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第八十六話「小さい女子会」

いつのまにか40万字を超えていました。ありがとうございます。このペースならすぐ50万字に行きそうですね。

 

 ついに、その日が来た。

 クロエをエリカとルナに紹介する日だ。

 俺は魔法大学でクロエと待ち合わせをして、瞬間移動でエルフの村に向かうことにした。


「緊張しますね」


 クロエが不安そうに言う。


「エリカさんとルナさんに、受け入れてもらえるでしょうか」

「大丈夫だ」


 俺がクロエの肩に手を置く。


「二人とも、君を待ってる」

「でも」


 クロエがもじもじする。


「ボクなんて、インキャ底辺ゴミ女なのに」

「エリカさんもルナさんも、きっと美人で立派な方たちなんですよね」


 クロエのアホ毛が激しくぴょこぴょこと跳ねている。

 緊張している証拠だ。


「ボクみたいな地味で暗い女、二人の前に立つなんて恥ずかしくて」

「またその話か」


 俺が苦笑いする。


「君は素晴らしい女性だって、何度言えば分かるんだ」


 俺はクロエの顔を思い浮かべる。

 きめ細かい白磁のような肌、繊細な顔立ち、長い睫毛に縁取られた大きな瞳。


 華奢な体つきは、まるで壊れやすい陶器のように儚げで、守りたくなる衝動を掻き立てる。

 特に、あの柔らかな曲線を描く小さな体は、俺の庇護欲を刺激してやまない。


「君は十分可愛いよ、クロエ」


 俺が改めて伝える。


「それじゃあ、行こうか」


 俺がクロエの手を取る。


「瞬間移動するから、しっかり掴まってて」

「はい」


 クロエが俺の手を握り返す。

 その手は震えていた。


 俺は瞬間移動を発動した。

 魔法大学から、エルフの村へ。

 一瞬で景色が変わる。

 懐かしい我が家の前に、俺たちは到着した。


「着いたよ」


 俺がクロエに声をかける。


 クロエは瞬間移動の影響で、少しふらついている。


「大丈夫か?」

「はい、なんとか」


 クロエが答える。


 家の扉を開けると、中から賑やかな声が聞こえてくる。

 エリカの笑い声、ルナの優しい声、そしてミミの可愛らしい声。

 俺の心が、温かくなった。


「ただいま」


 俺が声をかけると、家の中が一瞬静まった。

 そして次の瞬間。


「タクヤ」


 エリカが嬉しそうに駆け寄ってくる。

 お腹が少し膨らんでいるのが分かる。


 安定期に入って、表情も穏やかだ。

 引き締まったプロポーション、凛とした表情、堂々とした立ち振る舞い。

 普通の町娘だったのに変わったものだ。


「おかえりなさい、タクヤさん」


 ルナも優しく迎えてくれる。

 彼女の腕には、リオネルがいた。

 もう一歳近くになって、随分大きくなっている。

 ルナの神秘的な銀髪と透き通るような肌、整った顔立ちは、まさにエルフの美しさそのものだ。


「タクヤにぃー」


 ミミも嬉しそうに駆け寄ってくる。

 みんなの温かい歓迎に、俺は改めて家族の絆を感じた。

 その横で、クロエがぎゅっと俺の袖を掴んでいた。

 彼女の顔は青ざめていた。


「それで」


 エリカがクロエに気づく。


「この方が、例のクロエちゃんね」

「は、はじめまして」


 クロエが緊張して頭を下げる。


「ク、クロエ・グレイストーンと申します」


 その声は震えていた。

 クロエの心の声が、俺には聞こえてくるようだった。


(なんて美人なんだろう……エリカさんもルナさんも、こんなに綺麗で)

(ボクなんて、こんな地味で暗くて、どう見てもインキャな陰気女なのに)

(タクヤくん、本当にボクでよかったんですか……?)


