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残念なイケメン

「……と、いうことで改めて宴会が始まってるってワケさー」

「なるほどな。それで、エリザ様が知ってる情報ってなんだったんだ?」


 相変わらず二羽分の焼き丸鶏を両手に持っているラミル。アンタ、よくそんなに食べられるねー。


「その一。ソフィっぽい皮のことについては何も知らない。おそらくはボク達と対立させるために何者かが投げたって話で……ここからが食事中にする話じゃないんだけどさー」

「おう、オレは構わねぇぜ? 周りの人には聞こえないようにコッソリとな」

「……ナナナが気づいたんだけどさ、ボク達が見た筋肉の魔族とソフィの体つきって似てるんだって。もしかしたら、ボク達がソフィだと思ってたのは──」


 ラミルにコッソリと耳打ちをする。


「その魔族かもしれないってことか」

「そう、それとね。夜更けに──」

「──おう、わかった」

「はわぁ、ベルハちゃん達、何話してるのー?」


 皿の上にたんまりとピザを乗せたナナナが首を傾げていた。


「エリザクリスさんが話してくれたことについて、ラミルに説明してたんだー。この村の形式的な村長が反ベルキアの思想に染まって怪しげな集団の一員になってるとかでー」


 個人の思想についてはとやかく言わないが、村の金品を勝手に使っているなら話は別だねぇ、なんてエリザクリスさんが言ってた。


「……おう、それで、ソイツがいる場所をぶっ潰そうっていう話だよな」


 ラミルがボクの話に合わせる。


「そう、今日の夜が更けてから突入しようって話でー」

「はわっ、遠征の目的地の洞窟と違う拠点があるなんて考えもしなかったよぅ!」

「へへっ、ここまで来た甲斐があるってもんだ!」


 両手をバチンと合わせニッと笑うラミル。なんか気合入ってないー?


「と、いうことでー、食べ過ぎには注意しなよー?」

「へーへー。ところで隊長様は……すげぇ勢いで飯を食ってんな」

「あぁ、睡眠剤が入った料理を、もったいないからって全部食べてるんだよー。あと、騎力回復のためだってー」


 ちなみに、食事で騎力が回復しても明日の夜くらいまでは神法を使えないらしい。

 その代わり、あの光の弾はもう騎力管理を気にせず撃てるようになったと言ってた……はたして、どっちの方が恐ろしいかなぁ。


「はわっ、このピザ美味しいよっ! ベルハちゃんも食べよーっ!」

「今お刺身食べてるからちょっと待ってよー」


 ナナナが笑顔でピザを差し出してくる。ボクと一緒に食べたいのかな。可愛いね。


「ははっ、相変わらず仲の良いこった!」

「うんうん、仲良きことは良いことだ」


 笑いながら七面鳥に齧り付くラミルの背後からひょっこりとデルタベシアお兄さんが顔を出す。


「はわっ!? デルタベシアお兄さん!?」

「この村にも来てたんですねー。相変わらず手広く商売していらっしゃるー」

「ははっ、デルタにはアタシの鎧の手入れで世話になっていてねぇッ!」


 ノシノシと此方へ歩いてくるエリザクリスさん。傷の手当はもう済んだようだ。


「いやぁ、ビックリしたよ。定期メンテをしに訪れたら色々あっただなんてね」

「驚いたのはこっちもだよッ! まさか反ベルキアの連中とも取引していたとはねぇッ!」

「はー……ホントに手広く商売してるんですね、デルタベシアお兄さん」


 この人、城下街にも訪れていたよね。テロリストとも商売してるなんて、驚くというか呆れるというか……。


「はは、金品を出してくれるならみんな大事なお客さんだからね。特にテロリストたちは口止め料に多めに……って、そんなに睨まないでよ、アルマ、ラミル。僕がちゃんと彼らのところへ案内するからさ」

「はたして信用していいものか……」

「ああ、もしかして罠とか仕掛けてるんじゃねぇだろうなぁ。まあ、オレとしては望むところだけどな」

「はは、そんなことしないってばー」


 食事を終えたアルマ隊長がデルタベシアお兄さんを睨みつけながら近づいてくる。


「アタシもついていきたいところだがねぇ。近場に魔物が出たその日に村を開けるのは気がかりなもんで……」


 怪我が理由じゃないのは凄いな、この人。


「いえ、そのお気持ちだけで心強いですよ、エリザクリスさん。アナタはこの村を護っていてください」

「ああ、騎士様にそう言われりゃこっちも気が引き締まるってもんだッ! 貴女らの無事を祈ってるよ……それじゃ、アタシは村を見回って来ようかねぇ。宴もそろそろ終わりだが、最後まで楽しんでおくれッ!」


 ニッと白い歯を見せて宴会場を去っていくエリザクリスさん……カッコいい人だ。


「さ、僕も夜更けに備えてご飯を食べるとしよう。タダ飯、タダ飯!」


 ……こっちはなんて残念なイケメンなんだ。

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