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Precious Orb - 宝珠の庭 -  作者: 赤月はる
【猫の庭 家庭訪問】
21/103

A-801 sideレビ

  





こんにちは!

俺、レビ。

お部屋はA-801だよー。


ライノ兄ちゃんとレイノ兄ちゃんのおかげで、けっこう頭の中ではたくさんおしゃべりしてるんだけど、口に出して話そうとするとうまくいかないんだよね。


えっと、ママはフィーネで、パパはアルノルト!

二人ともマナのキラキラが見えるんだ、俺と一緒。


ママはねえ、俺のこと大好きなんだ。

俺がニコって笑うとすっごい勢いで「レビ、君はなんって可愛いんだ!でも息子可愛さにベタベタしすぎるとマザコンになるか嫌われるかするらしいと聞くのだが…いやいや、三歳まではいいではないか?君が四歳になったらもう少々我慢を覚えるので、いまは、いまだけは君の宇宙一の愛らしさを堪能させてはくれまいか…!」とか言うね。


俺もママは大好きなんだけど、猫の庭の兄ちゃんや姉ちゃんたちにもこんな風に鼻血ぶー寸前って感じになることがあってさあ。そういう時の皆は「慣れてる。慣れてるからいいけど、いつまでこのテンションで抱き締められ続けるんだろう」っていう気持ちになってるのが、ありありとわかるんだよね。


だからもう少しちゃんとおしゃべりできるようになったら、俺がちゃんと止めてあげないといけないなって思う。俺自身はママに大好きって言ってもらえるのは嬉しいからいいんだけどさ。



んでパパはね、俺とママのことが大好きで仕方ないんだ。

俺がママに抱っこされてるでしょ?んで、パパが帰って来るでしょ?だから二人で「お帰り!」って言うんだけどさ(あ、俺まだうまくしゃべれないから「おかえい」になっちゃうんだ)。


パパも「たっだいまー!うあああ、フィーネかわいー、フィーネそっくりのレビかわいー!くっそう、こんなかわいいの反則じゃんか、毎日幸せだあああ!」って言うね。


ヘルゲ先生とかデボラお婆ちゃんはパパとママのことを「似た者夫婦の極致」って言ってた。まあ、マナ同調者どうしの夫婦だしね。俺も当然マナ同調者だから、三人揃ってマナに対する反応が同じなんだ。


Tri-D airy regionていう、広報部のダンさんが撮った絶景を見られるおもちゃがあるんだけどね。それ見てると大抵俺たちは三人してグシグシ泣いてる。パパとママはこの絶景の撮影クルーだったんだけど、何度見ても思い出して感動するから泣いちゃうんだって。


それとね、パパとママは、すっごいおもちゃを作る天才だと思うんだよ。

マナ・コンっていう模型の馬車を走らせたり鳥を飛ばせたりするおもちゃも作ったし、バトル・スピニングっていう独楽の発射装置を作ってケンカ独楽を流行らせた。ほかにもポムとかいろいろあるんだけどさ、猫の庭の子供は「試作おもちゃのテスター」だから楽しくってしょうがないよ。


中には失敗作もあるけどね。

え、失敗作の話?

いいけど、ナイショだよー?

だってさ、何で失敗かっていうと「こんなヤバいもん、世に出せない」っていう意味の失敗作なんだもん。



「レビ、ちょっと来てくれないかい?」


「あーい」


「新しいおもちゃを考えたのだがねえ、こんなのはどうだろうか?これは『クレイ・アート』に似た構造なんだがね。粘土でうまく形を作るのは、君たちにはなかなか難しいだろう?」


「うん、むじゅかしい」


「そこでだ!思い描いた通りに粘土が勝手に造形される夢の粘土遊び!『ドリーム・クレイ・アート』だ。この水晶板に粘土を乗せてごらん…そうそう、それで、ここの手の形になっている窪みに手を置いて。よしレビ、君の好きなものは何だろうね?」


「キラキラー」


「む…さすがに粘土でマナの波は表現しきれんな…では、好きな動物はなんだい?」


「うー…ねこしゃん」


「お、いいねえ!では起動するから、頭の中で猫さんを思い浮かべてごらん?」


「あーい。ねこしゃーん、ねこしゃーん… ひ!? うわああああん!! 」


「ぬあ…失敗か…」



―何が起こったかというと、俺の頭の中はまだイメージを定めるってことがうまくできていなくて、勝手に粘土がグニグニ動いて出来上がったのは「頭と体のバランス比が八対二」っていうバケモノじみたリアル猫だったんだ。


ちょっとアレはねー。


俺、三日連続おねしょしちゃったねー。


俺のギャン泣きを聞いてパパが何事だーって飛んできたんだけど、モノを見て「あちゃー」みたいな顔で俺をあやしてくれた。そんでママと『ドリーム・クレイ・アート』について話してたんだけどね。



「フィーネ、これはちょっと怖い夢見ちゃいそうだね…」


「うむ、子供のイメージ力をナメていた…」


「それにさ、この方陣…いくらなんでもナイっしょー…子供用のおもちゃに『心理探査サイコサーチ』はないよー、軍の尋問で使われる禁術の心理魔法をおもちゃで売り出せないってぇ」


「むう…これは試作品だし、うまく作れて子供が楽しめるなら、アルにオリジナル方陣で作り直してもらってからブラックボックス化すればいいと思ったのだがね…」


「いやー、だって俺のオリジナルだって言い張ったとしたって『どうして思考が読めるんだ』ってなって、心理魔法扱い間違いなしでしょー…」


「うぬぬ…仕方ない、これは諦めるか…怖い思いをさせてすまなかったね、レビ。ぼくを許してくれるかい?」


「うっく…ひっく…うん、いいよー」


「うおお、レビ!君はなんて優しいのだい!ぼくと仲直りのハグをしてくれたまえよ!」


「ひっく…あいー」


むっぎゅううう!


「あはは、レビ偉い!フィーネがわざと怖いもの見せたわけじゃないって、わかってあげたんだなー」


「うん…おれ、ママ、すき」


「うほぅ…なんという波状愛情攻撃アフェクション・コンボなのだレビ!」


「あ、あふぇくしょんこんぼ?フィーネってばレビが生まれてから、愛情造語が留まるところを知らないよね…」



まあ、こんな感じでケンカとかは滅多にないよ。

この後三日連続でおねしょしちゃったけど、パパもママも「あれのせいだから、仕方ないよね!こういうこともあるさ」って励ましてくれたんだ。だから俺も「あんなのこわくないぞ」ってがんばって、おねしょ止められたんだけどね。


以上、A-801レポートでしたあ!





  

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