「私、エリカ・ローゼン」


 エリカが自己紹介する。


「タクヤの第二夫人だけど、実質的には正妻よ」

「エリカさん」


 ルナが苦笑いする。


「それは少し言い過ぎでは」

「だって、私の方がタクヤと長く一緒にいるもの」


 エリカがちょっと意地悪そうに言う。


「ルナちゃんとは、結婚の順序が違うだけ」

「確かに、私の方が後から家族になりましたが」


 ルナが珍しく反論する。


「でも、私とタクヤさんの間には、リオネルがいます」

「それに、年上でもあります」

「年上って言っても、見た目は10歳じゃない」


 エリカがぷんぷんする。


「それに、私だってもうすぐタクヤとの子供が生まれるのよ」


 二人の軽い口喧嘩を見て、クロエの肩がさらに小さく縮こまっていた。

 俺にはクロエの考えが分かる気がした。


(ボク、この人たちの仲間に入れるのかな)

(二人とも堂々としていて、美人で、タクヤくんとの子供まで……)

(ボクなんて、何もない。魅力もない。ただの地味なインキャ女)


「あの」


 クロエが小さな声で言う。


「ボクも、早く馴染みたいです」

「お二人のように、タクヤくんとの絆を深めたくて」


 クロエの素直な言葉に、エリカとルナも我に返る。


「ごめんなさい、クロエちゃん」


 エリカが謝る。


「変な争いを見せちゃって」

「いえいえ」


 ルナも反省する。


「私たちも、少し大人げなかったですね」


 俺は、クロエの手をそっと握った。

 安心させるために。

 クロエが俺を見上げる。

 その瞳には、不安と期待が入り交じっていた。


 俺は、この光景を微笑ましく見ていた。

 エリカとルナが軽く競い合うのは、いつものことだ。

 でも、根本的には仲が良い。

 そして、クロエもすんなりと輪に入れそうだった。


「それより」


 俺が話題を変える。


「みんな、元気だったか?」

「グロムたちはどうしてる?」

「グロムは、工房で新しい作品を作ってるわ」


 エリカが答える。


「ミア先生も手伝ってくれてるの」

「ガルドは?」


 俺が聞く。


「最近、部屋にこもって陶芸の練習をしてるのよ」


 エリカが説明する。


「タクヤに影響されて、自分も何か作りたいって」

「でも、不器用だから、なかなか上達しないの」


 俺は、ガルドの努力を嬉しく思った。

 彼も、自分なりに何かを表現しようとしているのだろう。


「後で、みんなに挨拶に行こう」


 俺が言う。

 その時、リオネルが俺を見つけて、手を伸ばしてきた。


「あー、あー」


 リオネルが喃語を発する。

 俺を覚えていてくれるのか。


「リオ、大きくなったな」


 俺がリオネルを抱き上げる。

 息子の温かさを感じて、父親としての実感が湧いてくる。

 その小さな体を抱きしめると、不思議な充足感が胸を満たす。

 この愛おしいサイズ感、守るべき存在としての重み。


「最近、ハイハイを始めたんです」


 ルナが嬉しそうに報告する。


「とても活発で、目が離せません」

「母親らしくなったな、ルナ」


 俺がルナに微笑みかける。


「以前より、表情が柔らかくなった」

「そうでしょうか」


 ルナが照れる。


「リオネルがいてくれるおかげです」


 クロエが、ルナとリオネルの様子を見つめている。

 その目には、憧れと、そして深い劣等感が込められていた。


(ルナさんには、もうタクヤくんとの子供がいる)

(エリカさんも妊娠してる)

(ボクだけ、何もない)

(ボクだけが、タクヤくんの役に立ててない)

(こんな魅力のない体で、本当にタクヤくんの子供を授かれるのかな)


「ボクも、早くタクヤさんとの子供が欲しいです」


 クロエが小さな声で呟く。

 その声には、切実な願いが込められていた。

 俺は、クロエの気持ちを理解した。


 エリカも妊娠しているし、ルナには既に子供がいる。

 クロエだけが、まだ俺との子供がいない。

 きっと、焦りや不安もあるだろう。


「クロエ」


 俺がクロエの手を取る。


「焦らなくていい」

「俺たちには、時間がある」


 そして、俺はクロエを優しく抱き寄せた。

 その華奢で小さな体を包み込むように。

 クロエの柔らかな体温、繊細な骨格、そのすべてが愛おしい。


 この小さな体に、俺の子供が宿る日を想像すると、胸が熱くなる。


「はい」


 クロエが頷く。

 でも、その表情には、まだ不安が残っていた。

 俺の腕の中で、クロエは小さく震えていた。


(タクヤくんは優しい)

