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元ホストの俺、乙女ゲームの王太子に転生。聖女より婚約者を守ります  作者: ふうこ0701
第一章:転生と違和感

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第5話 王太子の宣言

毎週土曜日に更新します

エレノアの言葉に、リリアは俯いた。


「ご、ごめんなさい……エレノア様。私が、はしたなかったですよね……」


リリアの蜂蜜色の瞳には涙が浮かんでいる。


周囲がざわついた。


「聖女様にそんな言い方……」


「またエレノア嬢が聖女様をいじめてるぞ。」


「殿下が聖女様ばかり構うから、嫉妬していじめてるって噂だぞ。」


次々と、エレノアを糾弾する声が上がる。


エレノアは何も言わなかった。

ただ静かに、唇を噛みしめている。


リリアは涙を浮かべながら言った。


「いいの……私が悪いの……」


その様子を見て、俺は違和感を覚えた。


泣いているリリア。

慰める周囲。

責められるエレノア。


その構図が――あまりにも出来すぎている。


そして、ある一つの可能性に思い至った。


リリアはヒロイン。

エレノアは、このゲームでは悪役令嬢。


だから、エレノアのどんな些細な行動でも、悪く取られてしまうのではないか。


その瞬間――


俺は見てしまった。


リリアの顔が、ほんの一瞬だけ、意地の悪い笑みを浮かべたことを。


確信した。


こいつは――。


その時だった。


「エレノア様、聖女様に謝るべきでは?」


誰かが言った。


エレノアはゆっくりと顔を上げる。


そして毅然と言い放った。


「私が謝る? そんな必要ございませんわ。


私は、ただリリア様に注意しただけですわ。


それに婚約者のいる殿方に馴れ馴れしくなさることこそ、

礼儀に反していることではなくて?」


エレノアの言葉に、ルシアンが口を開いた。


「本当に可愛げのない女だな。

少しはリリアを見習って、女らしくなれよ。」


「ルシアン様、もうおやめください。」


リリアが慌てて言う。


「エレノア様は、至らない私に淑女としてのあり方を教えてくれただけですわ。


でも……私がいつまで経っても至らなくて。


それに私がレオニス、いいえ殿下と親しくしすぎて、

エレノア様のご不興を買ってしまったのですわ。」


リリアは啜り泣いた。


その姿を見て、周囲の男子達がますます騒ぎ出す。


「結局、聖女様に嫉妬しているだけじゃないか。」


「そんなんだから殿下に愛想尽かされるんだよ。」


ルシアンは大いに頷き、アルベルトは困った顔をしている。


カイルは表情には出さないが、なぜだろう。

ものすごく不機嫌なのは伝わってきた。


「嫉妬なんて醜いぞ。謝れ。」


「やめて、みんな。エレノア様は悪くない。悪いのは私だから。」


リリアは一見、周囲を止めているように見える。


だが俺の目には、むしろ煽っているように見えた。


リリアが涙ながらにエレノアを庇えば庇うほど、

周囲はどんどんエレノアを貶めていく。


エレノアはただ、耐えていた。


それが、悪役令嬢エレノアに課された運命というやつか。


俺は悪役令嬢エレノアがどんな末路を辿ったのかは知らない。


だが――


決して良いものではないことだけはわかる。


エレノアの未来が暗いものであることだけは理解できた。


そんなのは、到底受け入れられない。


「やめろ。」


俺は怒鳴った。


「私の婚約者を侮辱するのは許さない。」


「殿下……。」


エレノアが驚いたように俺を見た。


俺は続ける。


「私の婚約者は間違ったことをしたとは思わない。


むしろ、リリア嬢に淑女としての礼節を守るよう忠告しただけだ。」


周囲が静まり返る。


「それを謝る必要が、どこにある?」


誰も答えない。


俺はエレノアを見た。


俯いていた彼女の瞳が、大きく揺れている。


「レオニス?」


リリアが驚いた顔で俺を見る。


涙はもう止まっていた。


俺はリリアの手を振り解いた。


「行こう、エレノア。」


そう言うと――


俺はそのままエレノアを抱き上げた。


「で、殿下!?」


エレノアが真っ赤になる。


教室が一気に騒然となった。


俺はそんな周囲を一瞥して言った。


「俺の婚約者を責める奴とは、付き合う気はない。」


そう言って、俺はその場を後にした。

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