表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元ホストの俺、乙女ゲームの王太子に転生。聖女より婚約者を守ります  作者: ふうこ0701
第一章:転生と違和感

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/5

第1話 どうやら俺は乙女ゲームの王太子らしい

初投稿です。

よろしくお願いします。

事故だった。

ほんの一瞬の出来事だ。

夜の街を歩いていた俺は、眩しいヘッドライトに目を細めた。

次の瞬間、強い衝撃が体を貫いた。

ーああ、これ死んだな。

妙に冷静に、そんなことを思ったのを覚えている。

最後に頭に浮かんだのは、あいつの顔だった。

俺が必死に働いて金を渡していた女。

ピアニストになる夢を応援しているつもりだった。

でも、全部嘘だった。

「拓也? あんたまだ信じてたの?」

そう言って笑ったあの顔を思い出すと、今でも胸が少し痛む。

……まあ、終わったことだ。

そう思ったはずだった。

なのに。

「レオニス殿下。お目覚めですか?」

聞き慣れない声に、俺はゆっくりと目を開けた。

見上げた天井は、やけに豪華だった。

「……えっと、ここは?」

「殿下、お加減はいかがでしょうか? 殿下は突然、剣の稽古の途中でお倒れになられたのです。先ほど騎士団長が青ざめてお連れになりました」

侍女らしき女性は、心配そうに俺を見つめている。

殿下?

騎士団長?

俺には、何が何だかわからない。


それに俺は、梨香子に手ひどく裏切られた挙句、トラックに轢かれて死んだはずだ。

周囲を見渡す。

目に入るのは、ヨーロッパ調の豪華な家具ばかり。

ここはどこかの高級ホテルなのだろうか。

「殿下?」

落ち着かない様子でキョロキョロしていると、女性はさらに心配そうに俺を見た。

「大丈夫だ。ただ少し、ぼーっとしてしまって……ここ、どこのホテルでしょうか?」

そう尋ねた瞬間、女性は驚いたように大きく目を見開いた。

「ここは王宮、殿下の寝室でございますが……」

王宮?

俺の寝室?

えっと、全く意味がわからない。

きっと夢だ。

そう思い、俺は自分の頬をつねった。

「痛っ……」

ちゃんと痛い。

夢じゃない。

その様子を見て、女性はますます青ざめた。

「殿下、本当に大丈夫でしょうか。医師を呼んでまいります」

そう言って、女性は慌てて部屋を出て行った。

……一体、どうなっているんだ。


女性が出て行ったあと、俺は改めて部屋を見渡した。

広い寝室。

豪華な家具。

壁には絵画まで飾られている。

どう見ても、普通のホテルじゃない。

そんな中、部屋の奥に大きな鏡があるのに気づいた。

俺はゆっくりとそこへ歩いていく。

そして――

鏡に映った顔を見た瞬間。

「……おお、誰だこれ」

思わず声が出た。

そこに映っていたのは、俺の知らない男だった。

ダークブロンドの長い髪。

琥珀色の瞳。

整った、非の打ちどころのない顔立ち。

まさしく、王子様。

俺の知っている俺の顔とは、完全に別人だ。

「いや、本当に誰だよ……」

以前の俺だってホストをやっていたし、ルックスが悪かったわけじゃない。

でも、この顔はずるい。

完全にレベルが違う。

しかも鏡に映る体は、軽く180センチは超えている。

肩幅も広い。

まさしく、女が思い描く王子様ってやつだろう。

俺はしばらく、鏡の中の男をじっと見つめていた。

その時だった。

バンッと扉が開く。

「殿下、大丈夫ですか?」

先ほどの女性が慌てた様子で戻ってきた。


「ああ、大丈夫だ」

――多分。

最後の一言は飲み込んだ。

女性の後ろから、長いひげを生やした恰幅の良い中年の男が入ってくる。

男は俺の前で深々と頭を下げた。

「レオニス殿下、失礼いたします」

そう言うと、俺の手を取り、脈を確かめ始めた。

その後も、目を見たり、額に手を当てたりと、いかにも医者らしい診察を続けていく。

横では、先ほどの女性が心配そうに様子を見守っていた。

「グレイソン医師、いかがでしょうか?」

「エマさん、ご安心ください。身体的には殿下に異常は見られません」

どうやら、このひげのおじさんはグレイソン医師、

そして先ほどの女性はエマという名前らしい。

二人の会話から、俺はそれを知った。

「でも、殿下のご様子が……」

エマが不安そうに言う。

グレイソン医師は、今度は俺の顔をじっと見つめた。

「殿下、どこかご気分の優れないところはございますか?」

「えっと……」

俺は少し迷ったが、正直に答えることにした。

「実は、記憶が曖昧というか……」

「俺が誰なのか、ここがどこなのか、よく分からないんです」

その言葉に、エマとグレイソン医師は顔を見合わせた。

そしてグレイソン医師は、ゆっくりと口を開く。

「どうやら……」

「殿下はショックで記憶を失われたようです」


俺の記憶喪失については、とりあえず一部を除いて秘密ということになった。

そのため、エマがいろいろなことを教えてくれた。

エマの名前は、エマ・ローレン。

幼少期から俺に仕えている侍女らしい。

母親は俺の乳母だったそうで、いわゆる乳母兄弟にあたるという。

そして――

俺の名前は、レオニス・ルミナリア。

このルミナリア王国の王太子。

現在は、ルミナリア王立魔法学院の学生らしい。

そこまで聞いたとき、俺の頭の奥に引っかかるものがあった。

ルミナリア王国。

レオニス。

その名前に、聞き覚えがある。

それは前世、拓也だった頃。

梨香子が夢中になっていた乙女ゲーム。

『光の聖女と王子たち』。

そのゲームに出てくる国と、まったく同じ名前だった。

嫌な予感がして、俺はもう一度鏡を見た。

ダークブロンドの長い髪。

琥珀色の瞳。

整いすぎているほど整った顔立ち。

間違いない。

この顔。

乙女ゲーム『光の聖女と王子たち』のメインヒーローである、王太子レオニス、そのものだ。

俺はようやく理解した。

信じられないことだが、

俺は今、乙女ゲーム

『光の聖女と王子たち』の世界に転生してしまったらしい。

……とはいえ。

俺は梨香子がゲームをしているのを横でぼんやり見ていただけだ。

この先、どう展開するのかなんて、まったく覚えていない。

俺がそんなことを考えていると、エマの声がした。

「レオニス殿下、エレノア様がお見えになりました」

エレノア。

その名前にも聞き覚えがあった。

レオニスの婚約者。

そして――

このゲームでは悪役令嬢と呼ばれる女性の名前だった。



ここまで読んでいただきありがとうございます。

よろしければブックマークや評価をいただけると励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