(でも、本当はボクみたいな地味な女より、エリカさんやルナさんの方がいいんじゃないかな)

(ボクの体、こんなに小さくて、魅力ないのに……)


 俺には、クロエのそんな思いが伝わってくるようだった。

 だから、もう一度、しっかりと抱きしめた。

 この小さな体こそが、俺にとってかけがえのないものなのだと伝えるように。




 ◇ ◇ ◇




 昼食を一緒に食べた後、俺は工房にいるグロムとミア先生に挨拶に行った。

 クロエも一緒だ。


「タクヤ、久しぶりだな」


 グロムが嬉しそうに迎えてくれる。


「元気にしてたか?」

「ええ、おかげさまで」


 俺が答える。


「グロムこそ、調子はどうだ?」

「最高だ」


 グロムが胸を張る。


「新しい武器の制作に没頭してる」

「今度、見せてくれよ」


 俺が興味を示す。


「楽しみにしてる」

「タクヤ、お疲れさまニャ」


 ミア先生も声をかけてくれる。


「魔法大学での勉強、順調ニャか?」

「はい、なんとか」


 俺が答える。


「それで、この方が?」


 グロムがクロエに気づく。


「はじめまして」


 クロエが丁寧に挨拶する。


「クロエ・グレイストーンです」

「タクヤくんの第三夫人になります」

「ああ、噂の」


 グロムが理解する。


「よろしく頼む」

「こちらこそ」


 クロエが頭を下げる。

 グロムとミア先生も、クロエを温かく迎えてくれた。

 俺は、家族が一人増えたことを実感した。




 ◇ ◇ ◇




 夕方、俺はガルドの部屋を訪ねた。

 扉をノックすると、中から彼の声が聞こえる。


「誰だ?」

「俺だ、拓也」

「ああ、タクヤか」


 ガルドが扉を開ける。


「久しぶりだな」


 部屋の中を見ると、粘土や陶器の欠片が散乱している。

 ガルドが陶芸に挑戦している証拠だった。


「頑張ってるな」


 俺が感心する。


「どうだ、上達してるか?」

「全然ダメだ」


 ガルドが苦笑いする。


「不器用すぎて、まともな形にならない」

「でも、楽しいんだろ?」

「ああ」


 ガルドが頷く。


「何かを作るって、こんなに難しくて、面白いものなんだな」

「タクヤの気持ちが、少し分かった気がする」


 俺は、ガルドの成長を嬉しく思った。

 彼も、自分なりの表現を見つけようとしている。


「今度、一緒に作品を作ってみよう」


 俺が提案する。


「俺が手伝うから」

「本当か?」


 ガルドが喜ぶ。


「ありがたい」




 ◇ ◇ ◇




―エリカ視点―


 タクヤがガルドさんのところに行った後、私たち三人は居間で女子会を開くことになった。

 ルナちゃん、クロエちゃん、そして私。

 タクヤの三人の妻による、初めての女子会。


「それじゃあ、改めてよろしくね、クロエちゃん」


 私がクロエちゃんに声をかける。

 彼女は相変わらず緊張していて、もじもじしている。


 でも、よく見ると、とても可愛らしい顔立ちをしている。

 きめ細かい肌、大きな瞳、長い睫毛。

 華奢で小柄な体型も、守ってあげたくなるような雰囲気がある。


 これは……タクヤが惹かれるのも分かる気がする。


「こちらこそ、よろしくお願いします」


 クロエちゃんが頭を下げる。


「ボクなんて、お二人と比べて何もできなくて」

「お二人は、本当に美人で、立派で……」


 クロエちゃんの声が震える。


「ボクみたいな地味なインキャ女、お二人の前に立つのも恥ずかしいです」

「またその話?」


 私が苦笑いする。


「タクヤから聞いてるけど、クロエちゃんは造形魔法の天才なんでしょ?」

「そんなことありません」


 クロエちゃんが首を激しく振る。


「ボクは本当にダメな人間で、暗くて、地味で」

「エリカさんみたいに堂々としてないし、ルナさんみたいに神秘的な美しさもないし」

