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今のままでは、大食い女王になれなそうだった

その後の2週間は、スランプだったようです。

「……おかしいなぁ……?」


脱衣所の体重計に乗り直して、私は首をかしげる。


3回、量り直したけれど、表示は毎回 41.6 kg だった。(……そりゃそうか。)


お夕飯を食べる前に量った体重は 40.1 kg ちょうどだったから、1.5 kg しか増えてない。


いや、1.5 kg って、さっき必死で詰め込んだ、ご飯 5 杯と、お味噌汁 3 杯と、さばのみりん干し1枚半と、おなすの煮浸し 1 皿を合わせた重さだから、それはそれで、なかなかのものなのだけど「大食い女王」を名乗るには物足りない。


きっと今の状況を健太が知ったら「なんだよ! 俺の方が食えるし!」って、イジってくるに決まってる。


最初の1週間、お夕飯をお腹いっぱい食べるだけで、私の食べられる量は 1.0 kg から 1.5 kg まで一気に増えた。


その頃ちょうど健太に「どう? 大食い女王、できそう? もし手伝いがどうしても要るなら、お前のこと、俺が手伝ってやってもいいけど……?」なんて言われたから、


「大丈夫! あんたなんかの手を借りなくても、私、準備は順調だから! もう先週の 1.5 倍も食べられるようになったし!」と返してやったのだ。


「えっ!? もう……そんなに!? ……すげえな……」って、珍しく驚いた様子の健太が、まじまじと見つめていたお腹を、今は私自身が、まじまじと見下ろしている。


……どうしてだろう?


最初の 1 週間で、比率にして 1.5 倍、重さにして 500 g も容量を増やした私のお腹は、そのあと2週間以上も同じ生活を続けているのに、以降さっぱり容量を増やしてはくれなかった。


私、大食いの才能があると思ったけど、違ったのかなぁ……?


そっとお腹をさする。じんわり汗がにじんだ皮膚のすぐ裏で、パンパンに張り詰めた内臓が、一生懸命に消化活動へ従事しているのがよく分かる。


ちょっと痛い。けど、征服感とか達成感があって、気持ちいい。


私も、たぶん、大食いが嫌いな訳ではないと思う。


==

大食いは、才能ではありません。努力です。

==


不意に、どこかで読んだフレーズを思い出した。


どこだっけ? ……あ、あれだ! あの大食いタレントのブログだ!


……そういえば、食べる前後に体重を量るよう書かれていたのも、あのブログだったっけ?


記事が多すぎて、一部しか読めてないんだよなぁ……。


(記事の大半が、大盛りのお店へチャレンジに行った報告で、大食いしたい人向けのアドバイスを見つけるのは結構大変だったのだ……)


この週末にでも、ちゃんと通読してみようかな……


==

6月30日

40.1 kg → 41.6 kg (+1.5 kg)

==

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