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Precious Orb - 宝珠の庭 -  作者: 赤月はる
レティシア 喜びをもたらす
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楽しい遠足…の、はず。

  





今日は半年に一度の、金糸雀の里へ遠足の日。


インナ先生とかたくさんのお歌のお姉さんがいて、ほんとに楽しい所なの。でもいくつか約束事があって、音楽と踊りを楽しみに行く日だから、絵本は禁止。ヘルゲ先生の映像記憶は誰にも見せちゃだめ。


どうしてなのかよくわからないけど、そういうことになってる。別に不満もないから、いいけど。引率してくれるのはアルとヨアキム、ナディヤママ、ニコル先生、ユッテ先生にアルマ先生。


みんなインナ先生のお歌も楽しみなんだけど、金糸雀では今日タラニスの感謝祭なの。だから里のみんなが歌ったり踊ったりするし、アルも「ぜーったい楽しいよ!みんなでぴょんぴょん跳ねて踊ると、もっと楽しいよ!」って毎回言うの。


でもちょっとフィーネ先生が心配していたのが、レビのこと。


マナ同調者っていうのは何段階かガツンと成長することがあるらしくて、特に「マナはしか」というのに罹るととっても辛い思いをするんですって。去年まではまだ小さすぎて金糸雀へ来たことのなかったレビたち三歳児組は、今日が金糸雀デビューなの。


普通マナはしかは16歳前後で罹るんじゃないかって、フィーネ先生とアルの経験から予測されてるみたいだけど、レビが強烈なマナを浴び過ぎて失神でもしてしまうんじゃないかって心配そうだった。


でもお父さんのアルが一緒だし、守護でレビを守るつもりだから大丈夫だよって言ってた。一応ルームで本人にも伝えたら「キラキラ見えなくなるかもしれないんだねー…うん、覚悟しとく。何かあったら守護、助けてーって言うから平気」って言ってた。






そんなわけで、金糸雀の里へ来ました。


ここはいつ来ても楽しい音楽がたくさんなの。インナ先生のお歌で遊ぶとウキウキしちゃうし、私もルカも未だに「羽でぴょんぴょん」の歌は口ずさむ時があるもの。


カペラに到着したから、元気に挨拶しなくっちゃ!



全「こーんにちはー!」


インナ「みんないらっしゃい!待ってましたよ、どうぞ」



カペラの中へ入ると、カナリアのお兄さんやお姉さんたちが何人もいて笑顔で出迎えてくれた。三歳児組は、インナ先生を知っていてもカナリアさんたちを知らないの。ちゃんと挨拶できるかしら…



インナ「今日は初めましての子もいるんですよね?カナリアのみんなと仲良くしてくださいね」


アオイ「アオイー!」


ウゲツ「ウゲツれす。よよしくおねがいしましゅ」


レビ「ほあー…キラキラ」


ウゲツ「レビー、しっかりー、おしゃべり、ちゃーんと」


レビ「ほえー…キラキラ」


ウゲツ「もー…アオイもー。ちゃーんと」


アオイ「うー、アオイでし。よよちくでし」


レビ「あ!レビ!こんにちあ!」


インナ「まあ、とってもいいご挨拶ですね!今日はみんなで楽しく遊びましょう」


全「はーい!」



なんとか三歳児組もカナリアさんたちにご挨拶できてホッとしちゃった。ウゲツ、よくがんばったわ。後できゅっとしてちゅってしてあげるからね。


カペラでは、感謝祭でカナリアさんたちが歌う特別なお歌がある。お空へ感謝を捧げるお歌で、インナ先生に合わせてカナリアさんたちも歌う。で、カナリアさんたちに合わせて金糸雀の里みんなが歌うの。


私たちに難しい歌詞は覚えられないけど、どんなお歌か知っておけば「なんとなーくわかって踊れるよ」とカナリアさんたちは言う。でもみんなが踊るのって意外と難しくて、何回か来ている私もルカも、まだ踊れないのよね…