「体だって、こんなに小さくて、魅力なんてなくて」


 クロエちゃんが自分の体を見下ろす。

 その表情には、深い劣等感が滲んでいた。


「クロエさん」


 ルナちゃんが優しく声をかける。


「もっと自信を持ってください」

「タクヤさんが愛した女性ですから、きっと素晴らしい方のはずです」

「それに、クロエさんはとても可愛らしいですよ」


 ルナちゃんの言葉に、クロエちゃんが顔を上げる。


「本当ですか?」

「本当よ」


 私も同意する。


「クロエちゃん、自分で思ってるより、ずっと魅力的よ」

「その華奢な体つきも、繊細な雰囲気も、とても素敵です」


 ルナちゃんの言葉に、クロエちゃんの表情が少し明るくなる。

 私は、ルナちゃんの優しさに改めて感心した。

 私だったら、もっと直接的に言ってしまうところだ。


「でも」


 クロエちゃんがまだ不安そうに言う。


「ボク、エリカさんのように子供を授かることもできてないし」

「ルナさんには、もうリオネル君がいるのに」

「ボクだけ、何もない」

「タクヤくんの役に立ててない」


 クロエちゃんの目に、涙が浮かんでいた。


「クロエちゃん」


 私がクロエちゃんの手を取る。


「そんなこと気にしなくていいのよ」

「子供は、授かりものなんだから」

「それに、タクヤは私たち全員を愛してくれてる」

「そうです」


 ルナちゃんも同意する。


「タクヤさんは、決して私たちを比べたりしません」

「一人一人を、大切に思ってくださっています」


 私たちの言葉に、クロエちゃんが少しずつ落ち着いてくる。


「それにしても」


 私が話題を変える。


「タクヤの好みって、結構一貫してるのね」

「どういう意味ですか?」


 クロエちゃんが首を傾げる。


「私たち三人、みんなちっちゃいでしょ?」


 私が説明する。


 確かに、私は19歳で平均的な体型だが、それでも小柄な方だ。

 ルナちゃんは見た目10歳のエルフ。

 クロエちゃんも、華奢で小さな体型。


「タクヤって、小さい子が好みなのかしら」


 私の指摘に、ルナちゃんがくすっと笑う。


「確かに、そうかもしれませんね」

「タクヤさん、小さなものを守りたくなる性格ですから」

「リオネルを抱っこしている時の顔、とても幸せそうです」

「そうそう」


 私も同意する。


「タクヤって、小さくて華奢なものを見ると、目が優しくなるのよね」

「まるで、大切な宝物を扱うみたいに」


 クロエちゃんが、自分の体を見つめる。


「じゃあ、ボクのこの小さな体も……」

「もちろんよ」


 私が微笑む。


「タクヤは、クロエちゃんのその華奢で可愛らしい体が好きなのよ」

「きっと、守ってあげたいって思ってるはず」

「そうです」


 ルナちゃんが頷く。


「タクヤさんは、私たちの小さな体を愛おしく思ってくださっています」

「抱きしめられる時、その温もりから伝わってきます」


 クロエちゃんの頬が、ほんのり赤くなる。


「タクヤくん、ボクを抱きしめてくれた時……」


「とても優しくて、大切にしてくれてるって感じました」

「でも、本当にボクの体でいいのかって、不安で」

「大丈夫よ」


 私がクロエちゃんを安心させる。


「タクヤは、クロエちゃんのそのままの体を愛してる」

「その小さくて柔らかな感じが、きっとタクヤの心を掴んだのよ」

「私たち、みんなそうなんだから」

「ルナちゃんも私も、小柄だもの」


 ルナちゃんが優しく微笑む。


「タクヤさんは、私たちの体のサイズを愛してくださっています」

「抱きしめやすい、守りやすい、大切にしやすい」

「そういう理由で選んだわけではないでしょうが、結果的にそうなったのは偶然ではないと思います」


 クロエちゃんが、少しずつ笑顔になっていく。


