過去という名の迷宮(ラビリンス) 【イオスside】
この話は、イオスsideの過去の話です。
かなりネタバレ要素が含むので注意が必要です!!
ざわざわとざわめく教室
試験の結果が張り出された教室の後ろで、俺は信じられない結果に目を見開いた
(嘘だろ・・・)
2位 イオス・エリクソン
その結果を見て目の前が真っ暗になった俺は、顔に手を抑えるとぎりっと唇をかみしめた
(何であいつが・・・)
俺は隣の席にいる人物をちらりと見ると、そいつはいつものように居眠りをしていて、さすがに周りの騒ぎに気付いたのか
「うーん、騒々しい」
と言って薄く目を開けた
「おい、お前マジですげーな!」
「イオスを抜かすだなんて半端ねーな、カンニングでもしたのかよ!?」
今まで爆睡してたせいか、そいつは虚ろな瞳で周りで騒ぐ者たちを見つめると
「何?皆そんなに騒いで・・・弁当でも盗られたの?」
といって大きく欠伸しながら言った
(くそッ・・・)
俺は隣で欠伸をするそいつに心の中で悪態をつくと
血が滲むまで拳をにぎり絞める
あんな
あんな天然でいつもぼーっとしている奴に
俺は・・・俺は・・・・
負けたのかッ!?
俺の心情なんて全く知らないそいつは
いつも俺の隣で能天気な笑顔を浮かべて笑っている
そんなあいつの、天然な所や、能天気さが
俺は大嫌いだった・・・・・
【過去と言う名の迷宮】
あいつがこの学校へ来たのは、丁度1ヶ月前の事だった・・・・・
「転校生のヒナタ君だ、挨拶しなさい」
(転校生か・・・今時珍しいな)
周りがざわめく中、俺は転校生の存在などどうでもよくて
ぼんやりとヒナタという人物を眺めていた
(震えてる・・・緊張してるのか)
馬鹿らしい、早く自己紹介を終わらせて授業を再開したい
そう思ってた時だった
「は、始めまして!」
静まりかえる教室の中、転校生の声だけが教室に響く
「ヒナタ・シンクレアです!よろしくお・・・・・」
ゴンッ
「痛ッ!?」
「ヒナタ君!大丈夫かッ!?」
頭を押さえ、ふらふらとする転校生を見て唖然とする俺に対し
クラスのものはどっと笑うと「何だ!この転校生」といって次々に笑いだす
「挨拶で教卓とヘッドバッドって・・・」
「お前面白いな、ヒナタっていったっけ!よろしくな!」
「お、おう・・・」
そう言って前の席のクラスメートと握手をかわす転校生を見ながら俺は(馬鹿らしい)とため息をはくと
(なるべくあいつとは関わりたくない・・・)と思った
【ヒナタ・シンクレア】
そいつの第一印象は【頭が悪そう】だった