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「箱入りお嬢様が王子様を夢見て家出する話」

作者: 結晶蜘蛛


 わえ、幸せなの。

 お部屋の中にいれば、おうちの人は優しいし、父様も愛してくれる。

 みんな、わえのことが好きなの。

 わえは将来、大きくなってから大事な仕事をしないといけないの。

 そのためにいろんな星の動きや呪文をおぼえているの。

 でも、そのときが来るのはとてもとても未来の話だから、今はまだ、ここで待っていればいいの』

 だけど、ただ待つのは暇だからいろんな絵本を読んだの。

 そうして思ったの、王子様にあってみたいって。

 きっと将来、素敵な王子様と出会って幸せな結婚をするの。

 でも、ここだと誰とも出会えない……。

 だから、お父様にパーティーの誘いが来た時に、ひそかに馬車に隠れて乗っちゃった。

 お父様は断ってたようだけど、これできっと屋敷から出ていけるの。

 ――ああ、王子様、いつかきっと話絵のもとに現れてくれるよね……?



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