その話になるとアルが「跳ねればいいの!」と力説する。

子供は跳ねてる子もたくさんいるけど、大人で跳ねてるのは毎回アルだけなのよね…ナディヤママやニコル先生たちは何回もインナ先生に教わっていて、とても上手に踊る。くるくる回ってステップを踏んで、とってもきれいなの。いつか私もあんな風に踊れたらいいな…



お歌の練習も終わって、五歳児組はもうウズウズしていた。


みんなで歌う感謝祭のメインが始まるまで時間があるので、屋台のおいしいブリヌイを食べたいってワクワクしてるの。ユリウスご推薦のブリヌイ屋さんはほんとにおいしいのよねえ。


お小遣いをもらって、みんなでメインストリートに走っていった。今日はアルが追跡方陣でみんなの位置を把握してるから安心してねーって言われてるから、ちょっと不安だけど五歳児組を放牧…じゃなくて解放?しました。


私はルカやクレアと一緒に三歳児組を見なきゃって思ったけど…



ナディ「ふふ、いいのよルカ、レティ、クレア。ウゲツたちは大人が見ているから、安心して遊んできて?」


ルカ「ほんと!? ありがとママ!行こうレティ、クレア!僕もブリヌイ食べる~!」


クレア「私、今年こそサーモンとクリームチーズのブリヌイを味わうわ!去年は売り切れで悔しかった…」


レティ「あは、じゃあ行きましょ」



私たちも駆け出して、なんだか久々に開放的な気分。


ブリヌイ屋さんに並んで、クレアも目的のブリヌイをゲットできて上機嫌。私はイクラ、ルカはハムとチーズ。もぐもぐしながら歩いていくと、おっきな笛を吹いている人と、不思議な形の弦楽器を弾いてる人。それに…ものっすごく綺麗なお姉さんが踊ってた。


ポーッとして見ていると踊りが終わって、周りの人は大拍手。


私も拍手したかったけど、まだブリヌイを食べ終わってなかったの。

でも…ほんとにきれいだった…素敵。

うっとり見てたら、踊っていたきれいなお姉さんがフッと笑って私の方へ来る。



踊「ふふ、カワイイお嬢さん、イクラが零れちゃってるわ」


レティ「ふあ…やだ…ありがとうお姉さん。あの、とっても、とっても素敵だった…」


踊「んま!ありがとぉ~、最高のギャラをもらっちゃった!そんな頬染めて言われたら、お姉さんあなたが可愛くて攫いたくなっちゃうわ!んー、ちゅ!」


笛「おいセリナ…お前物騒なこと言うな、事案発生で通報されちまうよ」


踊「はぁ~い」



お姉さんはおでこにキスまでしてくれて、「感謝の歌が終わったらまたここで踊るから、見に来てね!」と言って笛のお兄さんたちと去っていった。



ルカ「うーわ、レティ、顔真っ赤だよ」


クレア「でも、わかるわ…あのお姉さん、素敵すぎる。目の保養っていう言葉の意味が理解できたわ」


ルカ「ねえ、それって男の台詞じゃないの…?」


レティ「ふああ、セリナさんって言うのね、あのお姉さん…ルカは何とも思わないのお?あんなに素敵なのにい」


ルカ「えー、僕はブリヌイもう一個食べたいなって思ってたから、あんまり見てなかった」


クレア「花より団子、か…残念すぎるわルカ」


ルカ「えー…」




ルカは不満そうな顔で、とっくに食べ終わったブリヌイの包み紙をゴミ箱へ捨ててきた。で、ゴミ箱から戻ってきて…



ルカ「…どうしよう、レティ、クレア」


クレア「なあにルカ」


ルカ「あっちで…見てはいけないものを見た気分」


レティ「あっち?ああ、噴水の方?…あー」



噴水のそばでは、金糸雀の子供と一緒になって遊んでいる五歳児組。それはいいんだけど、なんだか絵本を持った子がたくさんスザクに群がっていて、ものっすごいドヤ顔してるのが見える。


ええ、そうね、ルカ。


見てはいけないものを、見つけてしまったわね。



クレア「…ガキ大将って、ああいう状態のことを言うのね、きっと」



クレア、あなたの冷静さが羨ましいわ…






  

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