「そうなんですね」

「ボクの体、タクヤくんにとって魅力的なんですね」

「こんな地味で小さい体でも」

「地味じゃないわよ」


 私が強調する。


「クロエちゃん、自分で思ってるより、ずっと魅力的」

「その繊細な雰囲気も、控えめな性格も、全部含めて可愛いの」

「タクヤは、そういうあなたを選んだのよ」


 私たちは、お茶を飲みながら話を続けた。

 最初は緊張していたクロエちゃんも、だんだん打ち解けてくる。


「それで、クロエちゃん」


 私が興味深そうに聞く。


「タクヤとは、もう関係を持ったの?」

「えっ」


 クロエちゃんが真っ赤になる。


「そ、それは」

「エリカさん、いきなりそんなことを」


 ルナちゃんが苦笑いする。


「でも、気になるでしょ?」


 私が開き直る。


「私たち、これから家族になるんだから」

「お互いのことを知っておいた方がいいわよ」


「それは、そうですが」


 ルナちゃんが困った表情をする。


「はい、その…」


 クロエちゃんが小さな声で答える。


「一度だけ」

「そうなのね」


 私がにんまりする。


「どうだった?」

「エリカさん」


 ルナちゃんが注意する。


「あまり詳しく聞くのは」

「気持ちよかったです」


 クロエちゃんが正直に答える。


「タクヤくん、とても優しくて」

「私の体を、まるで宝物みたいに扱ってくれて」

「こんな小さくて魅力のない体なのに、愛おしそうに触れてくれて」


 クロエちゃんの声が震える。


「本当に、幸せでした」

「でも、同時に不安で」

「こんなボクの体で、本当にタクヤくんを満足させられるのかって」


 クロエちゃんの素直な回答に、私は少し嫉妬した。

 私だって、タクヤとの夜は大切な時間だ。


 でも、クロエちゃんを悪く思うわけではない。

 同じ男性を愛する女性として、理解できる部分もある。


「私も、最初は緊張したわ」


 私が自分の体験を話す。


「でも、タクヤは本当に優しいのよね」

「私たちのことを、ちゃんと考えてくれて」

「特に、私たちの小さな体を、丁寧に扱ってくれる」

「そうですね」


 ルナちゃんが頷く。


「タクヤさんは、いつも相手のことを第一に考えてくださいます」

「私の体も、とても大切に扱ってくださって」

「小さな体だからこそ、慎重に、優しく」


 ルナちゃんが微笑む。


「クロエさんの体も、きっと同じように大切にされているはずです」

「タクヤさんにとって、私たちの小さな体は、守るべき宝物なのです」


 クロエちゃんの目に、また涙が浮かんでいた。

 でも、今度は嬉し涙だった。


「ありがとうございます」


 クロエちゃんが言う。


「お二人と話せて、少し自信が持てました」

「私の体も、タクヤくんにとって大切なものなんですね」


「当たり前よ」


 私が笑う。


「タクヤは、私たち全員を愛してる」

「そして、私たちの小さな体を、とても愛おしく思ってる」


 私たち三人は、タクヤへの愛情について語り合った。

 それぞれ違う形の愛情だが、根本的には同じだった。

 タクヤを愛し、彼に愛されたいという気持ち。


 そして、私たち全員が小柄で華奢な体型を持っているという共通点。

 それが、タクヤの心を掴んだのかもしれない。


「ねえ、クロエちゃん」


 私が提案する。


「今度、三人でタクヤにサプライズをしない?」

「サプライズ?」


 クロエちゃんが興味を示す。


「どんなことですか?」

「まだ決めてないけど」


 私が考える。


「三人で協力して、タクヤを喜ばせるの」

「いいアイデアですね」


 ルナちゃんが賛成する。


「タクヤさんに、私たちの結束を見せましょう」

「はい」


 クロエちゃんも嬉しそうに頷く。


「ボクも、お二人と協力したいです」


