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本格的モフ行為2

 ただ撫でるという行為だけではあまりモフポイントは得られないみたいだ。


「もうちょっと……撫でてもいい?」


「優しく……してくれるなら」


 ミカオの毛は柔らかくて手触りがいい。

 頭の上からスーッと撫で下ろして顔の横、首と撫でていく。


『モフポイントが2回復しました』


『モフポイントが3回復しました』


 撫でていると継続的にモフポイントが回復していく。


『ケモッ娘ミカオの肉球をモフりました。

 同意のあるモフです。

 接触の少ないモフりです。

 ミカオは嬉しそうにしています。

 得られるモフポイントが増加します。

 モフポイントが5回復しました』


 ミカオの肉球はちょっと硬くてガサガサしているけれど弾力があって触っているとほんのりと穀物のような香りが漂ってきた。

 レオに触られている間ミカオの尻尾は振られっぱなしだった。


「……どうしたの? もう終わり?」


「いや、その……」


「やっぱりいやだった? それとも肉球ガサガサしてるから……」


「そうじゃなくて、忘れてたけど服……」


「あっ!」


 慰めるために撫で始めたけど手に伝わる多幸感のためにミカオが服を脱いでいたことを忘れていた。

 近づいてみると一応下着はつけていたけどそれでもレオは健全なケモ好き男子。


 いつまでもセクシーな格好なままでは精神衛生上よろしくない。


「ご、ごめんなさい! 今着るから……あっ!」


「大丈夫? 暗いから落ち着いて」


 服を着ようとしてバランスを崩したミカオが倒れかけてレオが受け止めて支える。

 ミカオは顔が熱くなるのを感じていた。


 解放軍かどうか服をまくってみた時には細い体をしていると思ったのに体を預けてみると意外とがっしりしている。

 数日牢屋に閉じ込められてレオのにおいも濃くなっている。


 でもそれも嫌じゃなくてミカオの心臓が痛いほどにドキドキしていた。


『ケモッ娘をモフりました。

 モフポイントが1回復しました』


 正確にはモフってないけど支えてあげたのもいくらかモフ行為に含まれるらしい。


「あ、ありがとうございます……」


 すっかりしおらしくなったミカオは服を着る。


「まだ……必要ですか?」


「うん。よかったらもうちょっとモフらせてくれないか?」


「においも……嗅ぐんですよね? く、首なら……」


 今日死んでもいい。

 レオは鼻血でも出そうな興奮を抑えてあくまでも紳士的な態度を装う。


 レイラに言われたことを思い出す。

 レオは獣人に好かれる才能がある。


 獣人は本能が強い。

 相手が獣人に対してマイナスな感情を抱けば本能的にそれを察してしまう。


 逆に獣人に対してプラスの感情を持っていると獣人も自然とそれを察することができるのだ。

 変態的とまで言えるほどにレオはケモッ娘に対して信頼を置いている。


 だからこそ獣人、特にケモッ娘はレオが好意的に見てくれるからケモッ娘自身もレオを好意的に感じるようになるのだ。


「ありがとう。吸わせてもらうよ」


 レオが顔をミカオの首に近づける。

 鼻先が毛に触れるほどに近づいたレオはゆっくりと息を吸い込んだ。


 ややワイルド臭。

 ケモノっぽい芳醇な香りがミカオからはしている。


 良い香りである。


『ケモッ娘ミカオの首をモフりました。

 同意のあるモフです。

 接触の少ないモフりです。

 ミカオは嬉しそうにしています。

 得られるモフポイントが増加します。

 モフポイントが10回復しました』


 やはり行為としての激しさがあると得られるモフポイントも多い。

 においを嗅ぐというモフ行為は単純に撫でるよりも多くのモフポイントが得られた。


 ただまだもうちょっと足りない。


「んん……」


 少し踏み込んでみる。

 レオが顔を首筋にうずめるとミカオは恥ずかしそうに声を漏らした。


『ケモッ娘ミカオの首をモフりました。

 同意のあるモフです。

 接触のあるモフりです。

 ミカオは嬉しそうにしています。

 得られるモフポイントが増加します。

 モフポイントが12回復しました』


 顔までうずめると結構ポイントがもらえた。

 これで元々あった1ポイント含めて38モフポイントになった。


 これでいける。


「いくよ」


「えっ? いくって何を……」


 首筋から顔を離したレオがミカオの目を見つめる。


『モフポイントを30使い、アンチマジックを発動します』


「うっ!」


 レオが首輪に手を触れて魔法を発動させる。

 すると一瞬首輪が熱くなり、パキンと割れるようにして壊れて床に落ちた。


「ウソ……」


 本当に奴隷の首輪が外れた。

 従属の魔法の効果のせいで自分の体なのにどこか命令されたら従わなきゃいけないような不快な感覚があった。


 そんな感覚が消え去った。

 自分の体が自分の体になった。


「ありがとう!」


「うおっ!」


『モフポイントが3回復しました』


 喜びのあまりミカオがレオに抱きついた。

 これもモフ行為に含まれるのかモフポイントが回復した。


「このままずっと奴隷で、いつ殺されるのか怯えて暮らしていくんだと思ってた。レオ、ありがとう……ありがとう!」


「良かったな」


 やはりケモッ娘は笑っている方がいい。

 これまで見たこともないような笑顔を浮かべているミカオを見てレオも自然と笑顔になる。

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