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元ホストの俺、乙女ゲームの王太子に転生。聖女より婚約者を守ります  作者: ふうこ0701
第一章:転生と違和感

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第2話「俺の婚約者は悪役令嬢らしい」

「レオニス殿下、ごきげんよう。エレノア・フォン・クラウゼル、参りました」

丁寧に挨拶をするその姿を見て、俺は思わず見入ってしまった。

エレノアは、一言で言えば、綺麗な女性だった。

しかも、俺の知っている女どもとはまったく違う。

プラチナブロンドの髪。

サファイアブルーの瞳。

整った顔立ちは、まさに絶世の美女と言っていい。

立ち姿も完璧だ。

無駄のない所作。

自然ににじみ出る気品。

淑女という言葉が似合うのは、きっとこういう女性のことを言うんだろう。

・・・ただ。

その完璧さが、どこか冷たい印象も与えていた。

それに、この女はゲームでは悪役令嬢のはずだ。

やっぱり性格に問題があるのかもしれない。

俺がそんなことを考えていると――

「殿下?」

エレノアが心配そうに俺を見つめていた。

「あ、いや……その、ごめん。俺、いや私は……」

言葉がうまく出てこない。

その瞬間、エレノアは静かに微笑んだ。

「存じております、殿下。どうかご心配なさらないでください。

私がお支えいたしますから。」

その言葉は、とても優しくて。

作り物ではない、心の底からの言葉だと、俺にはすぐに分かった。

……いや。

本当は、そんな自信はない。

前世で俺はホストをしていた。

女の笑顔も、嘘も、山ほど見てきた。

それでも俺は、梨香子に騙された。

だから、絶対なんて言えない。

けれど。

少なくとも今、目の前にいるこの女の言葉は――

嘘には見えなかった。


エレノアは丁寧に、主に俺の人間関係について教えてくれた。

その表情は真剣で、とても一生懸命さが伝わってくる。

どうやら、一国の王太子である俺が記憶喪失だと周囲に知られるのは、かなり危険らしい。

そのため、俺の記憶喪失は重要機密事項になった。

エレノアは婚約者だから、俺の記憶喪失を知る数少ない人物の一人だ。

ただ、俺には王族としての振る舞いや礼儀などまったく分からない。

こんなんで本当に王太子が務まるのだろうか。

「とりあえず殿下、明日から学院が始まります。友人関係については、少しは分かりましたか?」

「エレノア……正直、名前が長すぎるし、家名も多くて覚えられないよ」

俺はすがるような目でエレノアを見た。

エレノアは少し困った顔をしながら言う。

「でも、覚えていただかないと……。それに、殿下の護衛騎士であるヴァルディス卿も、殿下の事情をご存じですから、きっとお力になってくださいますわ」

護衛騎士・カイル・ヴァルディス。

確か、乙女ゲームの攻略対象の一人だったはずだ。

忠誠心が高く、真面目で無口な騎士。

黒髪にシルバーグレーの瞳。

精悍な顔立ちの男だった。

「でも、彼って実直で忠誠心は厚いけど、あまり器用なタイプじゃないよね。こういうことには向いてない気がするんだけど」

「確かに……器用な方ではございません。ですが殿下、ヴァルディス卿は信頼のおける方です。きっと殿下をお支えくださいます」

「そうだね。カイルならきっとそうなんだろう。でも俺、いや、私は今とても不安なんだ。今の私に王族らしい振る舞いができるのかって。」

俺は少し迷ってから言った。

「エレノア。明日から学院では、私と共に行動してもらえないだろうか?」

俺がそう言うと、エレノアの顔が一瞬で真っ赤になった。

今まで見たことのない、少女らしい表情だった。

(か、かわいい……)

「で、殿下……。ですが私などが殿下とご一緒に行動いたしますと、殿下に悪評が立つかもしれません。それに殿下には、私よりも心を寄せている方が……」

そこまで言いかけて、エレノアは悲しそうに目を伏せた。

「どうして? 君は私の婚約者じゃないか。一緒に行動するのはおかしなことじゃないだろう?」

「ですが……」

「それとも、君は私と一緒にいるのが嫌なのかな?」

「い、いいえ! そんなことはございません!」

エレノアは顔を真っ赤にしながら、小さな声で言った。

「殿下と一緒にいたいです」

その言葉を聞いた瞬間。

あまりにもエレノアが可愛くて――

思わず抱きしめたくなった。


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