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明日へと続く物語 【番外編】  作者: カノン
明日へと続く物語【番外編】
7/10

過去という名の迷宮(ラビリンス)6

ヒナタとパートナーになってあれから1ヶ月が過ぎた・・・


「マジで!?イオスが2位!?今回調子でもわるかったのか!?」


「しかも1位があいつだぜ、一体どうなっているんだ!?」


「し!イオスが来た・・・聞こえちまう!」


(何をひそひそと話をしているんだ・・・)



ざわざわとざわめく教室


試験の結果が張り出された教室の後ろで、俺は信じられない結果に目を見開いた



(嘘だろ・・・)






2位 イオス・エリクソン






その結果を見て目の前が真っ暗になった俺は、顔に手を抑えるとぎりっと唇をかみしめた




(何であいつが・・・)



俺は隣の席にいる人物をちらりと見ると、そいつはいつものように居眠りをしていて、さすがに周りの騒ぎに気付いたのか「うーん、騒々しい」と言って薄く目を開けた




「おい、お前マジですげーな!」

「イオスを抜かすだなんて半端ねーな、カンニングでもしたのかよ!?」



今まで爆睡してたせいか、そいつは虚ろな瞳で周りで騒ぐ者たちを見つめると


「何?皆そんなに騒いで・・・弁当でも盗られたの?」


といって大きく欠伸しながら言った





(くそッ・・・)




俺は呑気にで欠伸をするそいつに心の中で悪態をつくと、血が滲むまで拳をにぎり絞める





(あんな天然でいつもぼーっとしている奴に俺は・・・俺は・・・・負けたのかッ!?)



学生生活・・・いや、今までの人生で常にトップでいるのが当たり前だった



(この前の河原でのことといい、今回のことといい、何者なんだあいつは!?)



始めて体験する敗北感

悔しさと屈辱がうずまく感情の中、イオスは拳を握りしめ、その場から立ち去ろうとしたその瞬間だった・・・






「まじで!?1位?ボクが!?」


ようやく目が覚めたのだろう、フウタから結果を報告されたヒナタは慌てて結果発表の紙を見に行くと「本当だ・・・」と呟いた



ぼーぜんと結果発表の紙の前で立ち尽くすヒナタの肩に、フウタは手を乗せると「お前、ただの馬鹿じゃなかったんだな!イオス以外でA組で1位を取る奴なんて始めてみたぜ!」と言いながら感動したようにヒナタの肩をバシンと叩く





「痛ッ!?ただの馬鹿って・・・フウタ君、ボクのことをそんな風に思っていたんだ!」


「ああ、今まで馬鹿だと思っててわるかった!いつも変な歌を歌ってるし、ぼーっとしているし天然だし・・・・少なくとも賢くは見えないと思うけどな」


「んだと?ボクの人格を冒涜した上に、歌まで馬鹿にしたな!?ボクの歌の素晴らしさがわからん愚かものにはこうだ!!ボンバーアタアアアアアック!!」


「ぎゃああああッ!?」








フウタに向かってヒナタが強烈なタックルをかましているのを見たイオスは


「なるほど・・・馬鹿と天才は紙一重という言葉はああいうやつの事をさすのだろう・・・・・その上奴は自分の能力の高さを自覚していない分、余計にたちが悪い・・・」


とひとり呟くと、ふらふらとした足取りでその場を去って行った








【過去という名の迷宮ラビリンス6】








「ヒナタのやつ、今に見ていろ!貴様が笑っていられるのも次の期末の間までだ!!」


夜中の3時・・・


うとうとと眠たい気持ちを堪え、ひたすら今日習った内容を暗唱していると「トントン」と部屋の扉が叩かれ、俺はハッと意識は覚醒する



「(いかん、危うく寝てしまう所だった)・・・こんな夜中に何の用だ?」



そう言ったとどうじに部屋の扉が開けられると、俺の妹にあたる人物【アリス・エリクソン】がくまのぬいぐるみを片手に部屋の中へ入ってきた


「トイレに行こうと思ったら、お兄ちゃんの部屋の明りついてたから・・・まだ起きてるのかなと思って気になっただけ」


アリスはそう言ったあと時計の横に貼ってある張り紙を見ると「お兄ちゃん、あれ・・・」と指をさした


「何だ?」


俺はアリスの指さす方向を見ると【打倒!ヒナタ・シンクレア!】と書いた紙が貼ってあり、俺は(これのことか)と納得すると「これはライバルの名前だ」と眉間にしわを寄せて言った




「らいばる?」




「ああ・・・」



首を傾げるアリスに俺は頷くと、アリスは小さな声で「シンクレア・・・」と呟く


「そう言えば!」


「?」


アリスは何度かその名前を呟いた後、何かを思い出したのか手をポンと叩くと「お兄ちゃん、私の学年にも【シンクレア】って名前の人いるよ!」と言った


「えっと名前は【ルキア・シンクレア】っていって、確か転校生だったような・・・なんだかよくわからないけど凄い人だって噂なの!私もちらりとしか見たことないけど、物凄くかっこよかったな~・・・あ、お兄ちゃん達の方がずっとかっこいいけどね!!」



「そうか・・・」



俺はぽんとアリスの頭の上に手を置き「わかった、今日はもう遅い・・・またゆっくり話をきこう」と言うと、アリスは嬉しそうにほほ笑む


「うん!最近身体の調子がいいんだ、また学校の話お兄ちゃんに聞かせてあげる」


「ああ、楽しみにしている」


そう言って頷く俺にアリスはひらひらと手を振ると「お休み、また明日ね」と言って部屋から出て言った



「・・・ああ、おやすみ」



俺がそういいかえす頃にはとっくにアリスが部屋から出て言った後のことで、さびしくなった部屋を見渡すと、自分が書いた【打倒!ヒナタ・シンクレア!】という張り紙が嫌でも目についた



(おのれ、ヒナタめ!)



それを見た瞬間俺の中で再び何かのスイッチが入り、鉛筆を持つと再び勉強へと専念することにした



(あんな抜けたやつに負けた!)



そう思うと悔しくてしかたなかったとどうじに、自分の実力を過信し、ヒナタやまわりのものを侮った自分にも腹が立った



(次は、ヒナタに勝つ!)



相手は馬鹿に見えるが、俺を抜かし、のうのうと頂点に立つ侮れない人物だ!更に本気で取り組まねば!!





こうして悔しいからという理由で勝手にヒナタを【ライバル】だと決めた俺は、期末に向けて毎日夜遅くまで勉強に励んだものの・・・






【期末当日】



「くそ・・・頭がまわらん!」



睡眠不足と疲労が原因で更に墓穴を掘ってしまうことになるなんて、その時は思ってもいなかった




                          



                                     続く






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