第四十二話「妻たちの決意と初体験」
直接的な表現は抑えたつもりです。
果たして、これを読んだ雪菜はどんな反応をするのでしょうか?
―ルナの視点―
私とエリカさんがタクヤさんの部屋で例の本を破り捨てた後、私たちは宿の屋上に上がって話し合うことにしました。
夜風が涼しく、王都の街明かりが美しく見えます。
「まったく、タクヤったら」
エリカさんが深いため息をつきます。
「あんな本なんて隠れて読んで」
「でも、エリカさん」
私が静かに言います。
「少し、私たちにも責任があるのではないでしょうか」
「責任?」
エリカさんが振り返ります。
「どういうこと?」
「結婚してから、もう四ヶ月経つのに」
私は頬を赤らめながら続けます。
「私たち、まだ本当の夫婦になっていません」
「それは…」
エリカさんも頬を染めます。
「恥ずかしいから…」
「私もです」
私も同じ気持ちでした。
「でも、タクヤさんは男性です」
「そうね…」
エリカさんが考え込みます。
「きっと、色々と溜まってるのかもしれないわね」
「だからあんな本を」
「そう考えると、私たちが情けないわね」
エリカさんが自分を責めるように言います。
「妻なのに、夫を満足させてあげられないなんて」
「エリカさん…」
私もエリカさんの気持ちがよくわかります。
結婚式を挙げて、一緒に住んでいるのに、まだ手を繋ぐくらいしかしていません。
キスすら、頬に軽く触れる程度です。
「このままじゃダメよね」
エリカさんが決意を込めて言います。
「私たち、もっと積極的にならないと」
「そうですね」
私も同意します。
「タクヤさんは優しいから、私たちに無理強いはしません」
「だから、私たちから動かないと」
エリカさんが私の手を握ります。
「ルナちゃん、今夜こそは」
「はい」
私も握り返します。
「頑張りましょう」
でも、一つ気になることがありました。
「エリカさん、順番のことですが」
「順番?」
「その…初めての時の順番です」
私が恥ずかしそうに言うと、エリカさんが理解します。
「ああ、それね」
エリカさんが考え込みます。
「前に喧嘩したことがあったわね」
「はい」
「でも、今は冷静に考えられるわ」
エリカさんが私を見つめます。
「ルナちゃんが先でいいよ」
「え?」
私が驚きます。
「でも、エリカさんの方が先にタクヤさんと出会ったのに」
「それは関係ないわ」
エリカさんが微笑みます。
「結婚式が先だったのはルナちゃんだもの」
「エリカさん…」
「それに」
エリカさんが少し照れながら続けます。
「正妻って、ルナちゃんでしょう?」
「そんな…私たちは対等です」
「形式的にはね」
エリカさんが首を振ります。
「でも、最初に結婚したのはルナちゃん」
「エリカさんさん、ありがとうございます」
私は感激しました。
エリカさんさんは本当に優しい人です。
「でも、条件があるの」
エリカさんが少しいたずらっぽく言います。
「条件?」
「一緒にいさせて」
「一緒に?」
「そう。見てるだけじゃなくて、一緒に」
エリカさんの意味がわかって、私の顔が真っ赤になります。
「そ、それは…」
「ダメかしら?」
「ダメじゃないですけど…恥ずかしいです」
「私も恥ずかしいわ」
エリカさんも赤くなっています。
「でも、三人は家族なんだから」
「そうですね」
私も覚悟を決めます。
「わかりました」
私たちは部屋に戻る前に、作戦を立てました。
「まず、ミミちゃんを寝かしつけましょう」
エリカさんが提案します。
「はい」
「それから、お風呂に入って身を清めて」
「恥ずかしいですね」
「頑張りましょう」
私たちは意を決して、部屋に戻りました。
◇◇◇
夜も更けて、ミミは私たちの部屋で眠っています。
タクヤさんは読書をしていましたが、私たちの様子に気づいて本を閉じました。
「どうしたんだ、二人とも」
タクヤさんが心配そうに尋ねます。
「なんだか、いつもと雰囲気が違うけど」
私とエリカさんは顔を見合わせます。
「タクヤさん」
私が勇気を出して言います。
「今夜は…」
「今夜は?」
「私たちと一緒に」
私の言葉に、タクヤさんの顔が赤くなります。
「え…えっと…」
「もう結婚して四ヶ月よ」
エリカさんが続けます。
「いつまでも子供じゃいられないでしょう?」
「でも…」
タクヤさんが困惑しています。
「急すぎない?」
「急じゃありません」
私がはっきりと言います。
「むしろ遅すぎたくらいです」
タクヤさんが私たちを見比べます。
「本当にいいのか?」
「もちろんよ」
エリカさんが答えます。
「私たち、覚悟を決めたの」
「そうです」
私も頷きます。
タクヤさんがゆっくりと立ち上がります。
「わかった」
タクヤさんが私たちに向かって歩いてきます。
「でも、無理はしないでくれ」
「はい」
私たちは同時に答えました。
ランプの明かりが部屋を優しく照らしています。
外では夜の静寂が広がっていました。
◇◇◇
時間がゆっくりと過ぎていきます。
最初は恥ずかしさでいっぱいでしたが、タクヤさんの優しさに包まれて、だんだんと心が落ち着いてきました。
