話をしても何ですので、映像記憶で日常的な部分を見ていただいた方が良さそうです。
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「何よ、オスカーまたクヴァシールへ行くの?よっぽど気に入られたのねえ」
「あー、ペッピーノさんがまさかの出世頭だったらしいんだよ…何かあると俺に指名入るようになっちまった」
「っは~、仕方ないわね。んじゃまたハニーミードよろしくう!ミュート・ピトニィってのもおいしそうだから狙ってきて!」
「…リアには小瓶な。クレアには蜂蜜製品を何か買ってきてやるからな」
「ありがとうパパ、楽しみにしてる。でもケガとかしないでね、気を付けて行って来てね」
「ああ、今回は国境線っつーよりクヴァシール国軍の練兵に行く感じなんだ。危ないことはないから安心しろよ」
「ちょっとぉ~、クレアの方が妻っぽいわ!どういうこと!?」
「えーと…そんなことないと思うわ。ママはパパを信じてるから、特に心配してないってことよね?ごめんなさいパパ、私も心配しすぎないようにするね」
「さすがクレアね、わかってるじゃなーい!そうよこれが夫婦の絆ってやつよ!」
「…ああ、二人とも安心して待ってなよ。毎晩通信はするからさ」
…
…
「―クレア、いつもありがとうな。ほんとに世話かけて悪いけど、リアのフォロー頼むわ」
「大丈夫よパパ、いない間もなるべくママのアイアンクロー被弾率を下げられるようにがんばるから」
「はあ…アレさえ無きゃなあ…ほんと、クレアがしっかりしてくれて助かるよ。でも頑張りすぎるなよ?リアのアイアンクロー被弾率より、クレアが疲れ切っちまう方が俺は辛いからな」
「ふふ、わかりました。どうしても困ったら『パパにお土産中止の連絡をする』って言えば少しは何とかなるもの」
「はは、そりゃいいや。アロ兄にも一応フォロー頼んだけど、肝心のアロ兄がキレるとアゴ砕きが入るからさあ」
「…ママへのお仕置き、かなりキツい段階へ入ってるわね。少し対策考えなくっちゃ」
「俺もクヴァシールで考えとくよ。はあ、ほんとにクレアがいて良かった…」
「ちょっとー、何二人でラブラブな感じなのお?私も入れなさいよ!」
「 ! いま、ママの話してたのよ。この前の歴史書の話がすっごくためになって嬉しかったってパパに報告してたの」
「ああ、やっぱリアの話はためになるよな」
「え?あら…そ、そんなことないわよう、やあね二人とも、私のこと大好きすぎなーい?んもー!」
( …単純… )
*****
―とまあ、こんな感じの日常です。
あとはママとの討論っていうか議論っていうか、そういうものが最近多いです。
ママは悪気のない失言が多いんですが、それでも好かれる愛されキャラなの。私にはない要素だからいつもすごいとは思ってる。でもパパは随分昔からママの八つ当たりを受けていて、打たれ強さと忍耐強さを持っています。私はそちらを目指しています。
パパは「クレアはしっかりしすぎてて少し心配だな。家族には弱音吐いたっていいんだぜ?」と嬉しいことを言ってくれます。
私は別に無理をしてるつもりはないけど、パパが心から心配してくれてるのがよくわかる。ついつい知識をため込みたくて本に夢中になってしまうけど、パパがそうやって絶妙なところで息抜きさせてくれるの。
ユッテ先生やアルマ先生も「オスカーは出来過ぎなんだよ。クレア、アンタもね」「少しくらいおバカなことしでかしたって、いい青春の思い出になるよぉ?」と言います。
ふふ、私がこんな勉強の虫だってことをオープンにしてからというもの、みんなして心配や激励をしてくれるのはくすぐったい。ちょっと前まで「こんな子供は気色悪いに決まってる」なんて自分を客観的に見て落ち込んだりしたけれど。
今は理解してくれてる人たちがこんなにいるから、私らしくいられます。
以上で、私たち三人のレポートを終わらせていただきます。
まじめ!まじめすぎるよクレアちゃん。
それと情報漏洩には気を付けて(´∀`;)




