第十話「仲間を探してたら、ドラゴン倒す羽目に…」
記念すべきプロローグをのぞけば10話目ですね。
どこまで行くかわからないですがこれからもよろしくお願いします!
よければ評価もお願いします!
クレアタウンのギルドで遺跡調査の報告を済ませた俺たちは、宿で今後の方針について話し合っていた。
「あの石…やっぱり俺たちをこの世界に連れてきた石だったんだ」
俺は確信を込めて言った。
「でも、触れても反応しなかったし、持ち出すこともできなかった」
「何か条件があるのかもしれませんね」
カインが考え込む。
「カインさんの話では、石の近くにいると疲労や空腹を感じないということでしたが…」
「はい。とても不思議な体験でした」
「俺の瞬間移動能力も、きっとあの石が源になっている」
俺は自分の考えを整理する。
「そして、雪菜…じゃなかった、俺を追いかけている人の強化も、同じ石の影響だと思う」
「追いかけている人?」
カインが首を傾げる。
「複雑な事情があるんです」
エリカが代わりに答える。
俺は決心を固めた。
「俺には二つの最終目標がある」
「最終目標?」
「一つは、俺を追いかけている危険人物の無力化」
雪菜を倒す、とは言えなかった。まだ彼女を殺すつもりはない。
「もう一つは、この世界からの帰還だ」
「帰還…元の世界に戻るということですか?」
カインが驚く。
「ああ。でも、今の俺たちの力では両方とも不可能だ」
「それで?」
エリカが身を乗り出す。
「もっと優秀な仲間が欲しい。カインも一緒に来てくれるなら心強いが…」
「もちろんです! 僕もお役に立てるよう頑張ります」
カインが力強く答える。
「ありがとう。それで、王都のギルドに行って、腕利きの冒険者を探そうと思う」
「王都のギルド…確かに有名な冒険者が集まってますね」
エリカも同意する。
「どんな人を仲間にしたいの?」
「そうだね…戦闘力の高い人がいいかな。魔法使いでも戦士でも…」
「女の子はダメよ」
突然、エリカがきっぱりと言った。
「え?」
「女性の冒険者は絶対にダメ」
エリカの目が真剣だった。
「どうして?」
「だって…その…」
エリカの頬が赤くなる。
「女の子だと、タクヤが変な気を起こすかもしれないじゃない」
「変な気って…」
「とにかくダメ! 男性限定で探しなさい」
エリカが断固とした口調で言う。
これは…嫉妬だろうか?
「わ、わかった。男性で探すよ」
「約束よ?」
「約束する」
エリカがようやく安心した表情を見せる。
カインが苦笑いを浮かべながら見ている。
「エリカさん、わかりやすいですね」
「な、何がよ!」
エリカが慌てる。
◇◇◇
翌日、俺たちは王都に向かった。
瞬間移動で一瞬のうちに到着する。
王都のギルドは、地方のギルドとは規模が全然違った。
大きな建物に、数多くの冒険者が出入りしている。
「すごい活気ね」
エリカが感嘆する。
俺たちは受付に向かった。
「いらっしゃいませ。あら、タクヤ様ではありませんか」
受付嬢が俺を見て驚く。
「お久しぶりです」
「魔王軍幹部二体討伐の英雄がいらっしゃるなんて、光栄です」
また英雄扱いされる。
「今日は仲間を探しに来ました」
「仲間探しですか。それでしたら、こちらの掲示板をご覧ください」
受付嬢が大きな掲示板を指差す。
「パーティー募集の張り紙がたくさん貼ってありますよ」
掲示板には、様々な募集が貼られていた。
『Aランク冒険者募集』
『魔法使い求む』
『回復役歓迎』
その中で、俺の目を引く張り紙があった。
『伝説の鍛冶師ドワーフ、グロム・アイアンハンマー
新たなパーティーを募集中
条件:真の勇者であること』
「グロム・アイアンハンマー…」
俺が呟くと、近くにいた冒険者が振り返った。
「おお、グロムの話か? あの親父は有名だぞ」
「有名?」
「ああ。元Sランク冒険者で、今は王都で武器屋をやってる。作る武器は全部が名品だ」
Sランク冒険者…最高ランクの冒険者だった人か。
「でも、仲間になってくれる人なんているのかしら?」
エリカが心配そうに言う。
「『真の勇者であること』って条件が厳しいものね」
「でも、タクヤなら大丈夫でしょう」
カインが言う。
「魔王軍幹部を二体も倒した実績があるんですから」
実際は全部偶然なんだけど…
「とりあえず、会いに行ってみよう」
俺たちはグロムの武器屋に向かった。
『アイアンハンマー武器工房』という看板の店だった。
中からは、金属を叩く音が聞こえてくる。
扉を開けて入ると、屈強なドワーフが火花を散らしながら剣を鍛えていた。
身長は俺の胸くらいまでしかないが、筋肉が凄い。
「お客さんか? 今忙しいから後にしてくれ」
グロムが振り返ることなく言う。
「パーティー募集の件で来ました」
「パーティー? ああ、あの張り紙か」
グロムが手を止めて振り返る。
鋭い目つきで俺を見つめ、しばらく観察している。
「ふむ…お前がタクヤか」
「ご存じですか?」
「当然だ。魔王軍幹部を立て続けに倒した英雄だからな」
グロムが俺に近づいてくる。
「だが、本当に真の勇者かどうかは別問題だ」
「真の勇者…ですか」
「そうだ。俺が求めているのは、世界を救えるだけの器を持った奴だ」
グロムの目が真剣だった。
「試してやろう。俺と一緒に依頼を受けるんだ」
「依頼?」
「ああ。丁度いい依頼がある」
グロムが一枚の依頼書を取り出す。
『緊急依頼:レッドドラゴン討伐
報酬:金貨5000枚
危険度:Sランク』
俺の血の気が引いた。
「ド、ドラゴン討伐?」
「そうだ。王都北部の山にレッドドラゴンが現れて、商隊を襲ってる」
「でも、Sランクって…」
「真の勇者なら楽勝だろう?」
グロムがニヤリと笑う。
「これを成功させたら、俺がお前の仲間になってやる」
ドラゴン…伝説の魔物だ。
俺なんかが戦って勝てる相手じゃない。
でも、グロムほどの実力者を仲間にできれば…
「わかりました。やります」
俺が震え声で答えると、グロムが満足そうに頷いた。
「いい返事だ。明日の朝、出発するぞ」
「は、はい」
俺たちは武器屋を出た。
「タクヤ…本当に大丈夫?」
エリカが心配そうに尋ねる。
「ドラゴンですよ? 僕たちに倒せるんでしょうか」
カインも不安そうだ。
「グロムがいれば、なんとかなるさ」
俺は自分に言い聞かせるように呟いた。
でも、心の中では絶望していた。
ドラゴンなんて、どうやって倒すんだ?
その夜、俺は一睡もできなかった。
明日はドラゴンと戦わなければならない。
そして、その戦いが成功すれば、グロムという強力な仲間を得られる。
雪菜との最終決戦に、少しでも近づけるかもしれない。
だが、失敗すれば…
俺は震えながら朝を迎えた。