「大丈夫か、ルナ?」
タクヤさんが私の頬に手を当てて尋ねます。
「はい…」
私は小さく頷きます。
エリカさんも近くにいてくれるので、心強いです。
「痛くない?」
エリカさんが心配そうに聞いてくれます。
「大丈夫です」
私は微笑みます。
本当に、この二人がいてくれて良かったと思います。
タクヤさんは本当に優しい人です。
私のペースに合わせて、決して急かそうとしません。
「愛してる、ルナ」
タクヤさんが私の額にキスをしてくれます。
「私も愛しています、タクヤさん」
私は心から答えます。
そして時が流れ、いつの間にか私たちは一つになっていました。
最初は少し痛みもありましたが、タクヤさんとエリカさんが支えてくれたので、乗り越えることができました。
「ありがとう」
私はタクヤさんに感謝を伝えます。
「こちらこそ」
タクヤさんが私を抱きしめてくれます。
その後、エリカさんの番になりました。
私も側にいて、エリカさんを支えてあげます。
「大丈夫です、エリカさん」
私がエリカさんの手を握ります。
「ルナちゃん…」
エリカさんが涙ぐんでいます。
「怖いの」
「私もでした」
私がエリカさんを慰めます。
「でも、タクヤさんがいてくれるから大丈夫です」
タクヤさんもエリカさんを優しく包んでくれます。
「急がないから」
タクヤさんがエリカさんに約束します。
「君のペースで」
エリカさんも私と同じように、タクヤさんの愛に包まれて、新しい段階に進むことができました。
◇◇◇
すべてが終わった後、私たちは三人でベッドに横になっていました。
真ん中にタクヤさん、両側に私とエリカさん。
「幸せ…」
私が呟くと、エリカさんも頷きます。
「本当に幸せ」
タクヤさんが私たちを両腕で抱いてくれています。
「俺も幸せだ」
タクヤさんが優しく言います。
「二人とも、ありがとう」
私たちは満足そうにタクヤさんに抱きつきます。
「今夜で、本当の家族になれましたね」
私が言うと、エリカさんも同意します。
「そうね。もう恥ずかしがる必要はないわ」
「これからはもっと積極的になるわ」
エリカさんが宣言します。
「私も」
私も決意を新たにします。
「もうタクヤさんにあんな本を読ませません」
「そうよ」
エリカさんが笑います。
「私たちがいるんだから」
タクヤさんが苦笑いします。
「あの本のことは忘れてくれ」
「忘れません」
私がきっぱりと言います。
「でも、もう必要ないでしょう?」
「そうだな」
タクヤさんが認めます。
「君たちがいれば十分だ」
私たちは幸せな気持ちでタクヤさんにもたれかかります。
今夜は特別な夜でした。
私たちが本当の夫婦になった夜。
少し大人になった夜。
そして、三人の絆がさらに深くなった夜。
「おやすみなさい、タクヤさん」
「おやすみ、タクヤ」
私たちがタクヤさんに挨拶すると、彼も答えてくれます。
「おやすみ、二人とも」
私たちは幸せな気持ちで眠りにつきました。
隣で聞こえるタクヤさんの寝息が、とても安らかで心地よく感じられます。
エリカさんの温かさも、家族としての絆を感じさせてくれます。
明日からは、もっと堂々と夫婦らしく過ごせるでしょう。
恥ずかしがることなく、愛情を表現できるでしょう。
そして、タクヤさんにもう二度とあんな本を読ませることはないでしょう。
なぜなら、私たちがいるのですから。
私たちの愛があるのですから。
そんなことを考えながら、私は深い眠りに落ちていきました。
今夜は、忘れられない特別な夜になりました。
私たち三人にとって、新しい始まりの夜となったのです。
◇◇◇
翌朝、私は今までで一番幸せな気分で目を覚ましました。
隣にはタクヤさんとエリカさんが眠っています。
昨夜のことを思い出して、頬が熱くなります。
でも、後悔はありません。
むしろ、もっと早くこうなっていればよかったと思うくらいです。
「おはよう」
タクヤさんが目を覚まして、私に挨拶してくれます。
「おはようございます」
私も微笑んで答えます。
「昨夜は…ありがとうございました」
「こちらこそ」
タクヤさんが私の頭を撫でてくれます。
エリカさんも目を覚ましました。
「おはよう、二人とも」
「おはよう、エリカさん」
私たちは三人で朝の挨拶を交わします。
なんだか、昨日までとは違う雰囲気です。
より親密で、より家族らしい感じがします。
「朝食の準備をしましょう」
私が提案すると、エリカさんも立ち上がります。
「そうね」
私たちは服を着て、部屋を整えます。
ミミはまだ眠っているようです。
「今日から、もっと仲良く過ごしましょうね」
エリカさんが私に言います。
「はい」
私も同意します。
昨夜で、私たちの関係は新しい段階に入りました。
もう恥ずかしがる必要はありません。
もっと自然に、愛情を表現していけるでしょう。
そして、タクヤさんにも、私たちがどれだけ愛しているかを示していけるでしょう。
新しい一日が始まります。
本当の夫婦として、本当の家族としての一日が。