 私たちは、具体的な計画を練り始めた。

 タクヤの好きなもの、喜びそうなこと。

 三人で力を合わせれば、きっと素晴らしいサプライズができる。


「楽しみね」


 私が言う。


「私たち三人の絆も、深まりそう」

「そうですね」


 ルナちゃんが微笑む。

 クロエちゃんも、嬉しそうな表情をしている。

 さっきまでの不安げな様子は、だいぶ和らいでいた。


「あの」


 クロエちゃんが恥ずかしそうに言う。


「お二人とお話しできて、本当に良かったです」

「ボク、ずっと不安だったんです」

「エリカさんもルナさんも、きっと完璧な美人で、立派な方たちで」

「ボクみたいなインキャ女が、受け入れてもらえるのかって」


 クロエちゃんが自分の膝に手を置く。


「この小さくて頼りない体も、タクヤくんの他の奥様たちと比べて劣ってるんじゃないかって」

「ずっと怖かったんです」

「クロエちゃん」


 私がクロエちゃんの肩を抱く。


「そんな風に思わないで」

「私たちは家族なんだから」

「そうです」


 ルナちゃんも優しく微笑む。


「クロエさんは、とても素敵な方です」

「その控えめな性格も、繊細な心も、華奢な体も、全てがクロエさんの魅力です」

「タクヤさんは、そんなクロエさんを愛しているのです」


 クロエちゃんの目から、涙が一粒こぼれた。


「ありがとうございます」


 彼女が小さく言う。


「ボク、頑張ります」

「お二人のような立派な奥様になれるように」

「タクヤくんに、もっと愛してもらえるように」


 私は、クロエちゃんを抱きしめた。

 その小さな体は、本当に華奢で、守ってあげたくなる。

 タクヤがこの子に惹かれた理由が、よく分かった。


 ルナちゃんも、クロエちゃんに手を伸ばす。

 三人で、静かに抱き合った。


「私たち、これから仲良くやっていきましょうね」


 私が言う。


「タクヤのために、そして私たち自身のために」

「はい」


 クロエちゃんとルナちゃんが同時に答える。

 私は、この女子会が開けて良かったと思った。

 最初はクロエちゃんのことを少し警戒していた。


 第三夫人として、私たちの関係に変化をもたらすかもしれない。

 でも、実際に話してみると、彼女はとても純粋で優しい人だった。

 そして、深い劣等感を抱えている、繊細な女性だった。


 私たちの家族に、新しい温かさをもたらしてくれそうだ。


「それにしても」


 私が改めてクロエちゃんを見る。


「クロエちゃんも、早く子供が欲しいでしょうね」

「はい」


 クロエちゃんが素直に答える。


「お二人を見ていると、羨ましくて」

「特に、ルナさんがリオネル君を抱いている姿を見ると」

「ボクも、タクヤくんとの子供を授かりたいって、強く思います」


 クロエちゃんが自分のお腹に手を当てる。


「でも、この小さな体で、ちゃんと子供を産めるのか不安で」

「ボク、背も低いし、体も華奢だし」

「もしかしたら、子供を授かれないんじゃないかって」

「大丈夫よ」


 私がクロエちゃんを励ます。


「私だって小柄だけど、ちゃんと妊娠できたもの」

「体の大きさと、子供を授かることは関係ないわ」

「それに」


 ルナちゃんが付け加える。


「タクヤさんは、クロエさんの体を愛しています」


「その小さな体に、いつか命が宿る日を、きっと楽しみにしているはずです」

「時間はたっぷりあるもの」


 私が続ける。


「それに、タクヤは私たち全員を平等に愛してくれる」

「きっと、クロエちゃんにも素敵な未来が待ってるわ」

「ありがとうございます」


 クロエちゃんが感謝する。

 彼女の表情は、さっきよりずっと明るくなっていた。


 私は、この新しい家族の一員を心から歓迎した。

 クロエちゃんは、自分で思っているよりずっと魅力的な女性だ。


 その繊細な美しさ、華奢な体つき、控えめな性格。

 全てが、タクヤの心を掴んだのだろう。


 そして、私たち三人には共通点がある。

 みんな小柄で、華奢で、守ってあげたくなる雰囲気を持っている。

 タクヤは、きっとそういう女性が好きなのだ。

 小さくて愛らしい存在を、大切に守りたいという想い。


 それが、タクヤの本質なのかもしれない。


「これから、私たちはどんな家族になっていくのかしら」


 私が呟く。


「きっと、もっと賑やかで、温かい家族になるわ」

「そうですね」


 ルナちゃんが頷く。


「四人で、いえ、子供たちも含めて、大きな家族になっていくのでしょう」

「楽しみです」


 クロエちゃんが小さく微笑む。


「ボクも、その一員になれて嬉しいです」

「たとえ、こんな地味で小さな体でも」

「タクヤくんが愛してくれるなら、それだけで幸せです」

「クロエちゃん、もう自分を卑下するのはやめて」


 私が優しく注意する。


「あなたは素敵な女性よ」

「タクヤが選んだ人なんだから、自信を持って」

「はい」


 クロエちゃんが頷く。

 その表情には、少しずつ自信が芽生えているようだった。


 私は、そんな未来を楽しみに思いながら、女子会を続けた。

 紅茶を飲みながら、他愛もない話をして、笑い合う。


 タクヤの三人の妻。


 それぞれ違う個性を持ちながら、一つの家族として結ばれている。

 そして、私たち全員が、タクヤの好みに合った小さな体を持っている。

 それは偶然ではないのだろう。


 タクヤの心の奥底にある、小さくて愛らしいものを守りたいという想い。


 それが、私たちを選ばせたのだ。


 私は、改めてタクヤへの愛情を感じた。

 そして、新しい妹たちへの親愛の情も。

 これから、私たちはもっと強い絆で結ばれていくだろう。

 タクヤを中心に、温かく、賑やかな家族として。


 外が暗くなり始めた頃、タクヤが戻ってきた。


「ただいま」


 タクヤの声が聞こえる。


「おかえりなさい」


 私たち三人が同時に答える。

 タクヤが驚いた顔で、私たちを見る。


「なんだか、仲良くなってるみたいだな」

「当たり前よ」


 私が笑う。


「私たち、これから家族なんだから」

「そうです」


 ルナちゃんが頷く。


「クロエさんとも、すっかり打ち解けました」

「はい」


 クロエちゃんが恥ずかしそうに言う。


「エリカさんとルナさんは、とても優しくて」

「ボク、受け入れてもらえて嬉しいです」


 タクヤが安心した表情を浮かべる。


「良かった」


 そして、タクヤが私たち三人を順番に抱きしめる。

 まず私、次にルナちゃん、そしてクロエちゃん。

 クロエちゃんを抱きしめる時、タクヤの表情がとても優しくなった。

 その小さな体を、大切な宝物のように扱っている。


 私は確信した。

 タクヤは、本当に小さくて華奢なものが好きなのだと。

 そして、それは決して悪いことではない。


 むしろ、タクヤの優しさの表れなのだ。

 守りたい、大切にしたい、愛したい。

 そんな想いが、タクヤの心にあるのだろう。


 私たちは、そんなタクヤに愛されている。

 それが、何よりも幸せなことだった。


「今夜は、みんなで一緒に夕食を食べよう」


 タクヤが提案する。


「もちろん」


 私が答える。


「私たち、新しい家族の第一歩よね」

「はい」


 クロエちゃんが嬉しそうに微笑む。


 その笑顔は、さっきまでの不安げな様子とは全く違っていた。

 私は、この女子会が成功したことを実感した。


 これから、私たちはもっと強い絆で結ばれていく。

 タクヤの愛する三人の妻として。

 そして、互いを尊重し合う姉妹として。


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